Googleは3月28日、Search Central Blogにて、Search ConsoleのURLパラメータツールの提供を2022年4月30日をもって終了すると発表しました。Googleのクローラーロボットの精度が向上したため、サイトオーナーがわざわざ無用なパラメータであることを申告する必要が無くなったというのが終了の理由のようですが、ここではその話の他に、あらためてURLにパラメータを使用する際の注意点を私なりのご説明しようかと思います。
Googleからの発表内容
Googleの発表記事によると、以前はクローラー精度が低かったため、サイトページの存在を上手く処理できず、サイトオーナーとして意図しないパラメータ付URLであってもインデックスしてしまい検索ユーザーやGoogle自身に混乱を招いていた(いいすぎ?)ようですが、クローリングやインデクシング技術も向上し、もはやパラメータ付かどうかではないところで処理しているようです。
つまり、サイトページがパラメータ付であろうとなかろうと有用なページであればクロールし、インデックスし、ランキングしますし、無用であればインデックスもしないでしょう。Googleのクロール精度はそこまで上がっていて久しいので今回の決断に至ったのだと思われます。
パラメータ付URL生成時の注意点
というわけで、もうGoogleのURLパラメータツールには頼れません。でも…パラメータ付URLがまだあるというサイト所有者の人――それでも99%大丈夫です。でも…パラメータ付URLが複雑に存在する人――たぶん大丈夫かもしれませんが、検索キーワード次第では不安な気もします。というわけで、あらためてパラメータ付URLを設定する場合の注意点を5つ程、以下に記載します。過去に「パラメータ付URLについて」や「パラメータ付URLの原因」でも記事化していますので併せてご参照ください。
パラメータは1個までで済むようにする
URLの末尾に?example1=XXXというように、主に?で始まるのがパラメータであり、それが付いているURLがパラメータ付URLです。そして、その後に&example2=XXXというように、&で繋がっているパラメータがあるとしたら、それは2つ目のパラメータということになります。Googleによるパラメータ付URLの解釈精度が上がったとはいえ、まだ複雑なパラメータに関しては課題があるでしょうし、Googleもパラメータは比較的簡素にするよう希望しています。ですので、極力パラメータは1つまでとし、2つ目以降をどうしても付け加えたい場合は(自己参照用)canonicalタグでインデックスを規則付けすると良いでしょう。
canonicalを使う
パラメータを1つまでと言われても、何かの一覧を表示して、それを2軸でフィルタリングするソートをした場合のURLをどうするか…という壁にぶつかってしまいますよね。例えば、「営業求人の一覧」の中でも「東京エリア」で「年収400万円以上」とした場合、https://example.com/sales.html?area=tokyo&salary=400overという風になってしまいますよね。そういう時は、HTMLの<head>内に<link rel=”canonical” href=”https://example.com/sales.html?area=tokyo”>というようにcanonical属性でインデックスしてほしいパラメータ付URLを検索エンジンに通知(強制ではない)するようにしましょう。そうすれば、パラメータ付URLが1つまでのインデックスで済みます。
ただし、これには注意点がございまして…静的なURL(パラメータが付いていないURL)とパラメータ付URLのテンプレートが別でなければなりません。<head>内に記載する上で、同じHTMLに記載するようになってしまうと、/sales.htmlさえも、https://example.com/sales.html?area=tokyoとして認識されてしまうからです。パラメータ付URLを発行する場合、全てオリジナル(別々)でHTMLテンプレートが存在するようになっていることが前提であることを理解しておきましょう。
また、「そもそもパラメータ付URLなんてGoogleにクローリングされなくて良いよ」ということであれば、自己参照canonicalと言って全てのHTMLファイルに静的な対象URLへcanonical属性が付くようにシステム設計してしまうのも手です。
