• 2023年4月の米オフィスアワーより②

2023年4月の米オフィスアワーより②

2023年4月に米国本国で行ったEnglish Google SEO office hoursについて、フォローアップ記事を和訳した前半の続きです。2023年4月の米オフィスアワーは全部で20個あり、今回は残りの12個の質問をご紹介します。やはり毎度のことながら、前半の質問より後半の質問のほうが面白いです。なぜでしょうね。私が偏っているだけでしょうか(笑)。

質問と回答

今回もそんなに…という感じですし、おそらく初心者向けのこういったQ&Aが続くのでしょうね。ただ、いつだって市場を大きくするのは初心者なので、初心者向けに発信し続けるのは良いことかもしれません。今回ご紹介するのは、全20質問のうちの後半12個です。個人的にはかなり興味深い内容が含まれていました。まず和訳したものをご紹介します。
 

9.私のサイトで不良URLが見つかりました。これは私のサイトのクロールに影響はあるのでしょうか?

John:Alexからのご質問です。「もし私のサイトに掲載された粗悪な広告のせいで、わずか数日で120万もの不良URLがGoogleに発見されたとしたらこれは私のサイトにとって問題ですか? 私のサイトがクロールされる上で影響はありますか?」

文脈から、広告に相対パスを使用していることが分かりましたので、クローラーはリンクを辿ろうとしたのでしょう。総じてGoogleのシステムはこの種のインシデントを認識し処理するように努めているため、今回のように誤って大量の無関係なURLが生成されるのは、あなたがはじめてではありません。一時的にクロールの回数が増えサーバーの負荷が重くなることはありますが、状況によっては数週間後に再びクロール頻度が戻ることもあります。これらのURLがインデックスされないことは、他のURLのインデックスや品質の評価においてGoogle検索上の問題となることはありません。そのため、インデックスされていないURLがたくさん存在していること自体は問題ありません。
 

10.Googlebotに対しては410を、ユーザーに対しては200を使い分けるのはOKですか?

Gary:Wolfgangからのご質問です。「大量にクロールされるSEOには無関係なURLに対して、GooglebotにはHTTPステータスコード410を、ユーザーにはステータスコード200を提供することはGoogleの観点から見て問題ないでしょうか、それともこれはクローキングとみなされますか?」

ステータスコードのクローキングは、一般的にかなり悪い取り組みであり、私は強く反対します。質問されたような複数の配信条件を作った場合、最終的に何か不具合が起こりそうです。何が問題だったのかにもよりますが、最悪サイトが検索結果から外れてしまう可能性もあります。特定のページを検索結果から除外する必要がある場合は、そのページにnoindex robots metaタグを追加しましょう。これは不審な配信条件を設定するよりもはるかに簡単で、ずっと安全です。
 

11.Googleは301と比較して、308のステータスコードをどのように扱いますか?

Lizzi:Riccardoからの質問は「Googleは301と比較して、308のステータスコードをどのように扱うのでしょうか?」

Googleでは、この2つを同じものとして扱います(どちらも“永久的な移転”を意味します)。Googlebotは308301と同等に扱い、これらのコードはリダイレクト先が正規化されるべきという強いシグナルになります。
 

12.Google Search Consoleで見るインデックス速度を上げるにはどうすれば良いでしょうか?

Gary:Shaileshからの質問です。「Google Search Consoleで見るインデックス速度が非常に遅いです。インデックスを保留している項目がたくさんあります。その速度を上げるにはどうしたらいいでしょうか?」

Googleがあなたのサイトをどれだけインデックスするかは、Googlebotがあなたのサイトのどれだけの部分にアクセスできるか、そしてあなたのページのコンテンツの質に依存します。品質が高ければ高いほど、Googleはあなたのサイトをより多くインデックスする可能性が高くなります。詳しくは、developers.google.com/search にあるドキュメントをご覧ください。
 

13.Google検索結果に自分のWebサイトが表示されません。どうすればいいのでしょうか?

John:Melissaからのご質問です。「私のWebサイトがGoogle検索に表示されません。他に何をすればいいのか分かりません。助けてください!」

Melissaさん、こんにちは!ご指摘のURLを確認してみましたが、残念ながら私たちも検索結果から全く見ることができないものでした。この場合、Googleがあなたのサイトを発見しインデックスするのは本当に大変なことです。誰かにあなたのWebサイトを言及してもらう以外の方法だと、Search ConsoleにWebサイトを追加し、サイトマップファイルを提出してもらい、トップページやその他個々のページを直接インデックスのために提出することも可能です。お役に立てれば幸いです。
 

14.なぜ“Wifi”と“Wi-Fi”はGoogleによって同じとみなされないのでしょうか?

