Googleは画像ライセンスの記載とテストに関して、試行錯誤を続けていました。ライセンス画像に対する表示形式も決まっておらず、まだ表示されていませんでした。構造化データ等のマークアップ方法とその確認に関してはサポートが開始されていましたが、この度ようやくライセンス表示がされるようになりました。Googleの発表内容を和訳してご紹介します。
ライセンス可能の表示について
Google画像検索に「ライセンス可能」バッジを設けることで、ライセンサー(権利保有者)にとっては、ユーザーによる無意識な無断利用を抑制できるばかりか購入利用を促進できるようになりました。つまり、乱用の防止とビジネス機会の拡大という、一石二鳥の機能を手に入れられたのです。そうなれば、サイトオーナーとしても積極的にIPTC情報の入力や構造化データのマークアップを積極的に行うでしょう。まさに正のループになりましたね。
画像ライセンス情報をGoogle画像検索で確認可能に
ここ数年、Googleは画像ライセンス業界と協力して、Google画像検索で表示するコンテンツのライセンス要件に対する関心を高めてきました。2018年にはIPTC Image Rights metadataのサポートを開始し、2020年2月には、Schema.orgとIPTCを通じて、ライセンス可能な画像のための新しいmetaデータフレームワークを発表しました。それ以降、あらゆる規模のWebサイト、画像プラットフォーム、代理店によって、この新たな標準が広く採用されています。この度Google画像検索では、画像のライセンス情報を抽出することで、ユーザーが責任を持って画像を利用しやすくなるよう、簡単に理解できる新しい機能の提供を始めました。
どんな機能?
ライセンス情報を含む画像には、結果ページに「ライセンス可能」バッジが表示されます。ユーザーが画像ビューア(画像を選択したときに表示されるウィンドウ)を開くと、コンテンツの所有者またはライセンサーが提供するライセンスの詳細や利用条件のページへのリンクが表示されます。また、利用可能な場合には、コンテンツ所有者またはライセンサーが提供するページにユーザーを誘導するリンクも表示します。
左:「ライセンス可能」バッジが付いた画像の結果ページ
右: ライセンス可能な画像を表示する画像ビューア、画像のライセンス情報の詳細が新たに項目として追加されました
また、ライセンスのメタデータを持つ画像を簡単に検索出来るようになりました。Google画像検索の「ライセンス」というドロップダウンメニューが変更され、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」と「商用およびその他のライセンス」という2つから、画像のフィルタリングが可能になりました。
画像ライセンサーにはどのようなメリットがあるか?
- 前述した通り、画像ライセンサーからライセンスメタデータが提供されている場合、ライセンス可能なバッジ、ライセンスの詳細ページ、取得可能な画像ページが画像ビューアに表示されるため、ユーザーはライセンサーから画像を購入したりライセンスを取得したりすることが容易になります。
- 画像がユーザーが取得できるように設定されていないページ(ポートフォリオ、記事、ギャラリーページなど)に存在する場合、画像ライセンサーは、画像の購入やライセンスを取得できるページにユーザーを直接誘導すべくGoogle画像検索から新しいURLにリンクすることができます。
- 画像ライセンサーにとって、画像を購入したパブリッシャーがメタデータを適用することも可能で、パブリッシャーが画像を使用する際に、ライセンス情報を画像とともに表示することができます。(これにはパブリッシャーはIPTCメタデータを削除したり変更したりしないことが求められます。)
これは、Google画像検索で閲覧しているコンテンツの性質や、責任を持って利用する方法をよりよく理解していただくための一歩であると考えています。
参加するにはどうすればよいか?
