FacebookにせよGoogle+にせよ、企業ページの在り方については悩ましい問題がついてまわります。きれいな画像や食べ物の写真ばかり投稿すればある程度のいいね!や+1(私はソーシャルシグナルと呼んでいます)をもらえるかもしれません。しかし、それはもちろん企業ページの運用戦略に合致するとは限りません。「じゃあ、自社サイトの各ページをリンク紹介していけばいいじゃん」という考えにもなると思います。確かに工数もかからないですし、あわよくばそれがユーザーの目に留まってクリックしてサイト訪問をしてくれるかもしれません。でもそれだけでは(ユーザーとコミュニケーションを取れることを目的とした場合の)SNSにおいては、関心度と愛着ユーザー(エンゲージメント・ゾーン)を担保しにくいと思います。結果、ユーザーにとっても鬱陶しいだけだと思われることもしばしば…。そこで、これからSNSの企業ページを本格的に始めようと思われている方に、ちょっとだけご参考となる考え方をご紹介します。
情報設計における考え方
既にFacebookとGoogle+における違いは「リア充?リア不充?」でご紹介させていただいておりますので、ここではSNS毎のご説明は割愛し、企業サイトとSNSの企業ページとの使い分けについてご説明します。
企業のサイトはコンプライアンス上、その企業のサービスに注視した情報で構成されているケースが多く、それ以外では(SEO上の理由も多分にあるとは思いますが)「用語集」や「よくある質問」、「〇〇とは」といった客観的なコンテンツもあったりします。つまり、”何かしらの形でその企業サイトに興味を持ったから来訪”しているわけです。その来訪経路が検索でも広告でもなんでも良いのですが、興味があったから来訪したのです。
では、SNSでは興味を持つまでの”何かしらの形”を作ってあげれば良いのではないでしょうか?AISCEAS理論(Attention、Interest、Search、Comparison、Examination、Action、Sympathy)で言うところの「I(Interest)」ありきの来訪に対して「A(Attention)」をSNSで演出するイメージです。ちなみに私は、AISCEASの最後の「S」をShare(共有)と考えるよりSympathy(共感)として考えています。この動態理論については話し始めるとキリがありませんので、また次回…ww
SNSでAttentionさせる?
SNSで興味を持つまでの”何かしらの形”を作るとは言いましたが、それはどういうことかをご説明します。SNSにおいては、様々なポテンシャルのユーザーが混在しています。もちろん、その企業のサービス対象になるようなユーザーばかりではありません。でも、その企業サービスに興味がなくてもその企業が発信する情報には興味を示すかもしれません。結果、その企業のファンになり、いつか需要が生じた時にスムーズにその企業サービスを利用する日が来るかもしれないのです。もっと言えば、企業サイトに来訪しなくても企業ファンとしてSNS内に滞留してもらうことが可能なのです。そんなことがやり方ひとつで出来るなら…やらない手はないでしょう。
じゃあどういう運用方針でやるの?
自社の企業サイトをとことん分析してください。そしてその企業サイト内のコンテンツがどんな情報になっているか熟考ください。その上で以下大きく4つの運用方針が考えられます。
<対比型(自社サイトで謳わないことを謳う)>
要は「自社サイトでこんなことを謳っているから、SNSでは自社サイトに無いあんなことを謳っていこう」とする考え方です。例えば美味しいドリンクとして販売している炭酸飲料が、実はトイレの便器掃除において汚れを落とすのに効果的だとしたら、自社サイトでは「味」を売り、SNSでは「汚れ落とし」として売るみたいな考え方です(笑)。これは極端な例ですが、コンプライアンスや公序良俗を準拠した上で、このようなやり方を行うことはできるはずです。もうちょっと柔らかめで例を挙げるのであれば、転職サイトで求人情報をひたすら案内しているのに対し、SNSでは仕事がデキる人になるためのノウハウをひたすら案内する、といった感じでしょうか。自社サイトとはテイストを変えて案内することで、通常とは違うユーザーにアプローチするやり方です。
<需要喚起型(ニーズを引き出させる)>
自社サイトがサービスをプッシュ(押し売る)している形であれば、SNSではひたすらニーズを引き出すという考え方です。共感させていく運用方針です。「こういうことってあるよね?」「こういうケースはどうしていくべきか」等です。せっかくなので転職サイトを例に挙げるのであれば「上司や同僚と付き合っていける職場ですか?」や「その会社大丈夫ですか?」的な投げかけを行っていく手法です。その答えを投稿内で導くのか、投げかけで終わるのかも方針次第ですが、内容によってはユーザーをハッとさせることも可能になります。
<供給喚起型(サービスを広義に啓蒙する)>
その企業特有のサービスを案内するのではなく、飽くまで一般的にサービスを訴求することです。転職サイトで例を挙げるのであれば「転職をしよう」ということになります。「転職なら〇〇で」という以前の運用方針であり、「転職をする気にさせる」感じです。
<競合差別化型(自社サービスの利点を明確化)>
コンプライアンス上比較プロモーションはしづらい、という場合でも具体例を挙げずに一般論として「うちは〇〇が良いんです」と発信することです。(最後まで転職サイトを例に案内しますと)既に転職をする気になっている人に、自社の転職サイトを利用してもらうためのサービスプッシュになります。おそらく自社サイト内でも既に発信している情報だと思いますので、拡散の強化といったイメージでしょうか。
随分と長々しい文章になってしまいましたが、以上の4つの運用方針を参考に、企業SNSにおける情報設計を考察してみてはいかがでしょうか?今回は運用方針という形でご紹介しましたが、投稿方針というものも存在しますので、そのうち投稿方針についても書いてみたいと思います。