最近、SEO業務をしている上で非常に痛感していることがございます。「SEOを加味して制作・コーディングする」とか「SEOを加味してライティングする」という業務です。果たして同じ人間が本当にこれらを同時に実現できるのでしょうか。まだまだ「良い制作物=SEOに強い制作物」とは限らない以上、現実問題としてここにぶつかったりもすると思います。
SEOを加味した制作・コーディング
“SEOを加味して”という範疇にもよりますが、これは実際に1人の人間として行ってみると分かります。(meta情報や見出しタグの独自ルール等の)コーディングルールをSEO上の要件定義に合わせて設けることはできますし、サイト全体ルールを横串しに設けることは可能です。無機質に定義付けすることができるため頭がそこに持っていかれることは殆どございません。しかし、ページ単位内のコンテンツ内容やalt属性等、細かな要件を有機的に定義していくと制作の手が止まってしまいます。
制作しながらSEOを同時並行して考えることは、都度都度SEO上の要件を満たしているか確認しながら進めることになるので、実際の制作業務が遅々として進みません。何より脳内のSEO占有率が増加することで制作自体の良さや考えを発揮できなくなるのです。これではどっちつかずの中途半端な制作やコーディングになってしまいます。
SEOを加味したライティング
同じようにライティングもそうです。施策キーワードのテーマを深掘りするために関連クエリや派生クエリを分析しながら、文章をまとめていったりしますが、下手に関連クエリを含めようとして文章を書くと、何も面白みも無い“置きに行った”内容にしかならなくなります。
良質なコンテンツやライティングは、しっかりと文章内容そのものに向き合って集中すべきです。ライティング内容自体に「施策クエリで順位が向上するような…」「テーマ性が担保できているか…」なんて頭に含めながら書いて、良い文章ができるわけがございません。
解決には登場人物の増加と時間差検証
では、どうすべきか。
私の経験上、明確な役割分担が必要であると考えています。
SEOの要件定義者
最初にSEOを意識してどういう設定やコーディングをすべきか考える人。制作上行ってほしい手段(画像の扱い等も含む)を決定する。
制作ディレクション
SEOの要件定義を踏まえ、どういった内容で実際に作業していくべきか決める人。制作上のポイントとSEO上のポイントを理解すること。
現場担当者
実際に制作したりライティングする実施担当者。SEO要件は考えない人。クリエイティブのみを追求する。
これら登場人物を設定し役割を細分化します。そして以下の手順によって作業とSEOが同時並行しない様に時間差を作ります。
きっと各役割を全て出来る人もいるでしょう。それでもその人が全ての業務を行わない方が良いと思います。つまり組織チームで作り上げた方が良いです。「登場人物が増える分、共有や情報交通も煩雑化する」「船頭多くして船山に上る」懸念を訴える人もいるとは思いますが、最適に制作もSEOもクリアできるような(運用管理)体制を考えるとどうしても私は今回のご提案体制の方が良いと思えます。制作会社に発注する企業側であればなおさらこういう運用管理体制を望んだ方が良いと思います。
余裕を持って着手すべき
あとは時間ですね。
発注や依頼からローンチまでの時期がタイトでは、こういった管理体制も敷くことはできません。全て“ながら制作”するしかなくなります。私の経験値上、ページ数や制作要件次第ではあるものの、発注や依頼からローンチまでは半年以上は必要だと考えています。通常の検収期間内では上記に書いたようなSEO要件検証は完了しきれないので、検収期間を伸ばすと良いでしょう。
一応本記事は飽くまでの私個人の見解ですので賛否両論あるかもしれませんが、最近のサイト制作の依頼レベルがどんどん上がってきていますので、ちょっと気になってメモ代わりに書いてみました。