Googleが米国現地時間8月11日にThe Keywordで、検索結果画面における改良の進捗報告をしてくれていますので、和訳してご紹介しておきます。今後の日本のSERPsにもちょっと関係してくるので、知っておいても良いかなと思います。
どういう内容?
GoogleはAIやMUMによってシグナルや情報源の共通性を認識できるようになることで、情報そのものの信憑性や情報ソースを識別できるようになってきているようです。そのことによって、強調スニペットやAbout This Result(About the sourceに改名)が大幅に改善されていくとのことです。「最近、ナレッジパネルばかりで、強調スニペットが出にくくなっているなぁ」と思ってはいたのですが…今後はもっとドラスティックに変わっていくかもしれません。
質高品質な情報を見つけるための新方法
人は日々、その時々の需要が最高潮に高まった時にGoogleを使って情報を探すものです。ある時は夜ごはんのレシピを探すため、またある時はあるお店への悪評を友人から聞いたことを事実か確認するためもあるかもしれません。
Googleは、ユーザーが何を探しているかに関わらず、常に質の高い情報を提供しつつ、その情報自体を理解し評価できるように邁進しています。Googleでは、特にGoogle検索とGoogleニュースでの情報の品質とリテラシーの向上に強く取り組んでおり、今回はこの重要な取り組みに関わる新たな躍進についてご案内します。
強調スニペットに関する最新の品質改善
Googleでは、専門性、権威性、信頼性を示す上で最も信頼できる情報源から、関連性の高い情報を表示するようランキングシステムを設計しています。Googleでは、これらのシグナルを識別し、優先順位をつけるためにシステムの改善を繰り返しています。そして、これらのシステムを常時改良することで、検索者が質の高い情報を素早く入手できるよう、毎年何千もの改善を行なっています。
今回そのような改善の取り組みのひとつとして、強調スニペットの品質を向上させる重要な改良点を発表します。強調スニペットは、検索結果画面のページ上部に表示されるボックス型の説明文で、クエリに対応する検索結果や情報源の一部を目立つように強調して表示します。Googleで検索する人にとってはもちろん、コンテンツを制作し発表する側の人々にとっても強調スニペット化することでサイトへの流入が増えるため、どちら側にとっても有益な機能です。
Googleのシステムは、最新のAIモデルであるMultitask Unified Model(MUM)を用いることで、Web上で紹介されている内容が他のサイトでも伝えられている事実と同じであると裏を取ることで、それが高品質な情報源であると理解することまでできるようになりました。強調スニペットのコールアウト部分(強調スニペットの上部に表示されることがある語句や文字列)を他の高品質と思われる情報源と照合し、たとえ同じ内容を表現するのに異なる単語やコンセプトが使われていたとしても、そのコールアウト部分に対して一般的な理解ができる内容かどうか確認することができるようになったのです。この承認基盤技術により、強調スニペットのコールアウト部分の品質と有用性が大幅に向上するということが分かりました。
またAIによって、強調スニペットが最適で有益な情報を提示できていない場合に、そのことをGoogleのシステムが理解できるようになっています。特に答えがない質問やでたらめな質問の場合に顕著ですが、例えば最近まで「スヌーピーがリンカーンを暗殺したのはいつか」と検索すると、リンカーン暗殺の正確な日付と情報を強調するスニペットが表示されましたが、これは明らかに強調スニペットを表示するのに最適な返し方とは言えないでしょう。
このような誤った前提に基づいた検索はあまり多くはありませんが、強調スニペットとして表示する上では有益でないため、こういった誤った前提も検出できるようにシステムを改良しました。今回のアップデートにより、このようなケースでの強調スニペットの表示を40%減らしました。
情報リテラシーについて
Googleでは、質の高い情報を返すようにシステムを設計するだけでなく、ソーシャルメディアや家族、友人との会話の中で得た情報が正確かどうか検索者がGoogleで判断できるように、情報リテラシー機能をGoogle検索に組み込んでいます。実際、今年行われた調査で、検索者は他のプラットフォームで得た情報を検証するためのツールとしてGoogleを定期的に使用していることが分かりました。Googleは、「Fact Check Explorer」、「逆画像検索」、「About This Result」など、情報リテラシーを高めるための様々な機能の構築に投資してきましたが、今回これらの機能をさらに便利なものにするためのいくつかのアップデートを発表します。
About This Resultをより多くの場所に拡大
About This Resultは、それぞれの検索結果の横にある3点リーダーをタップするだけで、ページアクセス前にその検索結果に関する詳細な情報を確認できる機能です。昨年About This Resultは24億回以上もの数にわたって利用されており、より多くの人々や場所で利用してもらえるよう、ポルトガル語(PT)、フランス語(FR)、イタリア語(IT)、ドイツ語(DE)、オランダ語(NL)、スペイン語(ES)、日本語(JP)、インドネシア語(ID)の8言語でも、今年後半に追加される予定です。
