厚生労働省は4月30日、一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)について報道発表資料を公開しました。令和6年3月の有効求人倍率は1.28倍で、同2月に比べて0.02ポイント上昇しました(ちょっと買い手市場に)。また、令和5年度平均の有効求人倍率は1.29倍で、前年度と比べて0.02ポイント低下しました(ちょっと売り手市場に)。コロナを機に大幅に有効求人倍率が下がりましたが(完全買い手市場に…)、少しずつ売り手側に復調傾向があるようですね。というわけで、そんな求人市場についてちょっとだけ触れておきます。
引用)NHKより
まだまだ人手不足?
私は買い手市場だの売り手市場だの述べていますが、厳密にはそういう言い方ですと、ちょっとニュアンスが異なってしまうかもしれません。有効求人倍率とは、厚生労働省が公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめ、求人倍率などの指標を作成し毎月公表しているもので、1つの求人案件に対して1.28倍の求職者の割合になっている計算です。
つまり、2倍になれば1つの求人案件に対して求職者の割合が2人という計算になりますし、1倍を切れば求職者は割合上、必ずいずれかの仕事に就けるという計算になります。ただ、コロナ前である2019年は約1.6倍ほどあった求人倍率が今では1.28倍なので、だいぶ募集側の企業は苦戦しているという推察になります。ましてや優秀な人材が欲しいとなると余計に企業側としては思うような採用計画が成り立たないのではないでしょうか。
また、先月よりも有効求人倍率が上がった要因として、求職者が増えたというよりも求人数が減った(物価高騰等の影響により人材を減らす傾向があった)ので、決して良い兆しというわけではなさそうですね。
引用)NHKより
私の身の回りでも、“良い人材がいない上で退職者も続くなら、下手に採用経費をかけてまで人材確保するより、ベンダーとの関係性を強化したりAI化によって属人化しない動きをする”という企業様が増加しています。人材を管理するにもメンターやモチベーション維持等の管理コストや教育コストもかかるわけで、それならいっそのこと社内ディレクション能力を高めて外部や機械を上手く活用する動きに移行する、という傾向が高まるかもしれません。
買い手市場では人材会社が潤う
求人倍率が下がると募集企業側よりも応募者側が企業を選択できるようになるため、当然応募者が優位な立場になります。そうなると企業側はより良い人材との接触機会を設けたくなりますので、結果的に人材会社や転職エージェント会社に縋ります。人材会社や転職エージェントに投資するようになります。そうすると人材会社が人手不足になるので、今度は人材会社が募集企業側となり、待遇の良い求人を出します。人材会社が待遇の良い求人を出すので応募者は人材会社に応募&入社します。結果的に、募集企業側の応募者不足に拍車がかかるという構図ですね…(笑)。なんだか皮肉な状況です。
しばらくはこの状況が続くと思いますし、円安と物価高は続くと思いますのでより企業側は厳しくなっていくことでしょう。いよいよサバイバル時代に突入です。