2023年7月に米国現地(英語圏)で実施されたEnglish Google SEO office hoursについて、フォローアップ記事を和訳した前回の続きです。全部で28個質問がありますが、今回はそのうちの後半14個の質問と回答をご紹介します。
質問と回答
2023年7月のGoogleSEOオフィスアワーの議事録を和訳しています。毎度のことながら内容に関して何かあればGoogle Search Centralのヘルプコミュニティへ質問しましょう。今回ご紹介するのは、全28質問のうちの残り14個です。まず例によって和訳した質問と回答をご紹介します。
15．Googleがどのように品質評価者を使ってサイトを審査し評価しているのか教えていただけますか？
Martin：Geoffreyからの質問です。「Googleが品質評価者を使ってどのようにサイトを審査し、評価しているのか説明いただくことはできますか。ペナルティを受けた後にのみに審査されるのでしょうか、それとも日常的に品質評価者はサイトを審査しているのでしょうか？」
品質評価者は、厳密には個々のWebサイトを見ますが、ライブ評価から変更することはありません。品質評価者からの回答はサイト上で見られた変更を評価するために使用しますが、検索結果のランク付けに直接影響を与えることはありません。詳しくはgoo.gle/quality-ratersをご覧ください。
16．1年前にサイトを移行したにもかかわらず、Search Consoleでは100万件の“リダイレクトのあるページ”を表示し続けていますが、なぜでしょうか？
John：Robinの質問です。「私たちのWebサイトは約1年前にサイト移行しました。しかし、現在もSearch Consoleには約100万の“リダイレクトのあるページ”が表示されています。何かできること、すべきことはありますか？」
それは完全に正常な事象です。Googleのシステムは、古いURLを長期間記憶する傾向があります。その古いURL群がしっかりと継続的にリダイレクトされているのであれば問題ありません。Googleが持つ記憶から古いURLを削除する作業の必要はありませんし、Google以外の人間にはできないことです。普通に考えれば、時間の経過とともに段階的に削除されていくでしょう。最近のパフォーマンスの変化と、古いサイトの移転とは無関係な話だと思います。
17．Googleで検索すると、私のWebサイトのドメインが表示されません。なぜですか？
Gary：Eugeneが尋ねています。「Googleで検索しても私のWebサイトのドメインが表示されません。なぜでしょうか？」
あなたのWebサイトを確認したのですが、Search Consoleでサイトの所有権を確認し、そこでヒントを探すことを強くおすすめします。Search Consoleのアカウントに入れば、おそらく簡単に修正すべきところが確認できます。
18．私たちのドメインはメールアカウントにのみ使用しています。どうすればGoogleの検索結果に表示されなくなりますか？
Martin：Amandaの質問です。「私たちのドメインはメールアカウントにしか使われていません。どうすればGoogleの検索結果に表示されなくなりますか？」
ドメインをメールにしか使っていないのであれば、検索結果に表示されるようなコンテンツはありません。もしGooglebotがあなたのドメインにリクエストをしないようにしたいのであれば、robots.txtを使ってGooglebotがあなたのドメイン上のどのURLにもアクセスできないようにすることができます。とはいえ、Googleの検索結果にページが表示されないとは限りません。表示されないようにするには、robotsメタタグかHTTPヘッダーを使い“noindex”を設定する必要があります。ただそのドメインでWebサイトも持たず、メール用に使っているだけなら、そもそもGooglebotが見るものは何もなく、いずれにせよ検索結果には表示されないと思います。
19．Search Consoleでは、私のサイトの場合デスクトップ版のGooglebotがクロールしていると表示されます。モバイルインデックスへの移行を妨げているのは何でしょうか？
John：Pottierからの質問です。「こんにちは、Search Consoleで私のサイトはデスクトップ版のGooglebotによってクロールされていると表示されています。可能であれば教えていただきたいのですが、私のサイトのモバイルインデックスへの移行を妨げているものは何でしょうか？」
ほとんどの場合、あなたのサイトはすでにモバイルファーストインデックスに登録されています。再確認するには、Search Consoleのクロールの統計にアクセスし、そこに記載されているクローラーの種類を確認してください。スマートフォンのGooglebotが大多数クロールしているのであれば、準備は整っています。現在、基本的にすべてのサイトはモバイル版でクロールされ、インデックスされています。デスクトップ版のクローラーでしかクロールされない一握りのサイトは、基本的にモバイルデバイスではまったく機能していないページのはずです。
