人がメディア化する時代のYouTube

私は常々「人がメディア化している今の時代において、もはやプラットフォームはなんでも良い」と言っています。TwitterやYouTube、Instagram等のSNSが盛んになることで、ユーザーは当初そのプラットフォームの可能性を楽しんでいましたが、SNSが成長期から成熟期になるにつれ、プラットフォームよりもその中身――つまりコンテンツである人を楽しむようになりましたよね。そして今では、本来コンテンツに過ぎなかった人が独立しはじめ、個々にブランドを立ち上げたり、アプリサービスを開始したりしていますよね。つまりもうSNSは、プラットフォームよりも前面的に人がメディア化しているのです。

この考え通り、すでに一部のYouTuberはYouTubeよりも前面に出ており、もはやYouTubeはYouTuberとそのファンを繋ぐプラットフォームになっています。仮にYouTuberがYouTubeを踏み台として捉えていたとしたら、ファンとのコミュニケーション強化を考えると、別のプラットフォームへの拡大や独自のアプリプラットフォームを作成しかねませんよね。だから、YouTube側としては「飼い犬に手を嚙まれる」ことにならないよう、しっかりとYouTuberとの手綱を握っていなければならないわけです。

…と、私は考えていますが、そんな中YouTubeからYouTuberに対する支援事項をまとめた英文記事が上がっていますので、和訳してご紹介します。

動画

ふわふわ

YouTubeの公式ブログ記事より

米国現地時間2月18日にアップされたYouTube Official Blogによりますと、YouTuberへの啓蒙や専用スタジオの提供、トレーニングカリキュラム等、世界的に支援活動を行っているとのことです。

YouTube Spacesを通じて、より多くのクリエイターやアーティストを支援

YouTubeのクリエイターやアーティストは、YouTubeの根幹を担っています。ですので、彼らのことを第一に考え、彼らの創造性と成功を支援すべく常に新しい方法を試行錯誤しています。
“わずかこの4年間に、20以上の都市で45以上のポップアップイベントを開催し、普通に考えたら現実離れしているような人数である15,000人以上のクリエイターやアーティストに啓蒙することができました。”

これらの取り組みのひとつに、YouTube Spacesの創設があります。9年前、私たちは世界中の主要都市にYouTube Spacesを開設しました。YouTube利用の主要市場地点に開設したこのスペースによって、クリエイターやアーティストへ最先端のスタジオ、イベント、クラスなどの重要材料を提供することができました。しかしYouTube Spacesが何よりも重要なのは、貴重なクリエイティブの(人と人との)繋がりを築く場になったことでした。2016年、私たちはコミュニティが施設の物理的な4つの壁を超えて広がっていることに気付き始め、YouTube Pop-up Spaces――狭くて簡易なスペースを設け、一時的に20カ国以上の国で、YouTube Spacesの高品質プログラミングを共有できる場所――を立ち上げました。

わずか4年間で45回以上のポップアップイベントを開催し、15,000人以上のクリエイターやアーティスト、NGOや教育機関にリーチしました。これらのイベントは、ブエノスアイレスやメキシコシティ、マドリード、ミラノ、カイロ、ジャカルタ、台湾、ムンバイなど、通常では考えられないような20以上の都市で開催しました。また、ストックホルムやナッシュビルでの音楽を中心としたポップアップのような、ユニークでローカル色のあるイベントも開催しました。

COVID-19のパンデミックが発生した時は、パートナープログラムとバーチャル協力により焦点を当て直しました。2020年には、インドでのクリエイター向けの入門的な小さなワークショップから、米国での在宅クリエイター向けのバーチャルシリーズ、英国での多様な女性クリエイターの支援に焦点を当てたBoss&Bloomのようなプログラムまで、1,000以上のオンラインイベントを開催しました。昨年、全ての私たちの施設を閉鎖したにも関わらず、バーチャルイベントは世界145カ国で7万人以上の来場者数を記録しました。
“この柔軟性のある新しい戦略により、より多くの地域にリーチし、より多くの新規・既存のクリエイターやアーティストに好影響を与えることができました。”