パラメータ名は複雑化しない
これはGoogle側も希望している内容ですが、パラメータ内容自体が複雑化してしまうと上手くインデクシングできない可能性もあります。例えば理解不能な数字の羅列(?0986=09238562etm1f)だとパラメータ命名の規則性も分からないので、Googleの混乱を招きます。ファイル名等と同じようにパラメータ名も極力内容を推察しやすいようにするか、もしくは規則性のある数字(1,2,3,4…のように分かりやすい順序)にするようにしましょう。
パラメータの付与には規則性を持たせる
Googleがより理解しやすいよう、どういう場合に置いてパラメータ付URLが表示されるか明確にするようにしましょう。先ほどの例を活かしながら例えるならば、「営業求人の一覧」の中の「東京エリア」はhttps://example.com/sales.html?area=tokyoにも関わらず、「事務求人の一覧」の中の「東京エリア」はhttps://example.com/officework-tokyo.htmlというURLだったり、https://example.com/tokyo.html?biz=officeworkだったりすると、どういうケースにおいてパラメータが出現するか分かりづらく、Googleのクローリングも混乱します。また、パラメータ付URLページの重み付けにも困ってしまうでしょう。
「営業求人の一覧」の中の「東京エリア」がhttps://example.com/sales.html?area=tokyoなのであれば、「事務求人の一覧」の中の「東京エリア」もhttps://example.com/officework.html?area=tokyoというパラメータ付与規則になるようサイト全体を横串で検証ください。
パラメータを付ける優先順位をつける
サイトをリニューアルしたり、URLを一新する際に、これが最も頭を悩ませるのですが、(パラメータ付ではない)静的URLとパラメータ付URLの関係性や親子関係をどう設定するか、優先順位をつけるようにしましょう。私の感覚値ではやはり静的URLのほうが安定的にクロールとインデックスをされる印象があります。また、パラメータ付URLも一種のディレクトリ構造だと思えば、URLの階層が浅い方が何かと有利(URLの長さや内部リンクの構造等)です。
そうした際、例えば人材系ですと「エリア」「業種」「職種」「年収」「特徴」等、様々な切り口があったり、不動産系ですと「エリア」「賃貸・売買」「駅で探す」「路線で探す」「住所で探す」「家賃で探す」「広さで探す」等の切り口があったりします。EC等の場合だと「色」や「サイズ違い」等で様々なパラメータが付くこともあるでしょう。
そんな時に、静的URLをどこまでにするか、1つ目のパラメータを何の軸にするか、2つ目以降のパラメータは何の軸にして、クロスフィルタリングした場合はどちらの軸が1つ目のパラメータになるか、等の組み合わせを考えた優先順位一覧表が必要です。今回の例はあくまでも商品一覧に関するフィルタリングにおける話ですが、これはパラメータを付与する様々なシチュエーションでルール付けしておく必要があります。
これをミスるとあとで結構厄介です。例えば、人材系でも正社員等の求人を探す場合、エリアを見るのに「駅名」で探す傾向があるので、「駅名」の優先順位は高くなりますが、パートやアルバイト等の求人を探す場合は、エリアを見るのに「住所」で探す傾向があります。こういうことも踏まえて優先順位を作ることで、「仕事△品川」で検索した際に検索結果に優先表示されるのが「品川駅」なのか「品川区」なのかが変わってくることでしょう。
パラメータ付URLは慎重に
というわけで、今回のURLパラメータツールの終了に伴い、改めてURLにパラメータ付与する際の注意点をまとめてみました。参考にできる部分はしていただき、リニューアルの際には充分に気を付けるようにしてください。あと、こういったサイト構造やURL構造を考える上でベンダーを使うのであれば、業界経験の豊富なサイト制作会社やSEO会社を選択した方が良いです。とはいえ、業界経験が豊富と自負しているサイト制作会社やSEO会社が既に“ブラフ”だったりすることもあるので厄介なのですが…(笑)。まぁ、そういう意味ではサイト制作会社は大手が安心かもしれませんね。
SEO会社は…うーん…どうしても人に依存するので、ベンダー側の担当者の人柄を充分に吟味する必要がありそうです。