20．hreflangのクエリ文字列は、Googleに何らかのシグナルを与える可能性はありますか？
Gary：VTからの質問です。「hreflangのクエリ文字列は、Googleに何らかのシグナルを与える可能性はありますか？例えば、次のような文字列です<link rel=”alternate” hreflang=”en-us” href=”https://www.domain.us?setContextLanguageCode=en-us” >」
これは簡単で、hreflangのクエリによって大きな問題を引き起こすことはありません。ただ、全く問題が起きないと約束することはできません。このような文字列の情報は一貫性を持って適合している必要があり、一貫していなければ正規化が正しく機能できず残念なことになるかもしれません。
21．Webサイトのフォームデザインとフォームの位置付けは、検索順位にどのような影響を与えますか？
Martin：Somnath Halderからの質問です。「SEOのランキング付けにおけるWebサイトのフォームデザインとフォームの位置付けによる効果はありますか？」
Webサイトのフォームが順位付けに特別な役割を果たすことはありません。フォームも他のコンテンツページと同じようにコンテンツページとして対処しており、視覚的なデザインはあまり重要ではないものの、サイト内のどこに配置するかによって、Googleはコンテンツの重要性を認識するかもしれません。フォームページに覆いかぶさるようにして出現するインターステイシャルを使用している場合は、サイトのユーザーエクスペリエンスに影響を与える可能性があることにご注意ください。
22．ページを削除すれば、クローラビリティやインデクサビリティは向上しますか？
John：インデックスを削除し、800万ページもの中古商品を200万のユニークでインデックス可能な商品ページに集約することは、クローラビリティとインデクサビリティ(現在インデックスされていないページの問題)の改善に役立つでしょうか？
それは簡単には言えません。Googleの大規模なサイト所有者向けのクロールバジェット管理ガイドをご確認ください。大規模サイトの場合、Webサイト側がより多くのクロールを許容できるかどうか次第で、クロール側が制限をかけることがあります。とはいえ、ほとんどの場合においては制限をかける理由はWebサイト全体の品質に関するものです。800万ページから200万ページにすることで、Webサイト全体の品質が大幅に向上するでしょうか？ 実際の品質の向上に焦点を当てない限り、インデックス可能なページ数を減らすことに多くの時間を費やすだけで、実際にサイトの品質が改善されたとは言えないでしょう。
23．グローバル企業は.aiをGTLDとして使用すべきでしょうか、それともGoogleは.aiをccTLDと見なすのでしょうか？
Gary：Danielle Rossの質問です。「グローバル企業は.aiドメインをGTLDとして使用すべきでしょうか、それともGoogleはアンギラ国のccTLDとみなしているのでしょうか？」
2023年6月上旬現在、Google検索では.aiをgTLDとして扱っています！
24．Search Consoleの“Not Found(404)”エラーをすべて解消したいです。どうすればいいですか？
John：Ghanshyamからの質問です。「Search Consoleの“Not Found(404)”エラーをすべて消去したいのですがどうすれば良いでしょうか。」
Search Consoleに表示されるエラーを消去する方法はありません。エラー群は、あなたのWebサイトをクロールする際に収集され、時間の経過とともに自動的に更新されます。また、404エラー自体は問題ではありません。すべてのWebサイトは、存在しないページに対して404を返すことが想定されていますが、これは実は良いことなのです。
25．Webサイトのランキングについて、専門家のアドバイスが必要です！
Gary：匿名の質問です。「私たちのWebサイトのランキングについて、Googleの皆さまの専門的なアドバイスが欲しいです。これに関するミーティングの場を設定いただくことは可能でしょうか？ 都合のいい日時を教えてください。」
まず、お会いしたいとのこと、ありがとうございます！ しかし検索チームはいかなる理由であれ、個別ミーティングを行いません。皆さまと同じように進めていくしか方法はありません。その進める方法を知りたければdevelopers.google.com/search/helpのドキュメントをご覧ください。
26．Google Scholarに自分の論文のインデックスを依頼するにはどうすれば良いですか？