今日、YouTubeのパートナーコミュニティは倍々ペースで拡大を続けているため、クリエイターやアーティストがどこにいようともニーズをよりよく満たす必要性を感じています。今後は、私たちが提供するツールやワークショップを使って、より多くのクリエイターやアーティストにリーチできるように、拡張性のある機敏な戦略を強化していきます。その結果、ベルリン、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、リオ、東京にあるYouTube Spacesの物理的な場所を再開するのではなく、バーチャルと対面でのポップアッププログラミングを組み合わせたハイブリッド型モデルに力を入れていきます。

この柔軟性のある新しい戦略により、より多くの地域へのリーチが可能になり、さらに多くの新規・既存のクリエイターやアーティストに、次のレベルアップに必要な指導やリソースを提供することで好影響を促進できると確信しています。

そして2021年、私たちは以下のお約束を挙げます。

  • クリエイターやアーティストを対象とした初の#YouTubeBlack Voices Fundの成長と成功に投資するため、数週間のバーチャル開発プログラムを米国、英国、ケニア、南アフリカ、ナイジェリア、ブラジル、オーストラリアで実施
  • ロシア、日本、フィリピン、ドイツなどで急成長するクリエイターを支援するためのNextUpプログラムへの継続投資
  • Creator Academyのラーニングツールキットの一環として、複数ライブおよびオンデマンドのオンラインワークショップを開催。これらのワークショップでは、クリエイターが自宅で素晴らしいコンテンツ制作ができたり、YouTubeツールを使ってマネタイズする新しい方法を模索できたり、ライブ配信のベストプラクティスを学んだりすることが可能。
  • YouTubeアーティストとレーベルのワークショップでは、最新の製品開発、コンテンツ戦略、ケーススタディを紹介。
  • 自粛期間が明けたら、再びポップアップイベントや様々な体験をより多くの新しいコミュニティに提供。プログラミングには、YouTubeショート動画のような新しいサービスのトレーニングやMusic Nightのようなイベントも予定。
    • YouTubeでの私たちのビジョンは、すべての人に発信できる機会を提供し、その景色を知ってもらうことです。この新しい啓蒙活動によって、私たちはまた大きく前進できるでしょう。

      引用)YouTube Official Blog

今までイベントやYouTuberに向けたスタジオ・スペースの貸し出しを行ってきており、それによってYouTuber同士の繋がりも生まれ、さらにYouTubeスペースの簡易版も作って好調に推移してきました。そして、新型コロナ禍においてはリアルイベントやスペースだけでなく、様々なバーチャル体験やオンラインイベントも加わり、新しい発信形式の醸成も含め、引き続きYouTuber支援が出来るようになっています。そして、2021年は今まで以上にYouTuberへの啓蒙と学習を強化すると誓っています。

ふわふわ

まだまだYouTube市場は続く…

日本でも何百万というフォロワーを持つYouTuberが何十組もいますが、世界的に見れば市場規模は小さいですよね。インドでは1,200万人を超えるフォロワーを持つYouTuberもいますし、視聴市場は3億人を優に超えます。それでもやはりYouTube側としても欧州等のプライマリー市場へのサポートが優先されるわけですね。
そういう意味で言えば日本は(人口規模が少数とは言え)まだまだですし、YouTuberにもまだまだ頑張ってもらいたいのが本音でしょう。私の肌感覚では、すでに日本のYouTube市場は飽和状態にあるように感じますが、1人当たりの視聴時間や登録チャンネル規模はまだまだ伸びしろがあると思います。5G等のブロードバンド強化によって視聴場所を選ばなくなる分、視聴時間が増えるわけですから、当然登録チャンネル数は増えても不自然ではないはずです。

また、YouTubeを脅かす存在としてIGTVやニコニコ動画等がありますが、インフルエンサーのリーチ力という点では独特な市場ですし、短編動画(TikTokやTwitterフリート)もYouTubeとは異なる市場(YouTubeショート動画が競合になるくらい)です。
そう考えると、まだまだYouTubeがオンライン動画市場を牽引しそうですよね。だから、YouTubeとしては今のうちにYouTuberを完全に囲い込み、他のプラットフォームの選択をいかに抑制するかがリーダー市場としてのネクストステップということになるわけですね。

おそらくYouTuberにとっては今後もっと細分化される発信者が増えていくでしょうし、YouTube市場を食い合う戦国時代が続いていくと思いますが、その分色々なことにチャレンジしていけるようになるので期待大ですね。


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