今週About This Result機能において、情報の前後関係のデータも追加しており、例えば情報源がどの程度広く利用・認知されているのか、また情報源や情報元企業に対するレビュー評価がどうか、その企業の親会社はどこか、そもそもAbout This Resultで情報源について充分な情報を得られたのかどうかなど、こういった重要な文脈も含めて情報提供できるようになります。
そして、Googleアプリ上でもAbout This Result機能を開始し、ブラウジング中にWebサイトに関する有益な情報を得られるようにしました。どのページでも、ナビゲーションバーから上にスワイプするだけで、そのサイトに関する詳細な情報が表示されるため、どんな場所でも、安心してインターネットを楽しむことができるでしょう。
情報格差に対応するコンテンツアドバイザリーの拡張
速報性があり常に情報が変化していくような話題の場合、事実より人々の関心が先回りしてしまうことが多く、その話題について信頼できる情報が充分に得られないことがあります。情報リテラシーの専門家は、このような状況を「データボイド」と呼ぶことがあります。このような事態に対処するため、Googleでは話題が急速に変化している時に、より多くの情報源を確認した上で閲覧した方が良いことを促すコンテンツアドバイザリー(検索結果に関する注意喚起を通知する文言)を表示しています。
そして現在、Googleのシステムでは、検索結果の全体的な品質に自信がない場合においても、このコンテンツアドバイザリーをGoogle検索に表示するようにしています。コンテンツアドバイザリーが表示されたからといって、有益な情報が無いとか、特定の検索結果が低品質だとかを意味する訳ではありません。これらの通知は、ページ上の検索結果全体を通して喚起する意味合いであり、コンテンツアドバイザリーが表示されていても、クエリに対する検索結果を閲覧することは可能です。
誤った情報に対する教育法
Googleのサービス製品以外にも、Googleでは誤った情報を判別できるようになるための教育プログラムやパートナーシップに投資しています。2018年以降、Google News Initiative(GNI)は、世界中のメディアリテラシーの強化や誤報対策に取り組むプロジェクトやパートナーシップに約7,500万ドルを投資してきました。
この度、GoogleがPoynter Institute for Media StudiesやPBS NewsHour Student Reporting LabsのMediaWiseと提携し、中高生の先生向けに情報リテラシーの授業計画を作ったことを発表します。PBS Learning Mediaを利用する教師に無料で提供し、PoynterのWebサイトからもダウンロードできるようになる予定です。Googleは、MediaWiseが設立されたときからパートナーとして協力してきました。そして今回の発表は、GNIによるテキストとWhatsAppを使ったマイクロラーニングコース「Find Facts Fast」による支援に基づくものです。
また、今回Poynter InstituteとYouGovがGoogleの支援を受けて実施した、世代を超えて人々が情報を確認する方法に関する調査結果も発表しました。詳しくは、こちらのブログ記事をご覧ください。
世界中の人々が必要な情報を見つけられるように
Googleは、世界中の人々にとって情報が力強いものになり得るという前提のもとに設立されました。世界中の人々が探している情報を見つけ、オンライン上の情報に基づいて意思決定を行うために必要な情報を提供できるよう、今後もその役割を担っていきます。
引用)The Keywordより和訳
今回のポイントは以下6つです。
- MUMを使ってあらゆるWebサイトの要素と比較し、強調スニペットに表示される情報の正確性を理解することができた。
- 強調スニペットで表示される文言の意味理解もすることで品質の向上に繋がった。
- 間違えた質問クエリに対して強調スニペットの表示を控えるようになった。
- 情報の信憑性を判断できるようAbout This Result機能を年内に日本語にも導入予定。
- 情報が流動的で常に状況が変化したり、明確に回答できるようなWebサイトページが無さそうな場合、検索結果にコンテンツアドバイザリー(「検索結果の情報には注意が必要です」的な文言)を表示する。
- (米国で)中高生の公私向けに情報の取り扱い方のレクチャープログラムを実施。
Googleの情報理解度を推し量れる内容?
今回の記事を通して何となく理解できるのは、「このWebサイトページは結局、どのWebサイトでも書いて有るような内容をツギハギしているだけだよね」という解釈をGoogleが出来ている、ということです。また、「表現方法は違えど、書いてあることは一緒だよね」ということもGoogleが理解していることも分かります。これらの解釈がランキングに影響しているかどうかは分かりませんが、間違いなく近い将来には確実にランキングに影響しているでしょう。
ヘルプフルコンテンツアップデートのメカニズムについても、その判別方法の仕組みがなんとなく分かる気がしますよね。
一生懸命コンテンツに取り組んでいる人が報われる日は近いです!