以前「Yahoo!検索が疾病情報を提供開始」について取り上げましたが、その後「検索サービスと医療情報」について厚生労働省のサイトに掲出されていましたので、ご紹介したいと思います。これはYahoo!側が国(厚生労働省)側に提出した資料になります。そして、国側が「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」と称して取り上げた議題でもあります。
背景
ヤフー株式会社の資料によると、「各メディアの医療・健康情報は総合的に見て信頼できるか?」というアンケートにおいて、インターネットメディアは合計約30%が「あまり信用できない」「まったく信用できない」であるものの、他のメディア(テレビ等)と比べると信頼性は高いようです。しかし一方で「一般の人がインターネット検索で自分の症状に合った正しい情報にたどり着けるか?」という問いには「辿り着くのは難しい」と答えた人が52%もいます。
つまりインターネットメディアにおける医療情報は信頼できる情報があると思われているにも関わらず、その情報への出会いは困難であるという認識が広がっているわけです。
また、厚生労働省のサイトには医療機能情報提供制度(医療情報ネット)というコンテンツがあり、その地区その地区の住民が医療機関を適切に探せるような支援をしています。
しかしこの医療情報ネット、なかなか一般にリーチされず、認知されず、エリア毎に統一感が無かったりと、使い勝手が悪すぎる状況なのです。実際に、医療情報ネット内にある病院情報や医療情報は検索エンジンが検知できないような作り(クローラーに検知されない動的な作り)になっていたりしていて、一般ユーザーには辿り着きづらいページになっていたりします。ですので、この医療情報ネットは課題もたくさんあるし、国として対処していかなければならないでしょう。
Yahoo!検索の取り組み
前述のようなこともあり、Yahoo!検索では独自で新しい取り組みを行うようになりました。
今後も総合的な観点で、検索結果・検索体験向上のためのさまざまな取り組みを行っていきたいと考えている。
引用)ヤフー株式会社
その第1弾が先日ご紹介しました疾病情報の提供というわけです。
そして、最後にYahoo!は国に対して以下の投げかけをしています。
- 疾病等に関する情報を、正確で一般的に使用される用語で積極的に発信する
- 必ずしも自身のサイトで閲覧してもらうことに拘らず、見易さ、UI、UX等の向上は民間の創意工夫に委ねてもよい
- 医療機関等に関する最新の情報を、機械判読可能で全国的に標準化された形式で公開する
引用)ヤフー株式会社
「国側でちゃんと情報管理やサイト運営を行って。難しければ無理せず民間企業と提携し、適切な情報提供を心掛ける支援をして。せめて国側も情報に小難しい言葉や言い回しを使わず、誤解を招かないよう、極力理解しやすいように文章を考えて」という内容です。Yahoo!側の狙いが社会貢献という大義にあるのか、ビジネスにあるのかは分かりませんが、いずれにしても国に一石を投じているのは確かですね。
一般企業やクリニックでも、サイトのコンテンツを考える上で、難しい言葉や誤解を招く言い回しには注意した方が良いでしょう。イラスト等を活用し、分かりやすく紹介したサイトの方が一般理解は高まり、権威性も上がるかもしれません。
とりあえず興味深い内容でしたので、ご紹介させていただきました。