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ラーニングピラミッドを活かしたSEO教育

よく「SEOは覚えるより伝える方が大変。伝えるより実施する方が大変。実施するより教える方が大変」だと私は話したりします。そこには有名なラーニング・ピラミッド(学習定着率)が働いていますので、今回はそのラーニング・ピラミッドをご紹介しつつ、SEOプランナー育成方法についてをふわふわっと書いてみたいと思います。

学習

ラーニング・ピラミッドって?

学習定着ピラミッドと呼んだりしますが、National Training Laboratories(アメリカ国立訓練研究所)によって分析・提唱された理論です。簡単に言ってしまえば、人間が新しいことを記憶し、しっかりと活かせるくらいまで勉強するのにかけるプロセスとその浸透性を図にしたものです。

ラーニングピラミッド

簡単にご説明しますと、以下のようなピラミッド推移になります。

教えてもらって学習する

  • 誰かが説明しているのを聞くだけでは5%しか定着しない。
  • 資料や本を読んで覚えると10%が定着する。
  • 映像等でストーリー立てて覚えると20%が定着する。
  • 目の前で実演してもらって覚えると30%が定着する。

自分から動いて学習する

  • 複数人で議論して学習すると50%が定着する。
  • ワークショップ等で実際に自分でやってみると75%が定着する。
  • 他の人に実演して教えると90%が定着する。

もちろん個人差はあると思いますが、研究結果通り、こういう動態理論は私自身の実体験上も確かに成立すると思います。録画力と再生力と言いますか…学習内容を活かすためにはアウトプットできなければ意味がないわけで。従いまして、アウトプットを視野に入れながらインプットしていければ学習定着率は上がります。

よく、誰かに教えていると「つまり〇〇という言い方で解釈できますか?」と聞き直す方がいらっしゃいます。そういう方は本能的にアウトプットを意識してインプットしているので学習力が高いと言えますよね。「もの覚えが良い」とか「頭の回転が速い」と言われる人はこういうことを無意識的に実践できている人なのです。

この理論を意識して学習サイクルを実現するには

これは私の持論ですが、WEBのコーディング技術(知識)を持ち合わせている人がSEOを知り、知的追走から知的牽引が出来るようになるまで(=SEO全体における仕組みと原理を知識レベルで理解し、その後は最新情報を常に把握する知識レベルの余裕が生まれるまで)に約2年かかると考えています。ですので、複数のSEOプランナー(もしくはSEO知見者)を育成する場合には芋づる式に教育できる仕組みが必要なわけです。

では、SEOプランナーを教育していく上で、学習効率を上げプランナーの裾野を広げていくには、どういう学習サイクルを行うべきか。非常に難しいですが、私が考える仕組みについて簡単にご紹介したいと思います。

特にSEOの場合は「実際に評価されてナンボ」の世界ですので、本来であれば机上の空論は不必要なわけです。ですので、ラーニング・ピラミッドで言えば以下の項目をループできることが近道となるはずです。

学習プロセスの最適化

ただ、このピラミッドで死角となっている箇所がひとつございまして…ラーニング・ピラミッドには学習時間という概念が加味されていません。ましてやSEOという(検索エンジンがクロールして評価が上がるまで)ある程度時間が必要なケースにおいては、学習時間と定着度のバランスを考えた順序が大事です。

SEO学習ループ例

実際に私が行っている学習サイクルは以下のループです。このループが1周するのに半年~1年かかります。

検索して覚える

単純に「SEOとは」と検索し、検索結果の各サイトページを読んで、不明な単語や仕組みがあったらそれを検索して…という学習をしてもらいます。このネットサーフィンによって検索慣れもしてもらいつつ、知識も得てもらいます。昨今様々なSEOブログがございますので、後は自身のペースで知見を高めてもらいます。

サイト運用してもらう

実際に自分でサイトを運用してもらいます。WordPress等のCMSを使って運用してもらいます。コーディング技術が無ければ、各種設定や最低限は先輩が施してあげるようにしていますが、HTMLベースに関しては工数を実体験してもらう意味でも自分自身でやってもらいます。もちろん事前にサイトマップやディレクトリ構造もしっかり自分で考えてもらいます。

診断を受ける

サイトを自分で運用してみて、ある程度限界値に達したら、そこで先輩にサイト診断をしてもらいます。そして内部分析による指示書を作成してもらいます。同時にSEOの講義を受けるわけです。ここまで散々自分でやってきたので、自分の不足部分や教えてほしい欲求が溜まっているはずです。そういう時に受ける講義はスムーズに頭の中に入り、吸収力も向上します。「訊きたい時が教え時」ってやつです(笑)。

改めてサイト運用に向かう

内部指示書や講義を受けて、改めて自分のサイトをチューニングしていきます。そしてSEOでの成功体験を実感してもらいます。

講義資料を作る

自分で得た実感値や先輩に教えてもらった講義内容を踏まえて、自分なりの講義資料やカリキュラムを作成します。もちろん後輩に教えるためです。

診断をする

以前に先輩から受けたサイト診断と同じことをするわけです。つまり、今度は自分が後輩のサイトを診断してあげます。そうすることで、後輩が陥っている課題点を共感してあげることができるようになります。

講義をする

そして、後輩にSEOを教えてあげます。

結果、下記のループが生まれ、裾野が広がっていく仕組みが出来上がるわけです。
SEO学習ループ

簡単に書いていますが、このループには半年~1年かかりますし、個人差が生じます。この個人差をそのまま個人評価するという考えもありますし、学習用に作成したサイトが新しいビジネスを生む仕掛けに繋がれば一石二鳥にもなります。また、(SEOというジャンルがゆえに最適化アプローチの過程において)好みがあったり、各自の持論があったりします。結果、各自の持論をぶつけ合うディスカッションも生まれるようになるわけです。これはもう、ラーニング・ピラミッドの総なめですね(笑)。

あとはもう情熱!

SEOにおいて、様々な個人差を埋めるのは…情熱です(笑)。「なんでだろう?」「どうすれば良いんだろう」という探求心が自動的に学習能力を高めますし、構文や各種設定等のハード面さえ整えば、結局はソフト面となるコンテンツですので。

もしかしたら、SEO教育も「情熱」の一言で済んでしまうのかもしれませんね(笑)。

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