• 案件系サイトは演出のしかたも大事

案件系サイトは演出のしかたも大事

先日、たまたまEC系サイトのSEOを考察する機会があり、SEOで伸び悩んでいたため持論を展開したのですが、その内容をここにも記載しておきます。ECサイトもそうですし、人材系サイトもそうですし、賃貸不動産系サイトもそうですが、いわゆる商品詳細案件を抱えているサイトには全て共通して言えることですので、是非ご参考ください。実際に効果寄与した実績のある話です。ちなみにこういった商品詳細案件を抱えるサイトのことを便宜上、案件系サイトと呼ばせていただきます。

案件系サイトのSEOの姿勢としてはキーワードを見ずに使い勝手を見ること

当然、案件系サイトにおいては施策すべきビッグワードが存在すると思います。その施策ワードで検索上位になるにはどうすれば良いか、そんなことばかり考えてSEOを行うでしょう。しかし、施策キーワードでの検索上位サイトを真似ても…テクニカルな改善をしても…コラムを作ってテキストコンテンツを増やしても…ビッグワードとなる施策キーワードでの上位表示は難しいのではないでしょうか。

私から言わせれば、キーワードの順位ばかり見据えて行うSEOでは施策の限界があり、前には進まないとうことです。案件系サイトにおいて施策する重要キーワードの種別はTransactional Query(取引型クエリ:Doクエリ)です。Informational Query(情報収集型クエリ:Knowクエリ)であれば、とにかくテキストコンテンツ中心に情報の量と質を追求すれば良いわけで、極論“良質な1ページ”を作成できれば良いんです。しかし、Transactional Queryでは、検索ユーザーにサービスを利用したいと思わせる体験を提供しなければならないわけで、それは“Webサイト全体で良質な体験”を提供しなければならないのです。

“Webサイト全体で良質な体験”とは何か——それはサービス(商品)の良さをどれくらい理解してもらえるか、に尽きますよね。Webサイトの体験を通してサービスの良さを理解してもらうことです。

サービスの良さを理解してもらう、とは

では、次にサービスの良さを理解してもらうとはどういうことか、についてですが…これは2つあります。
 

  1. サービスを良質にすること(事業そのものを見直すこと)
  2. サービスが良質であることを検索ユーザー(とGoogleに)理解してもらうこと

 

1つ目はそもそもサービス自体を良くすることです。これは求人サイトを例に挙げると分かりやすいのですが、「求人」と検索して、求人案件が100件しか掲載されていないサイトと10,000件掲載されているサイトでは、もちろん後者の方が人気が出るはずです。そして、東京都の求人しか掲載されていないサイトと日本全国の求人が掲載されているサイトでも、後者の方が人気が出るはずです。そう考えると全国津々浦々大量の求人情報が掲載されている方が好ましいのですが、そのためには全国の情報を集められる会社の体力や社員工数の確保が必要になります。つまり「求人」で検索上位を目指すには、事業から見直しNo.1やOnly.1になれるサービス開発が重要になるというわけなんです。もはやSEOとかそういう次元ではないことを理解いただけるかと思います。

そして2つ目ですが、今度はWebサイト側の話です。サービスがいくら良くてもWebサイトに掲載されていなければ意味がありません。求人案件を10,000件保有している会社でも、サイトに10件しか掲載されていなければ、ユーザーにもGoogleにも10件のサイトだと思われるだけですよね。10,000件あるなら、10,000件保有していることをアピールしつつ、実際に10,000件掲載されていることが重要です。つまり、サービスが良質であることを検索ユーザーやGoogleに理解してもらうための“演出”をしなければならないのです。

ここで、対象をあえてユーザーだけでなくGoogleと書いたのは、Googleクローラーがサイトページをクロールし、インデックスしてくれなければ意味がないと考えているからです。下手に類似ページ扱いされたり、ソフト404ページ扱いされたりして、インデックスが充分にされていなければ意味がないと考えているからです。これで、ユーザーだけでなくGoogleにもしっかりサービスが良質であるということを演出しなければならないということが理解いただけたかと思います。

