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コンテンツは運用するもの

当たり前のように聞こえるかもしれませんが、コンテンツは運用していくものであり、「作って公開して終わり」ではありません。既にツイートしていますが、私がこう思っている背景と理由、また今後のコンテンツを見据えたビジネスや業務についてふわふわっと書いておこうかと思います。

なぜコンテンツは運用するものなのか

コンテンツの作成に関して、インターネット業界がまだ若いせいか、紙媒体等と同じように、公示する情報に関してもついついウォーターフォール型(≒計画を立て、戦略から実業務までしっかりと手順を遵守して制作物を完成させていく手法)で考えてしまう傾向があります。つまり、テキストの構成を考えて完璧にライティングし、それに合わせてUIを完璧に考察し、ページデザインを完璧に決定させてからコーディングしてHTMLに落とし込むという流れで作業します。もちろんこの方法は的確だと思いますし普通だと思いますし、間違っていません。しかし、一方で完璧に作り込むあまり、何かを修正しようとすると大元から考え直さなければならなくなったり、後戻りが容易にできなくなってしまいます。さらにライターやデザイナー、コーダーや公開保守担当者等の登場人物が多いこともあり、本能的に一度作成したコンテンツを修正しようと思わない傾向が強くなってしまいます(まぁ、実際ほとんどがこの理由だと思いますが)。その結果、コンテンツ――とりわけテキストライティングに関しては潜在的に“納品して終わり”という意識があるように感じるのです。

インターネットにおいて、Webサイトは24時間365日、情報を更新・改訂できるものです。だから情報スピードという点においてはあらゆる媒体(テレビとか雑誌とか新聞とかラジオとかOOHとか…)を上回ります。しかもGoogleが毎日の検索の15%は今までにない新しい検索語句だと言うように、常に新しい単語や解釈が増加しています。にもかかわらずフットワークの良いWebサイトのコンテンツ情報はずっと同じままでも良いのでしょうか。

…というわけで、コンテンツは運用するものだと私が考える理由を以下ご説明します。
 

Googleのインデックス方針を知る

様々なASPやSNS、CMSの普及のおかげもあり、今では誰でも容易にインターネット上にWebページ(URL)を作り上げることが可能です。そして、Google検索は(クローラーロボットを拒否する設定をしない限り)あらゆるWebサイトページを読み込み(インデックス)ます。Twitterのイチ投稿さえもGoogle検索はインデックスしています。どうでもいいような中身のないページでさえもGoogleはクロールします。
一方で、増え続けるWebページに対して、Google検索システムがインデックスする処理能力やデータベース能力を維持し続けることは非常に大変です。莫大なエネルギーを消費します。しかもサスティナブルなモノが求められる時代においてはなおさらです。そういった背景もあり、数年前からGoogle検索はインデックスすべきWebサイトページをある程度精査する傾向にあります。
つまり、Webサイトページを新規で作成してもGoogleがすぐにインデックスするとは限らず、ましてやそもそもインデックス対象に値するかどうか、Webページを取捨選択するようになりました。低品質なコンテンツのWebページはもちろんのこと、同じサイト内でも類似した内容のページを新規で公開してもGoogleは積極的にインデックスしないようになっています。

であれば、新しいWebページを作って公開するよりも、従来のGoogleにインデックスされているWebページをより良くしていった方が効率的且つ効果的ではないでしょうか。これが「コンテンツは運用するもの」と私が思う理由のひとつです。
 

ページのパフォーマンスは上げ続けるもの

いきなり公開したWebページがその時点で最適なんてことは絶対にないですよね。検索順位という単純明快な指標を見るだけでも、絶対すぐに1位に表示されるわけではありません。つまり、公開してからWebページのパフォーマンス状況を見ながらより良くしていくことをしていかなければなりませんよね。そのための指標は検索順位だけではなく、そのWebページの流入数、滞在時間、離脱率、(あれば)コンバージョン率など、数多くあるでしょう。
先に述べたようにインデックスされるWebページは無限ではありません。そして自分のWebサイトもトコロテン方式でWebページを詰め込んでいくものではありません。一度公開したWebページが様々な背景(社会的背景や経済的背景等のPEST分析要素に代表される内容)や流行に合致しているか、そして来訪者に対して充分なパフォーマンスを出せているか、そのためには何度も作り直したり改善して運用していくことが重要ではないでしょうか。

これが「コンテンツは運用するもの」と私が思うもうひとつの理由です。

ビジネスモデルを変えるべき

とはいえ、“コンテンツを納品して終わり”とするようなやり方をやめるにはそもそもの業務工程を見直さないと難しいかと思います。まずはベンダーとなるコンテンツ納品会社においては、発注会社はその取引形態をやめることです。“1記事〇円”とかで契約するよりも、“毎月〇記事リライトして〇円”のような契約形態で取引できるようになれば良いかと思います。手前味噌なセールスになってしまいますが、既に私の方ではそういうサービス形態を行っています。指定した優先順位と指標の組み合わせに則して、毎月決められた数のコンテンツページをリライトしていくという契約です。まぁサブスクリプションモデル形式をイメージしてもらえればと思います。こういった修正をするということはベンダー側にも業界知識が求められ、相応の信頼関係を築く必要があるかとは思いますが、これが一度上手く回るようになればとても良好なコンテンツの見直しループが成立するようになります。
このような発注会社とベンダーが増えていけば、世の中の法人Webコンテンツももっと面白いものになっていくのではないかと思っています。

また、冒頭でも述べた「ライターやデザイナー、コーダーや公開保守担当者等の登場人物が多いこともあり、本能的に一度作成したコンテンツを修正しようと思わない傾向が強い」件に関しても、(コンプライアンスや保守管理を理解している前提で)Webマーケターが自由にライティングやデザイン、コーディングできるようになればコンテンツを運用型として捉えられるようになるかと思います。ある程度UIデザインが整っていれば、ライティングとコーディング知識を持つだけでWebマーケターがコンテンツを運用できますよね。
そしてこちらも手前味噌なセールスになりますが、コーディング知識不要で自由に自分のやりたいようなWebページやLPが作れるようなサービスを開始しています。(今、流行の?)ノーコード作成ツールです。ただ、ノーコードで“ゼロから作成する”場合、それなりにツールを勉強しないとできませんが、“出来上がっているページを修正する”場合であれば用意にできますよね。そしてそれはまさにコンテンツを運用するということに繋がります。

コンテンツを運用するようにしていくなら身の回りから変えるべし

というわけで、結局「コンテンツを運用する」と一言で言っても、まずは今の業務体制や業務内容、固定概念化されたスキームを見直さなければなりませんので、是非体制を変えていくことにトライしてみてはいかがでしょうか。ちなみに私はいつでも何でもご相談に応じます(笑)。

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