• Clubhouseを始める前に

Clubhouseを始める前に

連日マスコミでも取り上げていることもあり、Clubhouseの招待枠が1人5枠までロールアウトしていることを機に、アーリーアダプターからアーリーマジョリティまで利用者が広がっているようです。そこで、Clubhouseの利用を始める際、最初にClubhouse側から案内される招待記事を和訳しましたのでご紹介します。

Paul氏とRohan氏より

以下はClubhouseを開発したPaul Davison氏とRohan Seth氏の両名からの記事本文です。

チェックワンツー…ちゃんと作動してる?

Clubhouse開発から3ヶ月余り、初期のベータ版を数人の友人と共有しました。当時のアプリは非常に荒削りで、何をどうして良いのかさえ分かりませんでした。とりあえず私たちがすべきことは、フィードバックを集め、ひたすらに改善を繰り返し、Clubhouseが準備完了であると判断できるまで大々的に広めないようにすることでした。

しかし、いくつかの点で「広めずに完成までもって行かせる」という考え方では上手くいかないところもありました。私たちは、プラス面とマイナス面、両方のフィードバックを受けることで多くのことを学び、皆様が少しでもClubhouseを気にかけてくださったことに本当に感謝しています。これらのことを踏まえて、私たちがどうしてこの会社を設立したかを理解していただけるよう、Clubhouseの初期の考えやコミュニティへの感謝の気持ち、そして将来の計画を少しだけお話させていただければと思います。ご閲読のほど、宜しくお願いします。

Clubhouseとは?

Clubhouseは、音声をベースにした新しいタイプのネットワークです。アプリを開くと、会話をしている人たちでいっぱいの「room」が表示され、全てはオープンになっているため、部屋に自由に出入りして様々な会話を楽しむことが出来ます。皆様は聴衆として各部屋に入りますが、話したい人は手を挙げるだけで、スピーカーが皆様を招待してくれます。また、自分のroomを作ることもできます。Clubhouseは、友人や世界中の新しい人と出会い、話をしたり、質問をしたり、討論したり、学んだり…何千もの異なるトピックについて即興の会話ができる場所です。

Clubhouseは音声のみですが、音声とは非常に特別なメディアだと考えています。カメラがないぶんアイコンタクトや服装、場所を気にする必要がありません。洗濯物をたたみながら、授乳中、通勤中、地下室のソファで仕事をしながら、あるいはランニングをしながら、Clubhouse内で会話をすることができます。何かを入力して「送信」を押すわけではなく、いきなり他の人との対話に参加することが出来ます。音声を通じて伝わるイントネーション、抑揚、感情により、ニュアンスを拾い上げ、人間的なつながりを形成することができるわけです。もちろん、お互いに難しい話題を議論したり、込み入った会話をしたりすることもできますが、声に出すことで、より互いの理解や共感を得られることに繋がります。これこそが、私たちがこのメディアに惹かれた理由です。

ここ3ヶ月間、Clubhouseとしても、大統領選に関わるアメリカ最高裁判決に対する喜びや悲しみ、ジョージ・フロイド殺害に関する怒りや無力感、COVID-19による自粛期間中の家庭と仕事の課題など、さまざまな局面を乗り越えるための葛藤を繰り返してきました。それぞれの人生を歩んできた人々が共通点を見つけて会話しているroomもありました。皆様が読書会や、炉端会議、情熱的な議論、さらにはお笑い漫談等、色々なroomを催しているのを見てきました。夜遅くに寝落ちしてしまった人がいると、他の人が「寝かしつけ役」として、マイクをミュートにし静かにスピーカーから客席に送り戻しています。一度に何時間も話すことができたり、友情を深められたり、新しい人との関係を築けたり、そして、新しいことを学べたりするような場所だからこそ、気分を害すよりも得るものが多く、皆様はClubhouseに何度も出入りするのかもしれません。

なぜまだ一般公開しないの?

私たちは全ての皆さまがClubhouseを利用できるよう、そして一刻も早く世界公開できるよう邁進しています。ですので、一部利用者だけの限定的なものにしようと思っているのではなく、まだ一般版をリリースする準備が整っていないだけなのです。これには2つの理由があります。

第1に、ユーザーのデータベースを1日で10倍にするというのではなく、徐々にコミュニティを成長させていくことが重要だと考えているからです。そうすることで、急成長による綻びが出ないようにし、コミュニティ構成を多様的に広げつつ、成長に合わせたClubhouse調整ができると考えています。

第2に、私たちは小さな会社であり、より多くの人に対応できるような体制がまだ整っていません。現在、正社員は私たち2人だけなのです。多くの人のサポートを受けながら、積極的に採用活動はしているものの、インフラの拡張、機能開発、製品フィードバック収集等、一般的な会社作りに必要な動きが毎日全然できていません。さらに私たちには4人の幼い子供がいて、仕事をしている時にもキーボードに飛び乗ってくるような始末なのです(汗)。

で、次は何をするのか?

