• ルートドメインの切り分け貸し

ルートドメインの切り分け貸し

「御社のサブドメインを使って情報発信メディアを作りませんか?情報発信メディアの作成やコンテンツライティング、SEOは弊社側で独自に行います!」という営業を受けたことはあるでしょうか?
これ、海外では意外とそういう業者が横行しているようです。私は今のところ1回しかそういう業者に出くわしていませんが、Googleの見解としてはかなり微妙なようです。

サイトを切り分ける

どういう内容?

まずは、Googleの公式ツイートをご紹介します。

第三者が、誰かのドメインのサブドメインやサブディレクトリのコンテンツを提供出来るのかどうかと質問を受けています。それを行なうことは私たちのガイドライン違反ではありません。しかし、こういった行為が見られるようになり、私たちのシステムはメインサイトから独立したコンテンツなのかどうか、そしてそれらのコンテンツを適切に扱うことができるようにシステムを改善しています。

引用)@googlewmcより和訳

概して、他の誰かにサブドメインやサブディレクトリなど、メインのサイトとして表示される一部分を、厳密な指示や根本のサイトの関与無しで使わせることは推奨しません。

引用)@googlewmcより和訳

検索でとにかく成功したければ、私たちからのアドバイスは、あなたの努力やその努力からのブランド認知によって、価値のあるコンテンツの提供をすることです。

引用)@googlewmcより和訳

私には、これが業者による巧妙なE-A-T対策のように感じます。業者側は自分達でゼロからメディアを立ち上げようとすると、被リンクや権威性、専門性、信憑性を担保するのに時間がかかります。ましてや運営元を非公開にしたアフィリエイトサイト等はSEO優位にはなりづらく、まさにアフィリエイターには過渡期です。

そこで、権威性や専門性、信憑性を得やすい企業サイトのルートドメインを活用し、運営元も当該企業にすることで、安易にE-A-Tを担保して、ある程度アドバンテージを取った状態からメディアを立ち上げて行こうとする魂胆です。差し詰め企業サイト側には「これによってコンテンツも増加し、サイト全体としてのE-A-Tも上がります。弊社への費用はコンバージョンがある程度予測できてからの成果報酬や月額制で結構ですので」と営業しているのではないでしょうか。

ちょうど同じような記事が他にもあがっていたので一部引用紹介しておきますが、他にもサイト運用者側には以下のメリットもあったりするようです。

ほかのビジネス、たとえば比較サイトやクーポン配布サイトに、自分のサイトのサブドメインやサブディレクトリを提供し、そこにコンテンツを公開させて検索トラフィックを増やしていくやり方があるらしい。要は、他人の力を借りてコンテンツを公開し、本ドメイン名全体としてのサイトに対するグーグルの評価を高めようとする行為だ。

引用)海外&国内SEO情報ウォッチ|Web担当者Forum

そして、まさに私が最近、ある企業運用担当者に「こういう営業が来たんだけど、どう思う?」と相談されたところでした。

アイデンティティを分散するのは良くない

前述の通り、Googleとしては「サブドメインにせよサブディレクトリにせよ、サイトとしての枠組みやアイデンティティが同じ次元とパフォーマンス水準でない限り、第3者に運用させるのは推奨しない」と言っています。もっと分かりやすく解釈するのであれば、「ルートドメイン内でガバナンスが異なるものを第3者に任せるな」ということです。これには私も非常に同感です。

Googleは以前より「サブドメインでも基本同じサイトとして見る。しかしサイト特性が異なるようであれば別サイトとして見ることもある」ことを言っています(ごめんなさい、参照元を探すのが面倒でして…調べれば出てくると思います)。つまり、サイト特性が異なればGoogleはいずれ別物として判断するというわけです。逆に言えば、別物と判断するのであれば、ルートドメインの権威性は無関係ということになるわけです。

そう解釈すると、今度は「無関係になる程度であれば、マイナスではない限りやってみても良いのでは?」と考える人もいるでしょう。しかし、逆に私はマイナスになる要素の方が良いのではないかと考えています。

GoogleはE-A-Tの要素においては、Webサイト内におけるエコシステム――ここでは仮に「情報循環ネットワーク」という言葉を使わせていただきますと、その情報循環ネットワークにおいて、「誰が」というのを重要視しています。つまり、様々な業界ネットワーク(外部リンクで繋がる銀河系をイメージしてみてください)やサイテーション(噂)、レピュテーション(評判)を知名度だけではなく、専門性(情報の深度や資格)や権威性(外部リンク集約や個人の来歴)等、数多ある情報から定量評価しているわけです(多分)。

それは一朝一夕で形成できるものではなく、また具体的なテクニックで何とかなるものではないと思います。コンテンツがどうとかだけでなく、サービスやオフラインコミュニケーション等を長年かけて積み上げてきたもののはずです。

そうして積み上げてきたアイデンティティの一部を誰かに預け、たとえその一部がマイナスになったり、別評価されたりすることになっても、本体にとって影響が無いと言えるでしょうか。それってとても怖いことではないでしょうか。

私は、Googleが言いたいことはそういったことなのではないか、と推察しています。

暖簾分けでも看板貸しでも…

とにかく、徹底した企業意識やアイデンティティ、UXを共有しきれていないのであれば、アンコントローラブルなことはせず、ちゃんと自分の大切な看板を守るようにしてください。

もちろん全てを共有し、しっかりと関係構築できているところであれば、無下にダメ!というわけでもありませんが…それでもやはり私はオススメしませんね。

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