昨今のSEO施策を考える上で、検索心理(インテント)を分析し、仮説立てることは必須になってきています。実際に検索クエリの関連クエリまで分析することで、インテントにどういう情報を期待しているかを考察し、コンテンツ作成に活用するケースも増えています。ここでは、それに追加してインテントに検索後の行動―いわゆるセッションを考える上での要素について、持論をふわふわっとご紹介したいと思います。
インテントを探る
まずインテントからニーズ(何を求めて検索しているのか)を探ります。これにはいくつか仮設のための切り口があります。
まず、検索結果画面(SERPs)における各サイトページ群を確認することで、Googleがインテントに対してどういう回答形式が最適だと捉えているかが推察できます。もちろんGoogleは、検索結果上位サイトがその検索クエリに対する最適化な検索結果だと(暫定で)判断しているからこそ、その検索結果上位サイトなわけです。例えば「転職」と検索して、検索結果が転職サイトばかりであれば、Googleは“「転職」というクエリは転職したがっているインテントだから転職サイトを紹介してあげると良い”と考えていると解釈できるわけです。また、「転職」と検索して、検索結果がWikipediaや転職を説明するようなサイトページ群だったりすれば、Googleは“「転職」というクエリは言葉の意味を知りたがっているインテントだから説明サイトを紹介してあげると良い”と考えていると解釈できるわけです。ちなみに、前者のような解釈になるクエリは取引型クエリ(Transactional Query)、後者のような解釈になるクエリは情報収集型クエリ(Informational Query)となります。
次に、SERPsからのCTRです。これはすぐに確認できるものではありませんが、検索結果のタイトルや説明文(スニペット)を色々変えてみることで、クリック率(CTR)を確認することが出来るはずです。特にタイトルは反映が早かったりしますので、内容は同じでも、どういう切り口で紹介してあげたほうがCTRが向上するかを分析することで、インテントを探ることができるわけです。例えば「転職案件が豊富!」と「転職ノウハウ教えます」と「転職とは」でそれぞれのCTRを確認した時、最も数値が高いものがニーズも高いと推察できるわけです。但し、この検証のためには検索順位が常時一定であることが条件になりますので、なかなか仮説立てるのは難しいかもしれません。
他にも関連クエリからインテントを推察できます。簡単に例を挙げるなら「転職」の関連クエリが「転職△東京」や「転職△営業」「転職△年収」等だったら、勤務地や職種、年収を考えている以上、転職は“転職したがっているインテント”だと解釈できます。また、「転職」の関連クエリが「転職△起源」や「転職△意味」「転職△語源」等だったら、そもそも転職は“いつからはじまったどういうものか知りたがっているインテント”だと解釈できるわけです。
インテントからコンテンツを探る
上記等の多角的分析によってインテントが仮設付けられれば、後はそれに応えられるコンテンツを生成するわけです。コンテンツと一言に言ってもその中には文章、UI、デザインが含まれています。例えば、「転職」が“知りたがっているインテント”だと判断できたのであれば、「転職」の語源や起源、転職の市場規模等を調査して紹介するだけでなく、図解等で分かりやすくしてあげるデザインや、読みやすいようなフォントサイズで展開するUI等も考察しなければなりません。ですので、インテントから推察できる対象者の年齢や性別等のユーザー像を明確にすればするほど、コンテンツは作成しやすくなるわけです。こういった一連の業務をコンテンツ・マーケティング等と言ったりしますが、私が知る限り、ここまで追及しているコンテンツ・マーケティング事業は少ないと思います。
検索動態
以上が通常SEOを行う上で実行する業務のひとつですが、最近ではここにもう1工程追加するケースが増えてきました。それが“検索動態”です。まぁ私が適当に名付けしているだけですが、検索心理をIntents(インテント)というのであれば、差し詰め検索動態はDynamics(ダイナミクス)と呼ぶべきでしょうか。
要は簡単なことで、前述のようなインテントに対するコンテンツを案内した結果、検索ユーザーはどうなったかを追うことです。追って分析することです。
そのために私は、まずインテントを以下のように分類して検証しています。
→Attention(知りたい)
→Interest(深く知りたい)
→Examination(検討したい)
→Comparison(比較したい)
→Action(行動したい)
→Visit(再・訪問したい)
この分類を横軸に設定すると以下の表になります。
ここにコンテンツとして配置している分類を縦軸に設定すると縦(コンテンツ)と横(インテント)における動態分類表が完成するわけです(これ以上は企業秘密と言うことで…)。そして、それぞれ仮説立てたコンテンツページをLPとして分析した時、そこからのセッション(ページ遷移/離脱率/滞在時間)をそれぞれ追うことで、仮説立てて設計したコンテンツが正しかったかを検証できるようになるわけです。場合によっては仮説立てたインテントが違ったということだってあります。
SEO範疇?
ここから先の実業務や詳細はやはり企業秘密になってしまいますが、私(たち)の場合は仮説立てたインテントとコンテンツの検証として動態まで分析することで、ようやくPDCAが回るようになっていると自負しているわけです。
でもこれって、SEOに向けて開始した検証業務とはいえ、そもそもユーザー満足度の最適化やプロモーション最適化にも繋がっていますよね。そうなんです。もはやSEOはサイト全体としてのインターネットマーケティングにまで及んでいるんです。
一口にSEO施策と言ってもその範疇には限りがなく、常に変化しながらWEBコミュニケーションを最適し続けることが重要なんですね。