これらの機能の詳細、実装方法、問題のトラブルシューティングについては、Google開発者向けヘルプページとよくあるFAQページをご覧ください。これらの機能に関するフィードバックについては、開発者ページのライセンス可能な画像機能のフィードバックツールやGoogleウェブマスターフォーラムをご利用ください。
画像ライセンサーによる本機能への感想
「4年ほど前から始まったGoogleとCEPICのコラボレーションにより、Google画像検索上で著作者と権利者が確実に識別されるようになりました。現在では、Googleとの実りある協力関係のおかげで、どの画像がライセンス可能であるかを決定する、ライセンス画像の取り扱いが明確になりました。私たちはこのコラボレーションにより、フォトエージェンシーやより広い画像業界で活性化されることに期待しています。Googleに感謝。」
– Alfonso Gutierrez、CEPIC社長
IPTCフォト・メタデータ・ワーキング・グループリーダーのMichael Steidl氏は「IPTCとGoogleとの数年にわたる協力関係の結果、IPTCの写真メタデータを埋め込んだ画像が、人気のあるWebサイトで再利用された場合、Google画像検索を通して興味の持ったユーザーがその画像提供者のページへ行けることができるようになりました。」「これは画像提供者にとって大きなメリットであり、画像ファイルにIPTCメタデータを追加する動機にも繋がります。」と述べています。
– Michael Steidl、IPTCフォト・メタデータ・ワーキング・グループリーダー
「Googleによるライセンス可能な画像機能は、ユーザーがビジュアルコンテンツを迅速に特定し、ライセンスの取得を容易にするための大きな一歩となりました。Googleは、この機能の開発期間中、DMLAおよびそのメンバーと密接に協力してツールや詳細を共有すると共に、フィードバックを集め、メンバーからの質問や懸念事項に対応してきました。この機能が世界中に展開される中で、この協力関係が継続発展していくことに期待しています。」
-Leslie Highes、デジタルメディア・ライセンシング協会会長
「私たちは、ダイナミックで激動のメディア世界に生きています。ですので、人々に対して、画像を保護するために適切なソースから画像をライセンスすることの重要性を理解してもらい、画像保護に注力し続けることの重要性を理解してもらうことが大切です。Googleの本策により、ライセンス画像の本質的な価値と、そのために必要な権利がより多くの人に認知されるようになることを願っています。」
– Ken Mainardis、ゲッティイメージズコンテンツ担当、上級副社長
「Googleによるライセンス可能な画像機能により、ユーザーはGoogle画像検索上で高品質な画像を見つけ、画像の著作権に基づいて画像の購入やライセンスを取得する道筋をより簡単にすることが出来ました。これは、ユーザーが安全かつ責任を持って取得できる画像を簡単に特定できるようになったという意味で、写真業界にとって重要な一歩です。EyeEmは、テクノロジーによって企業が画像購入する方法に革命を起こすという想いのもと設立されました。従って、Googleのライセンス可能な画像プロジェクトに最初から参加できたことを嬉しく思い、これらの機能がリリースされることを今から楽しみにしています。」
– Ramzi Rizk、EyeEm共同創設者
「デジタル画像専門のプロバイダー、また、デジタル画像を利用するユーザーをまとめた世界最大のネットワークであるpicturemaxxは、Googleのライセンス可能な画像機能に喜んでいます。クリエイターや権利管理者であるお客様にとって、検索エンジンでの視認性だけでなく、著作権やライセンス情報の表示は非常に重要です。この機能のさらなる活用に向けてpicturemaxxでは、近い将来、お客様がGoogle画像検索に画像を提供できるようにする予定です。開発はすでに進行中です。」
– Marcin Czyzewski, picturemaxx最高技術責任者
「Googleはこのプロジェクトにおいて、Alamyをはじめとする写真業界の主要人物と緊密に協議し、協力し合ってきました。ライセンス可能なタグは、消費者の混乱を軽減し、高品質のクリエイティブ画像や編集可能画像の価値を広く一般ユーザーに伝えるのに役立つでしょう。」
– James Hall、Alamyプロダクトディレクター
「Google画像検索の新機能は、クリエイターのコンテンツがどのようにして適切にライセンスされているかを可視化することで、画像クリエイターと画像消費者の双方を支援することになります。私たちは、100万人以上の投稿者からなるグローバルコミュニティに、公正な補償・保護を提唱することで、この機能についてGoogleと緊密に協力してこれたことを嬉しく思います。この機能の開発にあたり、Googleはコンテンツ作成の商流をサポートするという公約を果たしました。」
– Paul Brennan、Shutterstockコンテンツオペレーション担当副社長
「Google画像検索の新しいライセンス可能な画像機能により、クリエイティブチームがユニークなコンテンツを発見するための選択肢が広がります。ライセンス可能なコンテンツを特定するための信頼できる手段としてGoogle画像検索が確立されることで、Googleはすべての代理店や個人写真家に新たなビジネス機会を提供し、最も関連性の高いライセンス可能なコンテンツを迅速に発見、取得できるプロセスを構築しました。」
– Andrew Fingerman、フォトシェルターCEO
引用)Webmaster Central Blogより和訳
詳しい設定方法は以前の記事をご覧ください。
今回は「ライセンス可能」バッジが表示されるようになったことと、検索結果のツールから[ライセンス]でフィルタできるようになったことの2つですね。もちろん、Google Search Consoleでも実装のレポート確認ができます。
写真素材提供者でなくても気をつけて
今回の「ライセンス可能」バッジは飽くまでも、有償利用等において役に立つ機能ですが、それでもライセンス情報を入れて置くことは重要です。とくに画像を盗用されやすい業界(旅行業界における海外の画像、特殊な業界における特殊な器具類の写真等)はしっかりとライセンス表示をするようにしておきましょう。
あとから悔しい思いをしてDMCA申し立てをしたけどエビデンスが無くて却下された…なんて悲劇に陥らないよう、事前の準備が必要ですよね。