SEOに取り組んでいるあまり、まるでGoogleを神様や法の裁定人かのように思いがちですが、GoogleはあくまでもWebサイトを検索ユーザーに紹介するだけのプラットフォームです。ですので、第3者として提供しているに過ぎません。しかしながら、ここまで世界的規模で利用されていたり、情報提供の正確さによる検索ユーザーからの信頼を得ていたりすると、ただただ「うちは情報提供だけですから」というわけにはいかないようです。
とはいえ、Googleは法律ではないので、法に触れるようなものでない限り、あくまでもGoogleによるルール内での措置を行います。つまり検索結果から除外することです。そこで、Googleが検索結果からコンテンツを削除するタイミングについて、米国現地時間4月19日にThe Keywordで記事化していますのでご紹介したいと思います。
Googleの対応法
まず、Googleの発表記事を和訳します。
Googleの検索結果からコンテンツを削除するタイミング(とその理由)
開かれた情報へのアクセスはGoogleが掲げる指針の中核であり、Web上の情報を誰もが利用できるようになるべく日々努力しています。Googleは、可能な限り関連性と信頼性の高い情報を提供できるようシステムを設計していますが、検索結果にはオープンなWeb環境にあるあらゆるページが含まれているものです。ですので、検索対象によっては皆様が不快感を抱く可能性のあるコンテンツが検索結果に含まれることもあるでしょう。
Googleは、開かれた情報へのアクセスという信条がある一方で、法律を遵守し、ユーザーを保護することにも強いこだわりと責任を持っています。もしコンテンツが現地の法律に違反している場合は、Google検索でアクセスできないようにしています。
情報の質とWebページの削除に関するGoogleの考えは、皆様が必要な情報にアクセスできると同時に、オンライン上の有害な情報から皆様を守るために最善を尽くすというバランスをもってして成立しています。そこで、その方法について以下ご説明します。
法規制の遵守
Googleの検索結果からページを削除するための法的要件については、Googleは高水準を設けています。プライバシーや名誉毀損に関わる多くの問題は、国によって法的義務が異なる場合があります。これは、こういった複雑なテーマに対する措置が、国の結論によって異なるためです。
Googleは、人々や当局が法律に違反していると判断するようなコンテンツについて、Google宛に警告してもらうことを奨励しています。特に影響を受ける人々からの通知がない限り、Google側で必ずしもコンテンツが違法性に気付くわけではないため、殆どの場合、この手法で実際に皆様から警告いただく必要があります。
例えば、著作権のあるコンテンツの場合、そのコンテンツを掲載しているページにライセンスがあるかどうかを自動的に確認することはできないため、権利者側に教えてもらう必要があります。一方で、児童の性的虐待に関するコンテンツ(CSAM)の場合は、ページ上に存在するだけでも殆どの国と地域で違法扱いとなるため、そのようなコンテンツを自動的に識別し検索結果に表示しないようにする方法を開発しています。
合法的に削除されたコンテンツについては、政府からの削除要請に関する情報を透明性レポートで公開しています。また、可能な場合は、Search Consoleを介してWebサイトの所有者に削除要請について通知します。
自主的な削除ポリシー
法律で定められたコンテンツの削除以外にも、Googleは法律で定めるより厳格なポリシーを持っています。これは主に、オープンウェブ上に存在する極めて個人的なコンテンツに焦点を当てています。このようなコンテンツの例としては、金融情報や医療情報、政府発行の身分証明書、同意なしに公開された親密な画像などを指します。
これらのコンテンツは、一般に人々が秘密にしたいと考えている情報であり、なりすましや身元査証などの深刻な被害を引き起こす可能性があるため、検索結果からの削除を要求できるようにしています。
