• 法人と個人でSEO方法は違うか

法人と個人でSEO方法は違うか

個人ブログでSEOを意識してアプローチするのと法人サイトがSEOを施策するのとでランキング効果は違うという意見を耳にしました。15年間法人サイトのコンサルテーションに従事している私は、一方で個人的にブログも行い一定のキーワードで上位表示を達成しました。つまり、法人サイトでも個人ブログでも経験があります。そんな私が感じる“法人と個人でSEO方法は違うか”問題について持論を展開してみたいと思います。

基本は同じ:Googleに差別はない

まず、Googleの公式ガイドライン等には運用元の法人、個人についての記載は一切ありません。コンテンツにおいても「法人だから良い」とか「法人ならこう書かなくてはいけない」等もありません。当然「個人ブログならこう書くべき」等もありません。発信者そのもの自体で差別する要素は無いんです。ですので、この時点で「法人サイトだからSEOに勝てる」と吹聴する人がいたら私は「んふー♡」と笑ってしまいます(どういうこと!?)。

とはいえ、いくつか留意点があります。

  1. 法人格ならではのドメインが取得できる
  2. E-E-A-Tという概念に照らし合わせ、運営者としての説得性や公平性、専門性、権威性をどう作るか

これらは法人にとって少し有利な話かもしれません。1.の方で申し上げますと、co.jpは会社法人が1社につき1つだけ取得できるTLD(Top Level Domain)ですし、ac.jpは学校法人が1校につき1つだけ取得できるTLDです。or.jpは社団、財団、医療、監査等の法人がそれぞれ1つだけ取得できるTLDです。このように個人では取得できないTLDがあります。そして、こうしたTLDはその存在だけでGoogle検索においてランキングに(信用性という意味で)有利に働く一助にはなりそうです。「一助にはなりそう」というのは私のランキングにおける傾向から得た感覚です。やはりco.jp等に関しては無条件に変なサイトになり得ないという考えがGoogleにもありそうです。ただ、それを“ドメインランク”とか“オーソリティランク”とか、独特の呼称で査定するのは違うと思います。あくまでもGoogle検索における“働き”という印象です。

誰でも取得できるものではないTLDは、それだけでアドバンテージがありそうです。では、そのアドバンテージに個人は勝てないのか、という話ですが、それを上回る2.の要素があれば問題ないと思います。それは個人であっても運営者としての公平性や専門性、権威性を踏まえた説得力があるかどうか、です。GoogleはこれをE-E-A-T(経験-専門性-権威性-信憑性)で表現しています。個人であっても、「この道20年のベテランです」というのを経験し、またそれを証拠や道理として説明・理解されていること、そういった世間からの理解によって得られる他サイトからの紹介(があるほど有名であること)。これは被リンクやサイテーション、評判等が影響します。こうした権威者であれば、その辺の法人サイトよりもよほど権威的になり、説得力が増し、TLDの差分なんて吹っ飛ばしてしまうことでしょう。

法人として事業サービス化することで、その道のプロになり、世間からの評判やあらゆるサイトページからのリンク、サイテーションを受けるのは確かに道筋としては明確です。一方で、個人であっても、経験を重ねその道のプロになり、供給側でなくとも需要側として世間からの共感や評価、リンク、サイテーションを受ければ運用者として同じ土俵に立っています。運営元としての人格がマクロかミクロかの違いなだけですね。法人を立てる労力も加味すると、どちらの道の方が簡単かは分かりませんが、いずれにしても努力次第という感じです。

つまり基本は同じであり、Googleに差別はないというわけです。

クエリに対するLPの適正を考えると違いはありそう

先程は、発信者としての位置付けや身分による違いについて触れましたが、次にコンテンツにおける違いです。はっきり言ってコンテンツそのものの品質に違いはないはずです、作るのは人ですから。但し、検索クエリに対しては、どういうページが検索者に好まれるかがありますので、そういう意味では法人サービスの方が得意、個人の方が得意、という違いはありそうです。例えば以下のような違いがありそうです。

  1. 「〇〇 求人」等、サービスを享受したくて検索している人に対するページ:当然サービスをより網羅しているサイトやサービスを提供しているサイトの方が検索ニーズに合致しているため上位表示されやすい(≒法人サイトやサービスサイトのほうがTransactional Queryに呼応しやすい)。
  2. 「〇〇 比較」等、サービスを比較する上で口コミや評価、違いを知りたくて検索している人に対するページ:サービス紹介している側の意見より、第3者からの意見を知りたいため、それらを判断する(経験豊富な)個人ユーザーや比較サイトの方が検索ニーズに合致しているため上位表示されやすい。
  3. 「〇〇とは」等、情報を知りたくて検索している人に対するページ:先ほどのE-E-A-T以外は良質なコンテンツ(簡単に言えば、どこよりも詳しくて、分かりやすくて、網羅的で多角的であること)の勝負になる。

数年前にも私はE-A-Tについて説明する際に述べていますが、クエリによってGoogleが解釈する「誰の」「何の」ページかは変わるはずです。

例えば何かの食物の栄養素を説明するコンテンツであれば、管理栄養士の資格を持つ専門家の意見は重要ですし、そうした人の意見は科学的(合理的な根拠に基づいている)ですし、信用されやすいでしょうし、支持されやすいかと思います。一方で特別な何かを持っていない一介の主婦の意見だったら…それは飽くまでもサンプル数1(1人の意見程度)のコンテンツであり、あまり専門性や権威性は高く無さそうですよね。

しかし、例えば時短料理テクニックを説明するコンテンツであったらどうでしょう。管理栄養士の資格を持つ専門家の料理レシピより、毎日料理をしている主婦によるコンテンツの方が現実的で等身大で信用しやすくないですか?

このようにコンテンツの種類によって、「それは誰が書いた内容なのか」が大事であり、結果E-A-Tの解釈も異なってくるのです。だからこそ、Googleが雇用している検索品質評価者はガイドラインに則した判断をする必要があるわけですね。

引用)ふわふわビジネスブログ「E-A-Tについて」より一部

 

この違いを法人サイトと個人ブログの違いで解釈するのであれば、確かに検索クエリによって有利不利はあるかもしれませんね。ただ、私から言わせれば“対象とする市場ニーズが違う”だけであって、「法人サイトだからSEOに勝てる」という理由にはならないと思います。事実、3.においてはガチンコ勝負ができる市場だと思います。

法人はお金をかけ、個人は時間をかける?

いかがでしたでしょうか。こういう話を持ち出すとキリがないですし、私もここで全てを語ったとは思っていません。しかし、SEOにおいてGoogleが「法人だから」「個人だから」のような判断はしていないということだけは理解いただきたいなと思いました。

ちなみに、SEOに向けた労力という意味で申し上げますと、法人側であれば私のようなSEOコンサルタントを起用し、情報収集や施策代行を依頼することで時間をお金に代えて早く手を打つことができます。一方で、個人ブロガーや個人運用者はお金の代わりに時間をかけて自分で情報を収集し、自分でコンテンツを考え自分でコーディングをする、という手間のかかる業務が発生します。どちらが良いかは分かりませんが、労力のかけ方は確かに違いますね。

いずれにしても、私は愛と情熱が勝つのがSEOだと思っていますので、じゃんじゃんご相談ください。

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