生態系を崩さない仕事

生態系と言えば、消費者、生産者、分解者といった例の循環機能が浮かぶと思います。でもこれは職場でも仕事でも存在するのです。キャラクターから成る生態系が企業内にも企業間にも存在しているのです。こういった書き方をすると既にネガティブとかアウトローな印象を受けるかもしれませんが、決してそういうわけではないことを最初にお断りしておきます。ましてや病んでいるわけでもございません(笑)。ここでは簡単に生態系を崩さずにどうしたら自分のキャリアを成功に近づけられるかについてざっくりご紹介させていただきます。

俯瞰視

仕事における生態系って?

随分と大それた出だしから始まりましたが、これをテーマにするだけで本一冊作れるくらいです。それを私のブログ内の一記事で済まそうと考えているくらいですから、まぁ簡単にお話しさせていただきます。そして、生態系だからといって高次消費者が誰とかそういうことを言うつもりもございません。もっと単純にご案内します。

キャラに則ること

会社における部署や部署内における個人、お取引における企業間においてはそれぞれキャラというものがございます。他企業とお取引していると分かりやすいと思いますが、「早いし安い」業者もあれば「じっくり高い」業者もあると思います(もちろん早かろう悪かろうという考え方を含めた言い方です)。
これは会社における部署の場合もありまして、「戦略的な部署だけどフットワークが悪い」部署もあれば「動きは早く使い勝手も良いけど、プランニングや理論性に欠ける」部署もあると思います。どちらの例も似たような形でご紹介しましたが、これはもっと複雑に様々なパターンがあるわけで、全て人間で成り立っている以上、人はそういう型にはめたがる傾向があります。でもだからと言ってそれを変える必要はないのです。変えようとするとどこかで必ず歪みが起こります。”出る杭は打たれる”とはよく言ったもので、この心理は個人間のコミュニケーションだけに当てはまるとは限りません。

キャラに則らないと…

では、そのキャラに則らないとどうなるのか…出る杭は打たれるのであります。「お前そんなんちゃうやん」ということです。それが会社内であれ会社外であれ、その関係性が何年も続いているのであれば、それを”心地良い”としている人が必ずいるはずなのです。心地良いとしている人が必ずしも目上の人とは限りません。上にも横にも下にもいるはずです。ですので、それを崩そうとすると、たとえそれが正論でも違う形でしっぺ返しを食らうことが多々あります。
今までざっくりしたプランニングをしてきたにも関わらず、急に理論的なプランニングをすると「いいね!」と思う人もいれば脅威に感じる人もいると思います。この場合、脅威に感じる人は横の繋がりにあるケースが高いです。

生態系が壊れる時

上に好かれても横から嫌われては(長い目で見ると逆も起こり得ることから)私はこれを得策ではないと考えています。誰かが不快に思うのであれば、それがたとえ良案でも決してうまくいくとは限らないのです。
もっと単純に考えれば、従来取引業者はイエスマンであるべきと考えていた企業担当者が仮にいるとして、そこに新しい業者が偉そうな態度で入ってきたら…それがどんなに良い企画でも担当者の心証は絶対に良くないですよね。
この上下左右の関係性を熟慮した言動の必要性は歴史からも分かります。戦国時代の大名における軍師たちもこの関係性には相当手を焼いていたと思います。

ではそんな生態系を崩さないには?

そんなことを言っていたら、せっかくの良案も社内の場合は起案できないし、企業間の場合は提案もできないじゃないか…と嘆く方も多いと思います。若年社員が社内コミュニケーションにおいて、もっとも苦労する点であったりもします。
でも私はこう考えるんです。“良案であればあるほど、良案そのものよりもその届け方を考えろ”と。

まず自分のキャラを知ること

まずはその良案が自分らしいかどうかを考えなければなりません。でも自分が周りからどう思われているなんて分からないはず。そんな時は思い切って訊いちゃうんです。今回の場合においては、既に出来上がっている生態系における処方なので、関係性はある程度成立していることを前提としています。なので訊けるはずです。「当社は他の会社とどういうところが違いますか?」「私の良いところと悪いところはなんですか?」というのを極力相対的に聞くことができれば理解しやすいはずです。本音であればあるほど良いので、呑みの席とかの方が良いかもしれませんね。さすがに建前で話しているかどうかは気付けると思いますので、多少ウザがられても本音を聞き出せるまで訊いてみましょう(笑)。

その上で自分がこれから起案しようとしていることが本来の自分のポジションやキャラクターから逸脱していないかを考えるんです。ポジション(身分相応・立ち位置)をより重視して考えた方が良いでしょう。さらに、今の自分(自社)が結果を出せている状況かどうか、追い風が吹いている状況かどうかも見極めなければなりません。タイミングというやつですね。ここで「うーん、誰かに何か言われそうだな」とか「〇〇さんが知ったら煩そうだな」と思うような案だったら一旦立ち止まらなければなりません。生態系が崩れるかもしれないからです。

サプライズ対象者と握り対象者の使い分け

次に、誰に「おぉ!」と言わせたいのかも考える必要があります。取引先のご担当者様なのか、取引先のご担当者様の上長なのか、自分の上長なのか、他部署の人たちなのか、部下なのか…キリがないですが、その「おぉ!」と言わせたいサプライズ対象者を決定する必要があります。このサプライズ対象者は少なければ少ないほど成功します。

サプライズと握り

いわゆる根回しというやつですね。別にずる賢いやり方というつもりはありません。たとえ当事者にならない案だとしても、急に公の場で言われると不快感を覚える人だっていますので、ここはしっかりと行っておく”優しさ”が必要だと思います。

そして大事なのはここです!
“良案を成功させることが目的か、良案によって自分を認められることが目的か”です!
“良案の成功=自分(自社)の利益”に直結しているのであればそれで結構ですが、良案の成功が必ずしも自分や自社に利益をもたらすとは限らない場合、次の手が必要になります。

握り対象者をサプライズ対象者に変える

先ほど述べた良案が成功したとしましょう。その場合、そこにはサプライズ対象者と握り対象者が居たと思います。次に手を打つ場合はそのサプライズ対象者と握り対象者を入れ替えるんです。サプライズ対象者からの心証は良いはずですので、その機に乗じて今度は利益が自分(自社)に来るように思考を設計するだけです。この場合”良案の成功によって自分を認められることが目的”なので、そこまで考え悩む必要はないと思います。

以上がキャリア成功のカギ

以上、簡単なプロセスとしてご紹介してきましたが、成功している人の動きをよく見ていると(それが社内であれ企業間であれ)この動きを実践している人が多いです。それが自然にできているのか、考えて行っているのかは分かりません。しかし、動きとしては同じです。それくらい労力を惜しまず実践しなければ生態系を変えずに成功させることは難しいかと思います。そして、実はこの動きが最終的に生態系を変える話に繋がることもあるんです。

だんだん禅問答みたいになってきちゃいますので、今回はここまでで止めておきます。

とにかく企業にも職場にもキャラクターから成る生態系というものが存在しますので、そこを崩すことで敵を作りながら成功させるというキャリアよりも、こういった労力を含めて「損して得取れ」的な考え方で成功させるキャリアの方が真に利益となりますので是非お試しください。

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