IT関連の求人情報を見ているとたまに遭遇する「SEOプランナー募集」の文字。ところで、SEOプランナーという職種(?)にはどんな期待値が込められているのでしょう。今回はSEOプランナーについて、私なりの意見をふわふわっとご紹介します。
SEOは資格ではなく経験
「SEOプランナー」は資格ではありません。だから正直、自分のことを「SEOプランナーです」と言ったもの勝ちのところが多分に含まれます。では、「SEOプランナー」とは何なのでしょう。私が考えられるのは以下の能力スキルです。
1.SEO効果を発揮しやすいコーディング方法
- CSSやHTMLの簡潔な書き出し
- 画像の圧縮やCSSスプライト
- 構造化データのマークアップ
- インデックスルール
2.SEO効果を発揮しやすいサイトの形
- ページ毎に施策キーワードが明確化
- サイトディレクトリ構造案
- URLルール
3.SEO効果を発揮しやすい市場アプローチ
- キーワード分析と検索心理仮説
- 期待ユーザー導線に合わせた内部リンク構造
- 検索ターゲットにマッチしたUIデザイン設計
これら書き出した能力は資格が必要なわけでもなく、もちろん各言語のプログラミング技術が無ければ達成しづらい能力もありますが、プログラミングが出来るから達成できる能力というわけでもございません。やり方を知っているだけでは実践的とは言えないでしょう。つまり、経験と実績でしか判断できない能力というわけです。
また、1.であればあるほど作業的なスキルが必要になりますし、3.であればあるほどプロモーションやマーケティングスキル(市場分析能力)に長けていなければなりません。サイト運営するチーム体制によっては1.と2.と3.で人物が異なるケースだって多くあります。
では、求人情報で見かける「SEOプランナー募集」とはどこまでのスキルを求めているのでしょうか。
SEOプランナーは売り手市場?
恐らく企業が求める「SEOプランナー」とは、前述のすべての能力を持ち得た人を募集しているのでしょう。しかし、そんな人は転職してこないと思います。前述の3つのスキルを全て持っている人は通常募集するような年収範疇をはるかに越える価値(給料)があるからです。逆に考えれば、そういう人は自身の価値と現在の勤め先の価値を充分見極められる人だと思いますので、仮に転職を考えていても通常の転職サイトを利用することは無いのではないかと思うからです。
実際、前述のスキルを全て持ち得た人は自らでビジネスが出来てしまいます。メディアの立ち上げから運用、集客まで、一貫して出来てしまうわけですからね。
企業側も当然それは分かっているはずなので「SEOプランナー募集」としながらも、応募人材に合わせて採用基準を判断しているわけです。採用基準を判断したら、その人材に合わせた運用体制を整えられるか算段していくわけです。これって、応募者に合わせて企業側が変化させていくことになりますので、完全に売り手市場ですね。
本来、どういう人にどういう業務内容で機能させるか決定し、その市場価値とPLを算段してから、給料と能力がそれ以上でもそれ以下でもないバランスで人材を募集するはずです。まだ人材市場が成熟していないせいか、不思議とSEOプランナーに関しては採用戦術が逆転してしまっています。
誰しもSEOプランナーを目指すべき
では、「SEOプランナー」という人材は売買するような価値があるのかと言いますと…私はそういう軸ではないと考えています。なぜなら「SEOプランナー」は探すモノというより、成っていくモノだと考えているからです。
先に言った通り、「SEOプランナー」は経験と実績であり、それは同業界であればあるほど、似たサイト運用経験があればあるほど戦力的になります。でもなかなかそんな人材はいません。また、サイト運用に携わっていく人は誰しも前述の能力のうち、3.を理解しなければなりません。そして、2.のことも分かっていなければ3.を考えることはできません。2.や3.を考えられる人は自ずと1.に関しても勉強していくことになるでしょう。
つまり、そのサイト運用会社の中で「SEOプランナー」に成っていかなければならないというわけです。
ですので、企業側は年収400~600万円くらいで「SEOプランナー」を募集するくらいなら、その年収で「SEO施策の考えに準じたコーダー」を募集した方が効率的でしょう。「SEO施策の考え方」が出来るようになる人材は社内で育成するか社外に求めた方が、短・中期的には効率的だと思います。
今のGoogleアルゴリズムやSEOの在るべき論を考えれば「SEOって検索順位を上げるだけでしょ」「検索順位を上げる専用部隊がさぁ」という言葉はもう死語だと私は思っています。ですので「SEOプランナー」という言葉も無くなっていくのではないかと考えています。
「将来立派なSEOプランナーになりたい!」と思っている人がいるならば、私はこう答えます。「将来立派なメディアを実現できる人間になってください」と(笑)。