John：Rijul Chaturvediからの質問です。「Google Scholarで、トップジャーナルに最近掲載された私の論文のインデックスを依頼する方法を教えてください。私はまだ博士課程の学生なので、自分のWebサイトを持っていません(著者プロフィールのページにリンクされています)。」
これは時々いただく質問です。ご指定のURLを拝見しました。厄介なことに同じコンテンツがいくつものURLで閲覧可能な状態になっており、その中から他のバージョンの特定の1つがインデックスされたようです。こういった中から見つける1つの方法は、ページを開き、そこからテキストをコピーし、URLではなくそのテキストを検索することです。そして、そのページがログインしていないユーザーでもアクセスできるようになっているかご確認ください。いずれにせよ、対話システムとソーシャルコンパニオンに関するあなたの論文に興味を持ったので、ブックマークしました！
27．PDFや動画、画像のURLのようなファイルに対するリダイレクトのベストプラクティスは、WebページのURLと同じですか？
Gary：Phillipからのご質問です。「リダイレクトのベストプラクティスは、PDFのURLや動画URL、画像URLにもWebページURLと同じように適用されますか？」
はい、動画やPDFのようなバイナリファイルを含む他のファイルタイプは、 Webページをリダイレクトするのと同じ方法でリダイレクトできます。
28．(Webサイトの小さなセクションで使用される)hreflangタグは、国際的なターゲティングシグナルとして使用されますか？
John：Tobyが尋ねています。「hreflangタグが正しく実装されていても、Webサイトの一部分(つまりヨーロッパのサブフォルダだけ)にしか使用されていない場合、国際的なターゲティングシグナルとして使用されますか？」
hreflangはページ単位で行われるため、サイトの一部で使用されている場合は問題ありません。しかし、私ならhreflangの実装に多くの時間を費やす前に、検索で間違ったページが表示されていないかのほうに注力します。また、サイトマップファイルでもhreflangを実装できることを知っておいてください。言い換えれば、ページそのものを編集できなくても、そのページにhreflangアノテーションを指定することができます。詳しくはドキュメントをご覧ください。
今回は分かりにくい内容もありました。すみません、上手く訳せなかったところもありまして(極力和製英語や別の英語で言い換えるのを避けようとする癖が私にありまして…そうなるとどうしても分かりづらい文章が出てきてしまい)、ご迷惑をおかけします。とはいえ、今回の中に興味深い内容があったのは少なく、特筆するのは以下の点ですね。
- (15．より)検索品質評価ガイドラインを使って評価する人から得たフィードバックは、Googleがアルゴリズム改善時にまとめて検証し参考にしているだけで、リアルタイムには使用していないこと。私が思うに、評価者によるフィードバックは定性的な内容だと思うので、それをどう定量化した評価として組み込めるか等の参考にしている感じだと思います。それこそ人気度とか信用度とかデザイン性とか…。
- (16．より)おそらくGoogleは過去のURLの経歴を把握しておくことで前科(ペナルティの過去)やドメインの経歴等を管理しておくことが狙いかと思います。
- (22．より)クロールバジェットはWebサイト側が大量のGooglebotに耐えられないと分かればクロールを制御するとのこと。ですので、相当数のページが無いと耐えられないほどのクロール量も来ないですし、クロールバジェットを気にする必要はないとのことです。むしろクロールやインデックスがされないと嘆くなら、そのほとんどは品質の問題(ページ単位であれサイト単位であれ)だと思われるとのことです。
前半の方が興味深かったですね。
インデックスはされにくくなってきている
今回クロールバジェット等の話が出てきたので。既に私は何度もこのブログで伝えてきていますが、改めて申し上げておきます。Googleはインデックスするページを選択するようになっているので、Webサイト側としてはインデックスはされにくくなっていると感じると思います。
理由は簡単です。GoogleのデータセンターがいっぱいなのにSDGsやカーボンニュートラル的にも余計なことにデータや燃料を使わないようにするためです。そして余計なことというのは、世の中に不要なWebページです。不要なWebページとは、公序良俗や詐欺、攻撃的や差別的なページもそうですが、低品質であったり、他のサイトページを模倣しているだけのページ等もそうです。
ですので、Webサイト側としては低品質なページを放っておいて高品質なページを作る、というよりも、低品質なページをリライトして高品質にする、ほうが時代に即していますし、即効的です。
ページをひたすら量産して「数打ちゃ当たる」時代は終わっています。インデックスされているのであれば、少しでも低品質なページを高品質にしていったほうが効率的なのでございます。
