キュレーションの行方は

かのWELQ騒動の続編です。その後、様々な波紋が広がっているようですので、その中の一部だけご紹介します。

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MERYも全記事非公開に

DeNAは12月7日をもってMERYも含む10メディアの全記事を非公開にすると発表しました。

MERYの運営体制・方針は、既に記事非公開化を行なっている9つのメディア(WELQ、iemo、Find Travel、cuta、UpIn、CAFY、JOOY、GOIN、PUUL)とは異なっておりますが、運営に関する疑義を明らかにするための厳正かつ公正な調査を行なうにあたっては、サービス運営が停止していることが必要との判断に基づき、MERYを含む全てのキュレーションプラットフォームサービスの記事の非公開化を行ないます。MERYの全記事非公開化は12月7日を予定しております。
引用)株式会社ディー・エヌ・エー

DeNAでは12月7日に記者会見を行うとしている。
引用)TechCrunch Japan

どんな記者会見になるかは分かりませんが、せっかくのスキームですのでうまく継続活動していただきたいと思っています。情報の内容が倫理的にどうかという騒動が焦点ではありますが、Google検索に引っ掛かりづらければここまで大きく取り上げられなかったのでは?とも思ってしまいます。

NAVERまとめは新方針

NAVERまとめを運用するLINEは12月5日、いち早く運営方針の変更を発表しました。まとめ記事作成者にオーサーランクを適用したり、引用した元記事著者に掲載の是非判断やインセンティブ付与を行ったりするというものです。

今後はLINE IDで認証を行い、作成者の経歴、背景などを審査や承認し、ランクを付ける。ランクに応じて上位表示や、PVに応じた報酬がより高いレートになるなどのインセンティブを設定する。
引用)ITmedia ビジネスオンライン

1次情報発信者は、サイトやURL単位で著者登録を行う。審査、承認後は、1次情報発信者が「この情報はまとめていい」「この情報はまとめ不可」など利用範囲を設定可能にするという。
コンテンツがまとめで紹介された場合、貢献の指標に応じて1次コンテンツの著者にインセンティブを還元する。
引用)ITmedia ビジネスオンライン

ちなみにこのLINEの発表は上級執行役員である島村武志氏による記者会見でしたが、その際に島村氏は以下のように発言したそうです。

キュレーションの定義について言えば、『コンテンツを作っている』のはキュレーションではない。それをキュレーションと言っていいのかという気持ちがあるのは事実
引用)BuzzFeed

新施策導入でサイトにコスト面で影響は出るが、島村氏は「利益としては削ることになると思うが、ここは責務として考えているとこで、利益が出ればそれでいいのかということではないと思っている」と話した。
引用)毎日新聞

極めて真っ当なご意見ですね。キュレーションでのまとめ記事作成者は飽くまでも“コンテンツチョイス能力”に長けているわけであってコンテンツではない、と。でもそういった記事が全面に出ていく以上、まとめ記事作成者自体の信用性も問われるので、その信用価値を計るための手間暇は惜しまない、と。

確かに言葉尻の引用のしかた次第で元記事の意図を変えることだって出来てしまいますし、私も引用させていただいたりしている以上、気を付けなければなりません。

その他記事削除のキュレーションメディア

その他、様々なキュレーションメディアが記事を見直し、削除や非公開を行っているようです。「Spotlight」「by.S」「ギャザリー」等です。「TRILL」に関しましては、この騒動よりも前に画像の無断利用等を理由に記事を削除していました。

サイバーエージェントの担当者によると、運営する「Spotlight」「by.S」でもWELQの件を受けてあらためて掲載中の記事を精査。もともと「Spotlight」には約10万件の記事がありましたが、その中で今回非公開になったのはおよそ数千件。「by.S」に関しても約3万5000件あった記事に対し、数パーセントにあたる記事が非公開となっているとのこと。
引用)ねとらぼ

リクルートライフスタイル(東京)も1日から、「ギャザリー」の健康関連記事を中心に全体の4分の1に当たる約1万6千の記事の公開を中止した。
ヤフーは10月、女性向けファッションを扱う「TRILL(トリル)」の記事の画像に、他サイトから無断転用があったとして、外部ライターに依頼した独自記事は全て削除した。
引用)佐賀新聞

各社“自粛”という形でいち早く記事削除を進めていますが、今後はNAVERまとめのように、二度と騒動を繰り返さない様な未然防止策や仕組みを作らなければなりませんね。キュレーションのイケイケドンドン(笑)な時代は、思いもよらぬ成熟期(転換期?)を迎えたようです。

記事もキュレずば廃れまい

ちょっとことわざ付いてる私としましては(笑)、下手に引用し繋ぎ合わせることで誤解を招く情報を発信してしまうからモラルが問われるわけで…正しく引用、組み合わせを行えれば、キュレーションメディアも非常に有用だと思います。しかし、それが行き過ぎて人目に触れることで、元記事への接触機会が減少してしまったり(例:一般検索で下落)すれば誰だって気を悪くしますよね…。

私もこの業界にいるので、一般には分かりづらい状況をお話ししますと…かなり御触書が出回っています(笑)。アフィリエイト出稿企業やコンテンツ作成依頼企業、メディア側等、記事の取り扱いに関する公序良俗(要は人様のモノをパクらない)違反をしないことや記事内容の事実や根拠を明確化してコンテンツ化するように等、覚書のように企業間で再確認し合っていますね。一応「念のため」という確認ですが、方々で飛び交っている状況です(笑)。

ちなみに私の場合、(自分の運用メディアがまとめ記事に引用された結果)自分の運用メディアの方が一般検索で上位表示されなくなってしまうとかなり違和感を覚えますが、このふわふわビジネスブログを引用されることについてはまるで何とも思いません(笑)。やはり運用側の力の入れ具合によってもキュレーションメディアに対する見方が変わるものなのでしょうね(笑)。

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