Googleのニューラルマッチングシステムの技術により、検索クエリを通して検索者を理解する概念が高まっています。検索者を理解する概念というのは、つまり「どんな人によるニーズか」という概念です。そして、その概念が、(今度はRankBrainによって概念化された)コンテンツとどうマッチングして検索ランキングを決めるか、の焦点になってきていると考えています。つまり、Googleのアルゴリズムにはムラがあるものの、それでも最終的に「答えのない最適な答え」に向かって技術が進んでいるわけです。そんな激動のアルゴリズム進化の中、サイト運用者側はどんな点に注意しながら進めると良いのか、私なりに備忘録メモを残しておきたいと思います。
Googleアルゴリズムからの連想ゲーム
検索者を理解しようとするGoogleのアルゴリズムから考えて、サイト運用者側には何が出来るのか、ストーリー立てて考えてみました。その結果、以下の流れが出来ました。
検索者の状態を理解しようとするGoogle
Googleのニューラルマッチングシステムは検索者の状態を探ろうとしています。この働きは明らかです。つい先日紹介されたオートコンプリート機能も検索者の状態に合わせて変化しますし、ベニス・アップデートも検索者の位置的状態に合わせています。インターネット上に数多く存在するコンテンツであっても、「誰にとって」のコンテンツかによって検索結果は変化する必要もありますし、実際に検索ユーザーはその部分(自分に合ったコンテンツかどうか)で検索結果から適切なサイトページを選択しようとしているのです。
検索者の状態を理解した情報伝達の多様化
では、サイトオーナー(運用者)側は、どういうコンテンツを設計すればより検索ユーザーとの接点を増やせるのか。つまり、検索者の状態に合わせたコンテンツを作れば良いわけです。同じサービスでもユーザーのインターネット環境やリテラシー、レベル感、(場合によっては)年齢や性別によって捉え方や使い方は異なるはずです。初心者であれば“そもそも”の部分から説明が必要でしょうし、上級者には応用編の説明だけで充分かもしれません。こういうことを的確且つ明確にしてコンテンツ化できれば――つまり、“情報伝達の多様化”を実現できれば、それはどんな検索者の状態であれGoogleが的確にコンテンツをピックアップして検索上位にし、結果として検索ユーザーとの接点を増やせるのではないでしょうか。
多様化したコンテンツページには目次を
このようなコンテンツページを作ろうと思うと、同じ内容でも切り口を変えて説明しなければならないので、どうしてもページの文字数が増えますし、1ページのボリュームは非常に長くなります。まぁテクニカルなSEOの見地で考えてもそのほうがGoogle評価に繋がりやすいので、それはそれで良いでしょう。しかし、検索結果からやってきた検索ユーザーにとっては読みづらい部分も多いはずです。既に知っている情報から読みはじめて、自分が知りたい情報がどこから始まるのか境界線を探らなければなりませんし、何よりストレスです。
そこで目次の登場です。各段落コンテンツに直接ページ内移動できる目次が有効になります。よく一番上にテキストリンクで目次が並んでいるケースのページをよく目にしますが、この目次がユーザーにとって助けになりやすいのです。
しかも目次の設定はワンラインサイトリンクの表示にも繋がりやすく、検索結果からのCTR向上にも繋がりやすくなります。今のところ、私が思うに検索ユーザーにとってもGoogle評価においても目次は有効だと思えます。
目次は追従型が良い
しかし、目次は一番最初にあるだけで良いのでしょうか?
確かにユーザーは目次から自分が読みたいコンテンツをまず探すでしょう。しかし、そのコンテンツを読んだ後はどうするのか…どうしてほしいのか…そう考えると次に読みたいコンテンツを探せるよう、常時目次があると良いですよね。つまり追従型(追尾型)の目次です。コンバージョンに結び付くボタン(CTA)が追従するページはよく目にしますが、目次が追従するケースは少ないので、この辺は実装と検証を行ってみる価値ありますよね。
追従させる目次の見せ方とデザインを追求する
追従する目次の見せ方を紹介してくれているサイトページは結構あります。「目次△追従」と検索すれば実装方法を教えてくれるサイトは数多くあります。でも、せっかくですので、追従してくれる目次は今読んでいる地点も明確にしてくれていると便利ですよね。つまり、スクロールに合わせて目次の該当箇所が目立つ(マークされたり大きくなったり等)動きがあると便利でしょう。ユーザーは今「自分がどこを読んでいるのか、次にどこを読みたいのか」まで分かりますので。そうなると当然、コーディング技術も然ることながらデザイン力も大事になってきます。どういう見せ方をすると分かりやすく、ユーザーが気に入ってくれるか、まで追求しながらデザインすることも求められます。
目次をトラッキングできればユーザー遷移も検証できる
ここで、マーケターであればさらに付加価値が欲しいところです。追従する目次の各項目に個別のURLが振られ、またスクロールに合わせてコンテンツの対象表示部分のURLが自動で切り替われば、ページ内でのユーザー遷移もトラッキングできるようになるはずです。そうすれば検索結果からユーザーが来て、たとえ直帰したとしても、その1ページの中でのユーザー動線を辿ることで、情報設計の検証が出来るようになるでしょう。この検証まで出来るのも追従型目次の面白いところかもしれません。
これからはライティングとコーディングとデザインと検証の四位一体
以上の連想ゲームから考えられることとして、これからはライティングだけ…コーディングだけ…デザインだけ…レポートだけ…という独立体制ではWebマーケティングが成立しない気がしています。コーダーの持つ技術力とデザイナーの持つデザイン性、そしてそのUIを加味したライティングをライターはしなければならず、それらは全てレポーティングできる検証体制も踏まえてプランニングすると良いのでは、と思います。三位一体ならぬ「四位一体」ですね。
大きい組織でこれを実現できるのか、また少ない人数でここまでの工数を割けるのか…これからのSEOやWebマーケティングはこの要素と体制が非常に重要になるのではないでしょうか。