LPの考え方

よくご相談いただくシリーズとして、最近多いことに「一般検索からの来訪ユーザーへの販売促進」というのがあります。順位が上がった次のステップとして、直帰率を下げ、サイト回遊と申し込みを促す情報設計というやつです。そこで、ここではリスティングで散々PDCAを回してきた私なりの解釈と考え方をご紹介します。
皿

商売における3つの原理

私が新卒で広告会社に入社した時に散々教育されたことがあります。当時のダイレクトマーケティング事業部長で、その後大手通販会社の副社長になった方なのですが、その方がよく言っていたこと―「どんな時代であれ、”共感”と”信頼”と”感動”があればモノは売れる」。当時の私は紙媒体をやっていたのですが、インターネット媒体に変わってもその原理原則は変わっていない気がします。事実、このことを意識して作成したLPのリスティング獲得率が従来の130%になりました。要はそれをそのままページ構成に落とし込んだのです。

共感

ユーザーの心理を代弁する
プロモーションを行う上で、そのコミュニケーションを取る時、ユーザーがなぜここに来たかを考えることが重要です。なぜその広告をクリックしたのか、なぜここを読もうとしたのか…そこからユーザー心理を仮説立て「こういうことあるよね?こういう不安や不満あるよね?」等、ユーザーが引き込まれやすくなるよう、ハートをキャッチすること、つまり共感を得ることが大事です。このためには入念なターゲット分析が必要になります。でもここが直帰率を防ぐために最も重要な要素だと思います。検索クエリからの来訪の場合、その検索クエリから検索心理を読み取り、共感要素を探ることが重要です。

信頼

安心要素を作る
共感を得たところでこちらが何者かが分からなければユーザーは何かをアクションする気にはなれません。簡単な例えを言うならば、某オークションサイトのように個人間での取引中心でメディア側の責任があまり問われない場合、取引が失敗しないように、ユーザーは自分で相手のことを懸命に調べなければなりません。せっかく気に入った商品を見つけても、そこであらためて出品者のことも確認しなければならないのです。でもAmazon等のようにメディアが間に立って動いてくれることで、購入者は出品者のことをさほど気にせず、商品のことだけに注力できるのです。これだけで購入ストレスが大きく違うはずです。信頼要素とはこういうことで、情報の送り手側が安心できるところかをちゃんと伝えなければなりません。第3者がいて、権威者による立証や他ユーザーの体験談等がよくある分かりやすい例かもしれません。「この人(会社、サイト)なら大丈夫そうだ」と思ってもらうことが必要なのです。

感動

モノではなく働きを売る
サービスを売る時、いかにそのサービスが良いかを伝えることは大切です。比較検討されている時であればなおのこと差別化要素を訴求することは重要でしょう。でも、つまるところ「そのサービスによってユーザーが得られる最終的な変化」を訴求しなければ、ユーザーの心のホットボタンを押すことはできないのです。あるダイエット商品を売るとしましょう。もちろん何キロ痩せるとか、手軽性とかを謳うのも大切ですが、その先に得られるユーザーの最終的な変化…痩せた結果「彼氏が出来た!」「結婚出来た!」「水着を着て海に行けた!」などを感動的に伝えることが大切なのです。「これが欲しい」と思わせるだけでなく、それを手に入れた結果の「私」…「私もこうなりたい」と思わせること。モノではなく働きを売ることとはこういうことだと考えています。
3概要

検索クエリから共感要素を模索する

さて、3つの原則をご紹介しましたが、そのうちの”共感”要素を検索クエリからどう探っていくかについてご紹介します。実際に検索して訪れてくるユーザーの共感を得るためには検索キーワードから来訪動機を察しなければなりません。もちろんターゲット分析として、企業サービスの対象者から仮説立てしていくことも可能ですが、せっかく来訪してきてくれているので、ここは検索クエリから考えていくことをオススメします。