また、オンライン上の人々をさらに保護するために、これらのポリシーを慎重に拡大していくための新しい方法を模索しています。例えば、悪質な削除ポリシーを採用しているサイトでは、個人攻撃のためにその人の個人情報をWeb上で公開する――「doxxing」という「晒し」に対して、自分自身に関するページの削除を申請できるようにしています。このような場合、ユーザーによっては潜在的に有用な情報を見つけたり、サイトのポリシーや慣行を理解するためにこれらのサイトにアクセスしたいと思うかもしれませんが、ページ自体にほとんど価値や公益性がないことが多く、Googleが保護対象とすべき風評被害や物理的被害に繋がる可能性のほうが高いです。
規模に応じた問題解決
こういったコンテンツの問題を解決するには、より多くのコンテンツを削除したり、ページ単位で削除したり、サイト全体へのアクセスを制限したりする等、いずれかの方法をとるのが直接的で良さそうに感じます。しかし、この方法だけでは、Googleの指針にそぐわないだけでなく、毎分何兆ものページが追加されるオープンウェブの市場規模に対処することができません。拡張性があって且つ自動化されたアプローチを構築することで、こういった課題をより効果的に解決し、オンライン上の合法的なコンテンツへのアクセスを不必要に制限することも避けられるでしょう。
最も効果的な対策は、高品質で信頼性の高い情報が検索結果の上位に表示されるようなシステムを設計することです。また、Googleのポリシーや法的義務に基づいてページを削除していますが、削除したページから得られた傾向や知見をシステム全体の改善に役立てています。
例えば、あるサイトに対して有効な著作権削除要請が大量に寄せられた場合、それを品質シグナルとして利用し、検索結果でそのサイトを下落させることができます。また、自主的なポリシーに基づいてページを削除したサイトに対しても、同様のアプローチを行っています。これにより、削除要請対象自体を支援するだけでなく、他の似たようなケースでも問題に対応できるようになりました。
進化するWeb
結局、Google検索からコンテンツを削除したところで、そのコンテンツはまだWeb上に存在する可能性があるわけで、コンテンツを完全に削除できるのはサイトオーナー自身だけであることを忘れてはなりません。とはいえ、Googleでは、検索結果に機密性の高い個人情報が表示されることによる弊害に対処しており、法律を遵守するための厳格な取り組みを行い続けます。Googleは、Web上の悪者からユーザーを保護し、Googleが高品質で信頼できる情報をすべての人々に提供し続けることができるよう、常にアプローチを進化させています。
GoogleがWebページの削除をどのように扱っているか以外にも、検索機能に関するGoogleのポリシーについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。また、検索についてさらに詳しく知りたい方は、検索の仕組みシリーズの過去の記事をご覧ください。
引用)The Keywordより和訳
イタチごっこ施策
つまり、記事によればGoogleは違反コンテンツに対して以下の措置を行っているとのことです。
- 法律は国によって異なるから一概にアルゴリズムで自動排除できない
- 児童ポルノ等、どの国でも一律で違反とされるコンテンツは自動排除化できるよう取り組んでいる
- 個人情報や個人攻撃は法律以上に神経質に取り組んでいる
- 皆様から寄せられた削除要請やポリシー違反に関する通知をもとに、類似ケースに対処できるような汎用システムにも注力している
ただ、Googleは「日進月歩で悪質なコンテンツも増えている中、Googleにできることは検索結果からの排除なだけで、結局はサイトオーナーが消さなきゃコンテンツは残る」という趣旨も述べています。つまり、結局は悪質なサイトに対して被害者は法的な措置を行うことも必要であることを暗に意味していますよね。でも実際そうだと思います。GoogleはあくまでもGoogle内におけるコンテンツ掲載有無をジャッジするだけなので、それ以上を望む場合は自分で動かなければなりません。特にTwitter等のSNSで見受けられる個人攻撃ですが、今の日本では媒体側でIP情報を取り仕切って把握できる状態にあるので、以前ほど泣き寝入りしなくて済むようになったのではないでしょうか。
同様に、自分自身も気付かないうちに特定の人を傷つける発信者になっていないか、常に襟を正して取り組んでいかなければなりませんね。
いずれにしても、法に触れる発信や個人攻撃する発信はやめましょう。