「犬も歩けば棒に当たる」ということわざがあります。このことわざを如実に表した事件が昨今のDeNAによるWELQ騒動ですね。この騒動に関しまして、私の感想もふわふわっとご紹介したいと思います。
何があったの?
WELQ騒動に関しては、以下の参考URLをご覧になっていただければ、アウトラインをご理解いただけると思いますので、ご紹介します。
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DeNAがやってるウェルクっていうのが企業としてやってはいけない一線を完全に越えてる件
ハフィントンポスト
note
Welq問題は(DeNAだけじゃなくて)Googleも批判されるべきだと思う
ITmediaニュース
withnews
DeNA、人気サイト「MERY」の記事も大量削除「無断転用した可能性」
簡単にご説明すると、今回のWELQ騒動には以下の流れがございました。
2.SEOで上位表示されていた。
3.その中には事実無根の記事も多かった。
4.特に健康医療面での不確かな情報は巷で危惧されていた。
5.DeNA内で運用内容を見直し、WELQの全記事を非公開に。
6.DeNAの9つのキュレーションメディアを(MERYの一部以外)全部非公開や削除対応。
まだまだ波紋は続いている状況です。
私の感想
さて、話を元に戻しますが、「犬も歩けば棒に当たる」というこのことわざには2つの意味があります。
➁ 積極的に行動すると思わぬ幸運に出会う
びっくりするほど真逆の意味を2つ含む不思議なことわざなのですが(好転した意味が加わりました)…今回のDeNA(及びWELQ)はまさにこのことわざを体現していると思います。
彼らは体力(工数、費用)を最大限に利用した新しい事業を持って行動しました。そして、Googleが最大の課題として残している(であろう)“情報の真贋に対するアルゴリズムの欠落”、そしてDMCA(デジタルミレニアム著作権法)の判断が難しい“スクレイピングとリライトの違い”を巧妙に突き、新しいビジネスとして大海に乗り出したこの事業は見事にモラルという壁をぶち破り、判断が弱まっている(医療関連)検索ユーザーにも誤解を与えることになりました。あちこちのWebサイトの貴重なコンテンツをちょっと被せてライティングし、掲載・提供したようですが、そのパクリレベルは閉口するほど…。実は私も運用メディアで被害を受けたクチでした。
しかし皮肉なことに、この1日何百記事、1ヶ月で何千記事をアップできる体力を使った新しいキュレーションスキームはおそらく相当量な利益額をDeNA側にもたらしてくれたに違いありません。コロンブスの卵と同じ原理で、このことを口撃したところで(インターネット売上敗者の)負け惜しみのように聞こえてしまいますので、これ以上は控えさせていただきます(笑)。
とにかくこうしてDeNAは「犬も歩けば棒に当たる」ことわざ内での“積極的に行動した結果、思わぬ幸運に出会えた”わけです。
そして、ほどなくして“出しゃばって行動したために思わぬ災難に遭う”わけですが、きっとこのことによって損失した資産は売上だけに留まらずブランドとしても失墜したかもしれません。株主総会で掲げたDeNAパレット事業の拡大に関しても大幅な下方修正(というレベルでもない?)を余儀なくされています。
ですので、色々な意味でDeNAは「出ちゃったなぁ…」というのが私の感想です。
問われるモラル
さらには、DeNAだけでなく、これを機にNAVERまとめ等のキュレーションメディアそのものの意義や信頼性も問われ出しています。そして結果的に以下の各登場者に関しても疑問を呈されています。
キュレーションメディアの引用倫理
何でもかんでも引用元を明記した上で、オリジナルな見解が無い継ぎ接ぎのページを量産していくのはどうか?まさに「他人のふんどしで相撲を取る」ビジネスがハブスコアの恩恵も含め、SEO有利に働いてしまうのはどうか。
Googleの検索アルゴリズムとしての在り方
今回のように「肩こりの原因は背後霊にもある」や「死にたい人に転職を紹介する」等、非科学的且つ誤解を招くようなサイトページを上位にしてしまう(=人の目に触れやすいようにしてしまう)ことは、Googleの検索市場を考えると、世間への陽動をも誘発できるという点で非常に恐ろしい。情報の真贋を判断できるようなアルゴリズムや責任感は無いのか。
クラウドソーシングによるライティング
1文字数円程度でライティングする素人を不特定多数抱えるクラウドソーシングシステムは、その手軽さから、読み手の理解を促すようなコンテンツではなく、サイトページを埋めるだけの文章しか生み出しにくい。それでも、数の理論でそういった記事がインターネットを席捲してしまう。結果、真にユーザーが喜ぶようなコンテンツが埋もれ、インターネット全体の情報価値が下落し、インターネット自体がただの井戸端メディアになってしまう。そもそもクラウドソーシングビジネスは建設的な社会貢献を達成できるのか。
アフィリエイトの倫理観
絶望的なキーワードを入力し、情報を検索しているユーザー相手にただただ金儲けを考えるアフィリエイト設計は社会を駄目にしてしまうのではないか。困窮したユーザーを食い物にする完全なモラルハザードのままで良いのか。
ユーザーに求める情報選択力
匿名で情報を発信し続けられ、素人でもライターを語ることができ、さらには情報の受け手同士でコミュニケーションを取ることもできるのはインターネットくらい。それが故に情報を得ようとする側にも情報の真贋や信用性を判断する力が求められている。検索結果1位が万人に支援されている情報とは限らないことを念頭にインターネットを利用すべきだ。
インターネット業界で問題が起こる度に、常に問われるモラル。こればかりは非常に難しい問題ですね。今回の登場人物が今後徹底しても、また新たな金儲け事業者が現れるでしょうし、きっとこれから長い間、何度もこういった問題を繰り返していく中で、技術力と倫理力で良くしていくしかないのでしょうね。
検索結果のことだけ考えると…
凄く単純な私の意見で申しますと、検索タイプ(すべて、ニュース、画像、等のこと)に「法人」というタイプを作成しちゃえば良いのになぁ、思います。そこにはco.jpやac.jp、or.jpやlg.jp等の特殊なSLD(セカンドレベルドメイン)の情報しか掲載できない、みたいな…。真に情報を欲しいユーザーはそういった情報発信源が明確なメディアだけを閲覧すれば良いようにできたら良いですよね。
まぁ、きっとそんな単純な話でもないですし、こればかりは色々な考えがあるので、私からはこれくらいで触れておきたいと思います。いずれにしましてもこれからのキュレーションの行方が気になりますね。