ビッグワードの場合
検索クエリが漠然としている場合は、Yahoo!リアルタイム検索related-keywords.comを使うと検索心理を掴みやすくなるでしょう。Yahoo!リアルタイム検索を使うと具体的に該当キーワードを使ったツィート内容が確認できるだけでなく、日時単位でのツィート数やその内容なども確認でき、検索心理の仮説立てをしやすくなります。
ツィート
また、related-keywords.comで出現するYahoo!知恵袋や教えて!gooの質問内容一覧から、どういったことが世の中で疑問視されているかが分かるので、こちらも検索心理の仮説立てに役立ちます。その検索クエリにおける質問をそのまま投げかけて解答するような流れを組むことで一気にユーザーを惹き込む流れを組んでしまうのです。

比較検討ワードの場合
「〇〇△比較」「〇〇△見積」等のように、既にサービスを受ける前提で検索をしているユーザーには差別化を図れば良いわけですが、ここで自社サービスを押し売るケースが非常に多いように見受けられます。確かに分かりやすくて良いのですが、そんなユーザーには「比較において見るポイント」や「一般的に押さえておかなければならないポイント」をまず案内することが大事です。その上で自社サービスの優位点を訴求すると共感を得やすいでしょう。こういったキーワードで検索するユーザーはあちこちのサイトやサービスを見ているはずです。他のサイトも見ているユーザーであることを前提に考えた上で、改めて一般論から触れてあげればユーザーの共感だけでなく、案内次第では”信頼”まで得られるかもしれません。

敢えて横道に逸れてもらう

アフィリエイト等でいまだによく見ますが、1枚ドーンと置いてあって、購入ボタン以外は一切クリックできないLPがあったりします。ユーザーに対して購入すること以外考えさせない、と言った非常に押しつけがましいLPです。この場合もちろんGoogleにインデックスさせていないページですので、回遊性とか複雑なことを考えなくて済む利点もある一方で、せっかくアクセスしたユーザーにサイトのファンにさせられないという欠点もあります。私はLPがそのまま一般検索の高順位ページにもなるべきだと考えてしまうので、どうも勿体なく感じてしまうのです。
また、以前リスティングのLPとしてA/Bテストしたことがありますが、派遣系の企業サービスを行った時に、A.1枚もののLPで完結した場合と、B.最初に派遣形態や人気業界を案内して敢えてあちこちにクリックボタンを設置したLPの場合、では圧倒的に申込率がB.の方が高かったのです。恐らくユーザーは色々な不安や疑問を抱えながらサイトに訪問してきているので、その共感要素に合わせて分かりやすく派生ページを作ってあげた方が自由に回遊できて信頼性を得られたのだと思います。ただ、絶対気をつけなければならないのは「派生ページから迷子になって、最初のLPに帰ってこれないこと」です。前述のA/Bテストの時、私は必ずLPに戻ってこれるユーザー動線と派生ページのLP化(派生ページすらもLPのような情報設計)を施しました。“Landing Page”ではなく、”Landing Pages”にしたんです。ここまで情報設計できるようになるには、そもそものサイト構造やサービスが整っていることが前提ですが、追求するとそういうことになると思います。
ランディングページ

EFOの重要性

これは今更の話ですね。細かいことを言うとキリがないですし、スマホのことも考えると…この話だけでブログを作れそうなくらい奥深い話なので、ここでは割愛します。あ、1つだけ…最近私が見たサイトの中でエントリーフォームのアクセシビリティが非常に良いサイトがありましたのでご紹介させて頂きます。「ペット保険のあうて」なのですが、ネットリテラシーが低いユーザーが多いためなのか、スマートデバイス対策なのか…初心者でもかなり分かりやすい形でエントリーフォームが出来上がってました。相変わらずシステム上複雑なエントリーフォームが多い企業サイトがある中、これくらいハードルが低いとユーザーも気持ち良いかもしれませんね。

終わりに

今回も私見による概論に留まってしまいましたが、まぁこれがブログで言えることの限界かなぁと勝手に自己完結させています。また、この話をしても”共感”と”信頼”と”感動”の順序次第で回遊率も変わるし、もっと言えばサービス単位で具体的に落とし込まないと理解を得難いことも重々承知しています。その上で私はLCO(Landing Contents Optimization)を行うことを推奨したりもしています(コンテンツの順序を変えたり切り口を変えたりしてA/Bテストを行うことで、最適なページとコンテンツを見出すやり方)。でも、LPを考える時の最初の概念として多少参考にしていただければ幸いです。

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