決算月のせいか、仕事上ここ最近のSEO情報を取りまとめたポイントを分かりやすく提出する機会がございましたので、ついでにざっくりここでもご紹介します。サイト運営ご担当者様ではなく、その上長の方は得てしてSEOを理解しようとしません。インターネットだけでなく色んなことを管理しなければならないからです。SEOを理解するにはめちゃくちゃ時間がかかりますので「パスッ」とサイト運営ご担当者様から分かりやすく訊きたいものです。そんな上長から「最近のSEOってどうなの?」と訊かれた際に答えられるようなざっくり内容となっています。意外と使えるかもしれませんよ(笑)。
全体傾向として
細かい突っ込みを挙げるとキリがありませんが、サイト内外の整理を考えると以下の3カテゴリで10項目が挙げられます。一応、各項目ごとに水色の背景枠内を作り、解決につながる課題を浮き彫り化しておきます。
サイトの質を追求する
1.クエリを追求する
Googleは検索クエリを以下の3つに分けています(「検索クエリの種類とサイト設計」参照)。
- 案内型クエリ(Navigational Query):(指名クエリ含む)見たいサイトが決まっている検索
- 取引型クエリ(Transactional Query):行動を起こす前提の(どこかのサービスを利用する)検索
- 情報収集型クエリ(Informational Query):知りたかったり、悩みを解決したい時の検索
固有のサイトを求める案内型クエリや、行動を起こそうとしている取引型クエリは企業サイトが上がってきやすかったりしますが、(企業サイトがユーザーの気付きを起こしたくなるような)情報収集型クエリは、広く深い情報のサイトが上位表示されるようになっています。その上で、いずれに該当するか分からないような検索クエリにおいては、検索結果上位に多様性(QDD)が働いているため、多少取引型クエリに該当するサイトも上位表示されてくるわけです。つまり求められるのは自社サービス情報だけでなく一般的な知識や疑問解決情報等も必要なため、コンテンツを追求し、ユーザーが何を求めているのか市場分析をする工数設計もSEOには必要です。
2.テキストだけではない
Googleのアルゴリズムは分かりやすいテキスト要素を判断材料として見ていますが、もちろんテキストコンテンツだけでなくCSSやJavaScriptも読み取っています。レイアウトも把握しているため、見やすいサイト(余白の使い方)やユーザー体験を損なわないような情報設計も心がけなければならず、「運営しているサイトは誰がどんな風に見ているのか」という客観要素に合わせたページ構成も重要になってきます。前項同様に、こちらも結果的にターゲット分析、検索クエリ分析、自社コンテンツ分析が必要になってきており、前述している通りコンテンツマーケティング業者、コンテンツSEO業者が増加している理由もそこにあるのです。SEOから考える市場分析や事業分析というアプローチが一般化されてきていることは、サイト運営者の在り方としても考え直させる事案でもあります。
サイトを分かりやすくする
3.サイト構造
コンバージョンに向けたユーザー動線のリンク設計とは別に、サイト構造としてのディレクトリ、パンくず(内部リンク)構造を整え、それに合わせたコンテンツ設計が大前提となります。現状最重要課題のひとつであり、あらゆるコンテンツ設計案はまずここに起因します。
4.SSLの導入
GoogleはSSL化しているサイト(https://)を検索順位においてわずかに優遇するようになってきています。海外での不当なサイト対策への一環として始まったイメージではあるものの、導入の際は一旦インデックスをご破算する(リダイレクトをかけるわけであって、正確にはご破算ではない)ことになるため、各企業のご担当者様は導入タイミングを見計らっているようです。
5.運営元の明確化及び構造化データ
運営元がはっきりしないアフィリエイトサイトをあまり見なくなったと思いませんか?やはり誰が運営しているのかは重要であり、Googleが取り組んでいるschema.orgを活用した構造化データのマークアップ(最低でも企業情報、パンくず、記事等。種類は多岐に渡るため、後はケースバイケース)も各社対応を進めています。構造化データをマークアップしている企業サイトはここ数ヶ月でかなり増加した印象を受けます。
SEO範疇の多角化
6.パンダとペンギン
パンダ・アップデートとペンギン・アップデートはアルゴリズム化(≒ロボット化)しており、今では改めての公式アナウンスもほとんどなくなったため、巷ではトピックスとして挙がってきません。しかしながら低品質コンテンツや重複コンテンツ、不当な内部リンク(ドアウェイページ)や外部リンクによる低評価はよりデジタルに反応するようになってきています。意図せず低品質や重複したページが存在することがないよう、インデックス状況を常時把握しなければなりません。
7.外部リンク
外部リンクは今もなお検索順位における最も重要なアルゴリズムのひとつであり、その分、前項同様に取り締まりも厳しくなっています。数多くのSEO業者がこの事業を撤退した理由もそこにあり(取り締まりに堪えられない)、”良質なリンク元サイトがしっかりと運営されている”状況を作ることは簡単ではないわけです。つまり(Googleが禁止している)外部リンク業者や外部リンク売買をするのではなく、外部リンクを受けられるようなコンテンツページを作ろうと。信頼できる安全なサイトというのはリンク元となるサイトにも求められているのです。
8.表示速度
「Above the fold(スクロールしないファーストインプレッション画面)の表示を1秒以内で」等と言われたりしていますが、世界的に見ても日本は有数のブロードバンド国家です。まだまだナローバンドな国もあるためか、Googleは表示速度を重要視しており、(世界共通のアルゴリズムであることからも)日本でも表示スピードは常にチェックしておかなければなりません。
9.モバイルフレンドリー
2015年4月21日からモバイルフレンドリーであることがスマホ検索順位に影響するようになります(「今のうちにスマホSEO対策」参照)。今の段階ではまずモバイルユーザビリティを損なう箇所をゼロにしつつ、春以降に次々導入されるであろうスマホSEO対策に向けた体制整理が重要になります。
10.SNS
その連動性(Open Graphタグ)や情報の鮮度(GoogleはTwitterと再提携)、サイト内のコンテンツとの使い分け等を考えると、SNSの運用は重要であり、SNS担当者とSEO担当者は密接な関係でなくてはなりません。私が知る限りですと、SEO担当者の方でSEOを追求している方であればあるほどSNSの必然性を重要視している印象です。いずれにしても、やはり更新性とそれに付随する体制作りが必要です。
おわりに
正直、ここ最近でパンダやペンギンのように凄く大きなトピックスがあったわけではありません。勿論細かいのはいっぱいありましたが…。ここ最近のSEO傾向として、新しい何かというよりも“今まで言われてきていた正論が具現化しつつ、その精度が上がってきた”というのが私の率直な印象です。
ですので、「なんだ、今まで言われてきたことと大して変わらないじゃん」と言う上長の方がいらっしゃったら「はい。いよいよそれをちゃんとやらないと検索順位が上がらなくなったんです。」とお答えいただければ良いような気もします(笑)。