本記事では、この1つ目に関しては触れず(ビジネスにおける事業展開の話ですので深すぎて…)2つ目の「サービスが良質であることの演出」について説明していきたいと思います。

サービスが良質であるという演出をするために

このサービスが良質であるという演出のしかたがSEOであると私は考えています。具体的には、商品サービスの切り口や導線リンクの設計、比較検討しやすい構造等をひたすら追求することなのですが、案件系サイトの場合、対象が上級者や中級者であれば、商品を機能別や仕様別に一覧化するだけで勝手に自分で比較検討してくれるかもしれません。しかし、初心者に商品の機能や仕様を伝えたところで、そもそもどう比較検討すれば良いかも分かりませんし、自分にはどういう商品が必要か等も分からないはずです。ですので、用途別の切り口や利用シーン別の切り口、初心者に寄り添った選び方から一般的な利用例等を通して商品訴求までしてあげる必要があるわけです。そういうサイトは検索ユーザーにも喜ばれるでしょうし、結果的に人気になる(アクセスが増える)でしょうし、派生する様々な副次的評価からGoogleにも好まれ、検索順位の上昇に繋がるでしょう。

ここで言う副次的評価はSNSでの紹介(サイテーション)かもしれませんし、リンクかもしれませんし、比較サイトやマイビジネス等での評価(レピュテーション)かもしれません。アクセス数が多いことでGoogleからのファインダビリティ性(ページの見つけやすさ)に繋がり、リンク導線の使い勝手からクローラビリティ性(クロールしやすさ)に繋がり、インデックス促進に繋がるかもしれません。いずれにしてもこの副次的評価は直接的に狙って行うものではありませんので、やはり“Webサイト全体で良質な体験”を提供するということに注力するしかないのです。

どんな効果が待っているか

実際に、この手の施策を施していくと、まず大量のロングテールクエリを拾い始めます。良質なサービスサイトの演出を行う上で、比較検討軸や利用シーン、商品一覧における各種フィルタリングの多様化等を考えると様々な用語を使用することになり、それらが意図せずGoogle検索に引っ掛かり始めます。

その後、全体のアクセス数(私が確認していたのはSearch Consoleにおけるクリック数ですが)が向上します。また、ロングテールクエリを拾い始めるということは、(Search Consoleでいうところの)表示回数からのクリック率が高くなるので、サイト全体のクリック率が上昇します。サイト全体の掲載順位も向上します。そして、その後ミドルワード(それなりに検索ボリュームがあるキーワード)で順位向上をし始めて、最終的にビッグワードでの順位向上が見られるようになりました。

最終的にビッグワードでの順位向上が起こった時、その理由を訊かれることがありますが、これを一言で言い表すのが非常に難しいんですよね。「何をしたんですか?」と明確な回答を求められがちですが、あえて一言で言うとしても「検索ユーザーの使い勝手を第一に考えた」しかないのです。カッコつけた言い方になってしまうので、控えたい言い回しでもあります。
ですので、今回こうして記事に書くことで理解を得てもらおうかと思いました。

実際に求人系サイトであれば、求人紹介件数の一覧の時点で何件まで見せるかを追究しましたし、その際のブラウザのスクロールバーのサイズまで考えたりもしました。ページネーションの番号やページ数も考えました。ECサイトであれば、比較検討用に、どのリンク導線で新しいタブで開くページにするか等も追究しましたし、レコメンドだけでなはなく、商品詳細の機能アイコンからクロスリンク構造の展開まで実装しました。

本当に細かいところまで追究したのは、やはりSEOをSearch Engine Optimization(検索エンジン最適化)という概念だけでなく、Searcher Experience Optimization(検索者の体験最適化)であったりSite Experience Optimization(サイト体験最適化)であったりした概念で取り組んだ姿勢が生んだ賜物であると思っています。

ぜひ、案件系サイトの運用ご担当者様は参考にしてみてください。

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