Gary:匿名の方からの質問です。「なぜ“Wifi”と“Wi-Fi”はGoogleに同じとみなされないのですか?」

良い質問ですね!“Wifi”とハイフン付きの“Wi-fi”は、Googleではほとんど同じように扱っていますが、人々も2つの言葉を区別せずに混同しており、両者の検索結果は若干異なるものの、基本的にはユーザーが検索したスペルに近いものを表示するようにしています。​しかし、純粋に言葉の意味を理解する観点からは、Googleは“Wifi”とハイフン付きの“Wi-fi”を同一視しています。
 

15.ratingValueとreviewCountの構造化データで書き込みが無いのはSEO的に悪いでしょうか?

Lizzi:Renからの質問です。「ページに埋め込む構造化データタイプのうち、ratingValuereviewCountのプロパティの値が欠落しています。これは、レビューが0件のページのみの話です。この状態は私たちのサイトのSEOに悪影響を与えているのでしょうか?」

Renさん、こんにちは。reviewCountの値が0でも問題ありません。これは、まだレビューがない新しい商品ページでは普通のことで、そのためこのプロパティはしばしば空欄か、または初期値として0に設定されます。これは、Googleがリッチリザルトで表示するものがないことを意味しており、評価がなければ星のレビュー情報を表示することができないだけです。
 

16.ある特定のキーワードで、自分のサイトがSERPから削除されることはありますか?

Gary:Kamilからの質問です。「あるキーワードで私のサイトがSERPから削除されたのですが、何か対処法はありますか?私たちは1位にランクインしていましたが、今は完全にランク外です。ページはインデックスされています。」

たった1つのキーワードで完全に順位が下がることは、本当に珍しいことです。もし本当にある特定のキーワードで順位が落ちたのであれば、通常は検索結果で他のページに順位が抜かれただけのことです。まず私なら、世界中から見てもそうなってしまっているかを確認します。遠い国外の友人にそのキーワードで検索してもらい、教えてもらってください。もし、あなたのサイトが表示されていれば、それは“マトリックスの不具合”、つまり想定外のエラーと考えられるでしょう。もし表示されなかった場合は、次に自分の過去の行動を振り返って、その原因となるようなことをしたかどうかを確認します。内部リンク構造やページレイアウトを変えたか、リンクを増やしたか、否認ツールを使ったか等、それぞれがランキングに何らかの影響を与える可能性があります。それらを調べることはおそらく助けになるはずです。
 

17.古いコンテンツの削除ツールで私のリクエストが拒否されたのはなぜですか?

John:ここでの次の質問は、ウェブマスターが最初の記事に変更を加えた箇所についてです。「私は古いコンテンツの削除ツールでリクエストを出したのですが、拒否されました。」

こんにちは!ツールにリクエストしたというリンク先ページを拝見しました。このツールは、ページ自体は存在し続けるものの、特定の文言をページ上から削除した場合に使用します(例えば名前や電話番号などです)。そしてこのツールは、ある文言が削除されたにも関わらず、まだGoogleの検索結果に文言が残っていると判断した場合のみリクエストを受け付けています。今回の場合、Googleにあなたのページの文言は残っていなかったので、ツールとしては何もすることがなくリクエストを拒否しただけです。基本的にはこれで完了ということです!
 

18.Google Domainsにドメインを移行しました。Google検索に表示されるまでにどのくらいかかりますか?

Gary:匿名からの質問です。「最近Google Domainsに移行したドメインがGoogle検索に表示されるまでどのくらいかかりますか?」

Google検索で古いサイトのURLを新しいURLに置き換えるのにかかる時間は、サイトそのものに大きく依存します。数日から数ヶ月かかることもありますが、原則質の高いサイトほど早くなります。
 

19.レシピの構造化データをリッチリザルトの対象とするために、どのように最適化すればよいのでしょうか?

