副業の副作用

最近ではダブルワークとかパラレルワークとか言ったりもする「副業」。現在、大企業でも副業を可能としているところが増えました。リクルートグループ、サイバーエージェント、Yahoo!JAPAN、キャノン、ソニー、ソフトバンク、DeNA、花王、TBSホールディングス、アクセンチュア、HIS、アサヒ、セガサミー…枚挙に暇がありません。最近ではカゴメが副業を可能にしたことで話題になりました。そんな副業についてご紹介させていただきます。

HOWEVER

カゴメの副業と副業OKの裏側

まずは、カゴメの副業に関する内容をご確認ください。

2019年3月27日、カゴメは社員向けに副業容認制度を公表しました。特徴は以下の通りです。

  • 2019年4月から制度開始
  • 全正社員の4分の1が対象になる
  • 月45時間の上限
  • 正社員/契約社員対象
  • 直近1年間の労働時間が1900時間未満の条件
  • 必要に応じて保健師面談(健康確保が狙い)
  • 新規事業の立案やアイデア創出

引用)BitWork

この規約から推察すると、カゴメから従業員に発する内容には、愛社精神を強要したり従業員に対する踏み絵的圧力をかけたりするのではなく、従業員の健康面に関して配慮している印象を受けます。つまり「副業して良いけど、無理すると身体を壊して元の子も無くなるから、健全な健康管理下においてやってね」というメッセージにも見えます。しかも、1年間の労働時間が1900時間未満という条件(これはほぼ毎日8時間労働で、残業していない人)にも関わらず、対象者が従業員の4分の1(約620人)というから驚きです。この内容に関しては、サラタメさんのYouTube動画で分かりやすく教えてくれています。

https://youtu.be/6Onecit1M7A

この動画でも触れていますが、大企業の副業可能化の背景には、以下の要素が含まれているかと思います。

  1. 企業としての柔軟性
  2. 終身雇用の幻想化による企業離れと労働者離れ
  3. 売り手市場と企業の弱体化
  4. 労働者への希望昇給額への懸念

特に3番と4番は顕著に感じます。「私たちだけでは皆さんの希望額に応えられる体力や事業はありませんよ。なのでお金が欲しい人は、それぞれ自分の力で別口からも収入源を確保してくださいね」というメッセージにも感じられます。しかも一億総活躍社会を目指すなら尚のこと、労働者は企業を跨いで希望収入額に見合った収入源を確保する必要が生じそうです。

副業の副作用

さて、副業についてですが、文字通り主業務とは別ラインで副次的に仕事をすれば、それは副業になるかと思います。メインの仕事のラインとは別で行えば、それは副業でしょう。最近は闇営業とか直営業という言葉が盛んに言われていますが、直営業も収入源が異なるのであれば副業内の話になると思います。主業務と副業務が同じ内容でも給与ルートが違えばそれは副業ですよね。ここではあまり「副業」の定義の話をするつもりはないので、ここまでにしておきます。

副業といっても様々で、業務として勤務時間を有する仕事もあれば、ランサーズ等に登録して成果物の対価を得る仕事もあるかと思います。個人スキルを活かしたものであれば後者の仕事スタイルが向いているかもしれませんし、単純に労働力に依存した収入を得たいのであれば前者の仕事スタイルが良いかもしれません。

しかし、大事なのは勤務時間を有する副業であっても、成果物の対価を得る副業であっても、相応の覚悟と努力が必要ということ。少なくとも刹那的に見て「お金より時間」という人には向いていないと思います。将来的に時間が欲しいから短期的にお金を優先する、という考え方なら分かりますが、そうでない限り、自由な時間が欲しい人が副業で成功するのは非常に難しいものです。本業でのパフォーマンスを損なうことなく副業で成功するためには、個人スキルと時間が大きく影響します。
単純なお金稼ぎという気持ちで副業をやっても、結局長期的には上手くいきません。そういう考えでやっている人は、そのうち上手く立ち回ることが出来ず、どっちつかずで終わってしまうパターンが多いです。逆に言うと、副業をお金稼ぎ程度でしか捉えられない人はそもそも副業の才能が無いのかもしれませんが。

つまり私から言わせれば、副業を生半可に始めても、体力や時間を削るだけで、行動に見合った収入は得られず、それどころか本業にも支障をきたすことになりかねないぞ、ということです。これが副業の副作用です。私の周りで、実際に副業に成功している人は、“本業で発揮し得ないスキルを活かした副業を、成果物の対価として得るパターン”の人が多いです。それくらい本業務と副業務が分かれていれば切り替えが出来るわけで、お互いを干渉しないのだと思います。そして、本業が勤務時間を有する仕事に対して、副業が個人スキルに依存するため、時間とスキルの使い分けも出来ており、マルチタスクによる弊害(集中力や脳への負担)も起こりにくいのだと思います。

でも、そうなると「副業で発揮できる程の個人スキルが無いです…」という人が出てくるでしょう。はい、だからそういう人は副業なんてしない方が良いと思います。副業のせいで本業に悪影響が出て、元来の収入分すら減らすことになりかねませんので、私は個人スキルに自信のない人にはオススメしません。それよりも本業でどこまで行けるか追及した方が良いと思います。

企業にとって副業は?

でも、まぁ単純なイメージとして副業を可能にした企業はもっと増えていっても良いと思いますし、企業側はもっと柔軟になっても良いかと思います。そして、そうなっても企業に居続ける社員を大事にしなければなりませんし、そのためにも制度や福利厚生等、目に見えて居心地の良い環境を労働者に与える企業努力も大事になってくるでしょう。逆に副業を経験した結果、仕事の難しさを知り、結果的に本業である企業に集中して勤務するようになってくれるかもしれません。

色々とお互いを見直す上でも、(実際にやるやらないは置いておいて)副業可能にするのはアリですよね。

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