ベータ版から正式版に移行する前に、Clubhouseがより多くの人に対応できるようにしたいと考えています。特にこの件に関しては、データベースが拡大していく中で、皆様が安心して利用できるよう、厳格なコミュニティポリシーと機能を備えなければならないことを意味します。
ここでは、正式版リリースに向けて、今私たちが最優先で考えていることをご紹介します。

  • より詳細なコミュニティガイドライン。私たちはコミュニティガイドラインの初稿を公開しましたが、それでもまだ解決できていない部分があります。ユーザーの会話を記録していない場合、虐待やハラスメントにどう対処するのか? 他のSNSでの悪質な行動はClubhouse内でのユーザー利用停止理由にするのか、それともClubhouse内で起きたことだけを理由に利用停止とするのか? 主要SNSでは、こういった件について、詳細なガイドラインを何年もかけて策定しています。私たちのガイドラインもより厳格なものにすべく注力しており、ユーザー数の拡大に合わせてガイドラインを強化していくようにしています。
  • アプリ内での安全機能。どのプラットフォームにも悪質なユーザーというものは存在します。ベータ版を超えるとなると、皆様を守るためのより良いシステムが必要になります。Clubhouse内では、解明しなければならない事象もいくつかあります。複数の人が話している会話の中で、特定の1人だけをブロックする意味はあるのか? いずれ苦情や訴訟の調査に役立つべく、会話のログを取るべきか? この度、重要なプライバシーとブロック機能もリリース予定ですが、一般リリースする前に、より有機的なアプリ内レポートとクレーム調査のための明確な仕組みを追加していこうと考えています。
  • 閉ざされた中でも成功する仕組み。私たちは初期段階の利用者の中で多様な声を集めることを目指してきましたが、参加の多様性を高めるだけでは十分ではありません。異文化の原理や性格を持つユーザーがClubhouseをどう利用するのか知るべく、最適な情報収集手段は何なのか? プラットフォーム上で差別を生み出す可能性のある性別や人種、その他、作用する要素は何か? 差別が問題化した際、多くの人が声を上げられるようにするためには、どんな仕組みが必要か? プライベートな空間にすることは、より安全な空間に繋がるだろうか、それとも排他主義やエコーチェンバーを引き起こしてしまうか?
  • これらはとても重要な課題であり、安易な解決策では副作用が生まれてしまいます。しかし幸いなことに私たちには、Clubhouseの使い勝手を研磨してきた間、何百時間もかけて話し合い、フィードバックを共有してくれた素晴らしいベータテスターの方々がいます。

    また、初期のベータ版に参加してくださった皆様、良いところを共有してくださった皆様、フィードバックを送ってくださった皆様、重要な問題についてより深く考えるようご助言くださった皆様、すべてに感謝しています。皆様の力がこのプラットフォームを前進させてくれます。

    まだClubhouseをご利用になっていない方は、こちらからウェイティングリストに登録出来ます。一刻も早く多くの皆様をお迎えして、様々な感想を聞かせていただくのが楽しみでなりません!

    引用)Check 1, 2, 3… Is this thing on? – Clubhouseより和訳

懸念点は運営側で既に理解している

Clubhouseでは、今後のマネタイズとして、リスナーを多く抱えるスピーカーに何かしらの報酬が含まれるようなビジネスを考えているようですが、その収入源が広告なのかサブスクリスナーなのかはまだ分かりません。しかし、その前に抱える差別的課題や攻撃性のあるユーザーの排除方法、エコーチェンバー現象に加担しない仕組み作り等、クリアすべき課題も多くあるようです。これは単純にデータベースの拡張や大量のユーザーに耐えうるビッグデータ処理機能等で済む問題ではないですね。場合によっては音声ログを残すことも視野に入れているようです。

アーリーマジョリティまで利用市場が含めば、様々な局面にぶつかり、炎上してくることもあろうかと存じますので、こういったケースを何度も経験しながらClubhouseを成功させていこうとする姿勢が見受けられますね。すでにClubhouseは「みんなで作っていこうね」的な姿勢で取り組むことに期待しているようですし、そんな気持ちで利用していくと良いのかもしれませんね。

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