仕事場の自由化は流行るのか

ちょっと前までは「SOHO(Small Office Home Office)」や「テレワーク(在宅勤務)」と呼んだりしていましたが、最近では「ノマド(Nomad:遊牧的な仕事場)」、「ワーケーション」、「コワーキング(Coworking:共同の職場)」等の言葉もよく耳にするようになりました。いわゆる働き方における仕事場の自由化だと思いますが、こうした形態は今後流行るのか考えてみたいと思います。

ノマド

あらゆる要因が仕事場の自由化を形成している!?

私が考えるに、大きく5つの背景が前述の働き方を生み出すようになったと考えています。

  • 通信インフラの強化
  • 起業傾向&中小企業の台頭
  • 多様化する賃貸スペース
  • 細分化するイベント、セミナー
  • 新規パイプラインへの期待

以下、それぞれご説明します。

通信インフラの強化

日本においては、今やWiFi等のネットワーク環境はどこでも整備されていて、どこでもブロードバンドを体験できます。また、スマホやiPad等のスマートデバイスも普及しており、より手軽に大量の情報を得ることもできます。さらにクラウド技術や暗号化通信技術も進歩することで、“より快適に、より安全に”コミュニケーションを取れるようになったわけです。つまり、“どこでも、誰とでも、いくらでも”繋がれるわけです。特にクラウドソーシング等を使用しているフリーランスにとっては事務所など必要無いと思います。

起業傾向&中小企業の台頭

特にIT業界において言えますが、若い人でもスキルさえあれば、仕事がある時代。学生の頃から様々なプログラミング技術を身につけていれば、企業というよりもその人に仕事が舞い込んでくるわけです。つまり、自分自身のマネジメントや将来設計さえ出来ていれば、能力に応じて起業することもできますし、国からも(起業に対する補助金や助成金等の)支援があるわけです。ですので、野心の強い人であればイチサラリーマンよりも自分自身の会社を持ちたくもなるでしょう。こうした個人事業的発想を持つ人にとっては、職場環境も柔軟なほうがフットワークを良くできるわけです。もちろん、他にも要因として、大企業の弱体化や無駄な通勤時間の削減等が挙げられるとは思います。

多様化する賃貸スペース

検索すれば山ほど出てくる「賃貸オフィス」「貸事務所」「貸し会議室」。以前はオフィスビルでも(少子高齢化に伴う)労働人口の減少によりテナント(賃借人)も減り、間仕切りしたり居抜きして貸し会議室にする等のケースも増えています。そうした小額で単発なビジネスでも無駄に大きな取引額でテナントを探すより費用対効果が良かったりするわけです。そして、そういった物件やスペースがあちこちに出現することで、時間や場所を気にせず利用することが出来るようになりました。

細分化するイベント、セミナー

ビジネスセミナーや自己啓発セミナー等は昔から多くありましたが、最近では働き方セミナーや勉強会等もどんどん細分化されています。勉強会ひとつとっても1つの言語プログラミングに絞ったセミナーが催されることもしばしば。実際「TECH PLAY」等のように勉強会・セミナーなどのイベント情報専門の検索サイトが登場するくらい細分化しているわけです。こういった活動の場や利用を考えてもコワークスタイルの方が好都合になります。

新規パイプラインへの期待

そして何より個人業務活動をしている人にとっては、技術力や良質なサービスを提供できる自信があっても、取引相手がいなければ意味がありません。かと言って、技術力や良質なサービスを追求している人は、得てして営業力が弱かったりしてしまいます。営業にかける時間をサービスの追求に使ってしまうからです。ですので高品質なサービスと営業力を併せ持った人間なんて少ないのも当然なわけです。しかし、高品質なサービスさえ持ってさえいれば、コワーキングスペースを活用することで、新しい出会いを作ることもできると思います。高品質なサービスを持つ者同士が集まれば、取引先を紹介し合ったりすることで新たなビジネス機会を作ることもできますし、こうしたパイプ作りを行うのに、コワーキングスペースやレンンタルオフィスは非常に適しているでしょう。実際、レンタルオフィス主催の懇親会やコワーキングスペースでのイベントは数多くあります。

今後はどうなる?

以上のように職場の柔軟化を促進する背景を5つほど挙げましたが、今後こういった傾向はどうなっていくのでしょう。

私は日本の経済がよっぽど好転しない限り、この仕事場の自由化は加速していくのではないかと考えています。ましてや日本は少子高齢化が進み、海外からの移住労働者も増えるため、余計に加速していくと思います。既にシェアハウスとコワーキングスペースが両立している物件もあるくらいです。ですので、これからも動的な仕事場は増え続けていくと私は予測しています。

そして、働き方もこのように“個”に照準化されてきているわけですので、いよいよ手に職を持ちつつ、高品質サービスを提供し続けられる人材こそが人財となっていくのだと思います。会社に忠義を尽くす歯車的サラリーマンはいよいよ終焉を迎えるのかもしれませんね。サバイバルな世の中です…。

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