Lizzi:Koenからの質問は「リッチスニペットの対象とするために、レシピの構造化データを最適化するにはどうすればよいですか?すべてのオプション属性が‘null’であっても問題ないのでしょうか?このレシピは、すべてのステップにおいて‘name’プロパティと‘image’プロパティを持ち合わせていません。」

あなたのサイトをレシピの構造化データのリッチリザルト対象とするためには、必要なプロパティを追加する必要があります(これらはレシピドキュメント内の別表に記載されています)。imageプロパティとnameプロパティは必須なので、それらを埋めることに注力し、空欄にならないようにしてください。オプションのプロパティが空であっても構いませんが、あるに越したことはありません。例えば、cookTimeを指定しない場合、Googleはリッチリザルトの一部を表示しない可能性があります。レシピのレビューについても同様で、誰かがレシピをレビューするまで空欄になることがよくあります(これ自体は問題ありません、ただそのレシピのレビューが付くまでは何も表示されません)。また、すべての料理のステップにnameプロパティとimageプロパティがなくても大丈夫です。まず、これはGoogleアシスタントでレシピを最適化しようとしている場合(ドキュメントでは“ガイド付きレシピ”と呼ばれています)、ステップに名前をつけることに意味がある場合のみ推奨されます。ステップがすでにかなり短い場合、これは意味がないこともあります(例えば、“オーブンを350度で予熱する”を“予熱する”だけに短縮するためにnameを使う必要はあまりありませんが、レシピにたくさんの項目や複雑な手順がある際は意味を持つこともあります)。
 

20.私のサイトのdescriptionに、私のサイトのものではないスパムが表示されるのですが、なぜですか?

Gary:匿名希望さんからの質問です。「私のサイトのdescriptionは、私のサイトからのものではないスパムが表示されています。なぜでしょうか。」

残念ながら、これは通常あなたのサイトがハッキングされたことを示すサインです。Web.devでハッキングされたトピックを検索してみましょう。簡単ではありませんが、サイトをきれいにし、より安全にすることはできるでしょう。

引用)Google SEO Office Hours|Search Centralより和訳

 

今回は面白い内容が多かったです。私が興味深く感じたもの(Googleの中の人の言質が取れた、再認識した、と思ったもの)は以下です。

  • 間違って、ファイルが存在しないURLを大量に作ってしまっても(存在しないURLへのリンクを大量に作ってしまっても)、サーバには負荷をかけるであろうが、他のページの評価に影響はない。直せばGoogleのクローリングも落ち着く。(9.より)
  • botと人でステータスコードを変えるのはクローキング扱いとなり、内容によっては手動対応を受ける。ユーザーエージェントでステータスコードを切り替えるよりmetaでリダイレクトや正規化をしたほうが安全。(10.より)
  • Googleのリダイレクト処理に関しては301も308も変わらない(ちなみに複雑で神経質な情報を含むようなものは301や302より308や307にすることが多いのですが、正直どちらも変わらないと思います)。301や308はリダイレクト先を正規化する働きが強い(逆に言えば302や307はリダイレクト先を正規化する働きが弱い)。(11.より)
  • 品質が高いページほどインデックスタイミングが早い。(12.より)
  • ハイフンがあってもなくても同義語として扱ううえで、人間と同じように微妙な使い分けを意識する。そしてクエリに一致しているほうを出そうとはする(ということは伸ばし棒や中グロも同じような扱いだと思われる)。(14.より)
  • 構造化データのマークアップにおいて、第3者からの評価や記載がまだ無いプロパティがあっても、それはマイナス評価というわけではなく、ただリッチリザルト化しないだけなので問題ない(おそらくレビュー系やQ&A等も対象)。(15.より)

ここでのQ&Aは誰かに教える時の根拠になる

私がいつもこのオフィスアワーを確認しているのは理由がありまして…。コンサルテーション業務において、私から取引先の人に教える時に「え?こないだSEO会社から逆のことを言われたんだけど」と返答されることがあるからです。全く、たまったものじゃないのですが…びっくりするようなことを企業のご担当者に言う輩もいるのです。

私にとっては常識的な内容だったりするので、いちいちドキュメントを探して…とかも面倒で「ほら、ここでGoogleの中の人も言っています。普通に考えてもGoogleは○○な方向性を目指していますし、人間に対して○○なことをしようとしているので、ここでこうやってGoogleの中の人も言っている通り、こっちのほうが自然ではありませんか?むしろ、私と逆のことを言っている人に根拠を提示してもらってください」と返しています。

ですので、オフィスアワーでのこういった質問と回答を記録化しているんです。そして、後から同様の事態に陥った時、普通にGoogle検索で探すと色々な情報が出てきて分かりにくいので、私のこのブログ内で検索するようにしています。そうすると「そうそう、ここのオフィスアワーで言っていたんだった」と思い出してご紹介できる、という仕組みです。

…というわけで私のブログ内検索をぜひご活用ください(笑)。

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