• やるだけの要素をKPI地点に置かない

やるだけの要素をKPI地点に置かない

こんな時期ですし、備忘録だということも意識しつつ、意外と大事な心構えについて記事にしておきたいと思います。何をするにしても目標に対するKPIというものを設けるのが社会人です。学生時代は文部科学省や先生が立てていましたよね?「○年生であればここまでの教育と学習をさせる」みたいな…。でも社会人になったら自分でKPIを立てて生きていく必要があります。

KPIって何?

今さらながら…の話ですが、KPIとはKey Performance Indicatorの略で一般的には「重要業績評価指標」と訳します。でも、私の場合はもっと平たく「順調な途中経過」として捉えています(笑)。KPIを説明するにはKGIとKSFも説明しなければならないので、改めて以下にまとめます。

  • KGI:「Key Goal Indicator(重要目標達成指標)」のこと。目的と言うと定性的だが、それに対して定量的(数値的)な最終着地となる目標数字を指す。
    平たく言えば「目標となる最終数字」。
  • KSF:「Key Success Factor(重要成功要因)」のこと。KGIを達成するために不可欠な要素であり、「これが出来れば成功する」という要因を指す。
    平たく言えば「達成条件」。
  • KPI:「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」のこと。KSFを実現するために必要な成功指標で、「この調子で進めば成功する」という地点を出す。
    平たく言えば「順調な途中経過」。

人生に置き換えると分かりやすいかもしれません。「死ぬまでに豪邸を建てる!」という目的があったとします。それに対して「60歳で10億円貯める!」というのをKGIとしましょう。
次に、KSFとしては「30歳で独立・企業し、○○ビジネスで□□を達成する」とします。
そしてKPIとしては「25歳で○○をする」「40歳で○○をする」等と立てつつ、「25歳で年収○○円」「30歳で年収○○円&貯蓄○○円」みたいに設定するイメージですね。

要は「勝利の方程式を作る!」ということです。

本題として

以上をもとに、KPI化に慣れていない人がやってしまいがちな指標地点についてご説明します。

まず、やれば良いだけのKPIを作るのは止めましょう。これは積み上げ式となるKPIが良くないという意味ではありません。ただ行動すれば良いだけのものです。例えば、営業の仕事であれば「新規テレアポで電話する件数」、モノづくりの仕事であれば「作った数」、コミュニケーションの改善であれば「話しかけた数」等がそれに該当します。純粋にやれば加算されるだけのKPIに関しては以下の副作用が発生してしまうからです。

  • やった気になって勤続疲労する
  • 次のKPIへの率が下がる
  • やる気だけの問題なのでPDCAを回せない

まず、「やった気になって勤続疲労する」という部分を解説します。これは自分でやるだけの話なので、自分自身へのハードルが下がります。それどころか無駄に「努力した」という自己暗示をかけてしまいます。よく若い子がTwitterで「出社しているだけで褒めてもらいたい」と呟いているのを目にしますが、これと同じ原理ですね。成功への道に向かって、まだ何も始まっていないわけです。にも関わらずやれば良いだけのKPIを設定してしまうと「私はここまでやっているのに何で結果が出ないの?」「無駄な努力をしているんじゃないか」「自分は頑張っているのに…」という変な自己評価をしてしまいます。結果、勤続疲労します。ですので、やれば良いだけのKPIは「スタートラインに立った」くらいの話ですので、勘違いしないようにしましょう。だからそもそもKPIに設定すべきではありません。

「次のKPIへの率が下がる」というのも自分自身の気持ちを沈めてしまいがちです。やれば良いだけのKPIを積み重ねれば、その分母数が増加します。無駄に母数を増加した上で、次のKPI(本来設定されるべき大事な地点)に進むわけですから、当然(本来設定されるべき)KPIへの到達率は下がります。これは前述の「これだけやっているのに…」という自己暗示だけでなく、率が悪すぎて自ら改善しようと思えなくなります。むしろ「○件行動すれば数パーセントの確立で次のKPIを達成する」という数字遊びのような、確率論で物事を捉えてしまうようになるんです。そう考えると、やはりやれば良いだけのKPIは良くないですよね。

最後に「やる気だけの問題なのでPDCAを回せない」について説明します。繰り返しになりますが、やれば良いだけのKPIにしてしまうと、本当にやれば良いだけなので、やる気があるか無いかのバロメーター軸に過ぎません。たとえやる気があると解釈されるくらいの量をこなしたところで、上記の通り悪循環が発生します。そして、当然やる気があるか無いかだけのKPIなのでPDCAを回しようがありません。むしろ次のKPIを最初に立てた方が、やれば良いだけのKPIなんか立てなくても、自ずと及第点の量はこなすはずです。しかも、その方がやる気が出るでしょう。PDCAはやる気があるから回せるのです。そもそもやる気があるか無いか程度でKPI化しては検証も次回施策も出来ないわけです。

いかがでしたでしょうか。
意外と陥りがちなKPI設定とその落とし穴について書いてみました。
是非、ご参考ください。

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