多くのWebサイトが情報収集向けの検索であるInformational Query(“Knowクエリ”)に対応すべく、コラム記事や解説記事を作成していると思います。私も様々なところで支援しています。そしてGoogle AnalyticsがデフォルトでGA4に移行しましたが、何もしていないサイトオーナーの方から「急に直帰率が下がった」と言われたりしていまして…GA4では、デフォルトの直帰率の定義が変わっています。ですので、その辺についてのお話と、コラム記事をどう捉えるかについて記事にしておこうかと思います。
GA4におけるデフォルトの直帰率
今までのGoogle Analyticsの旧GA(Universal Analytics)における直帰率は、単純に“該当ページに来て、そのまま直接的に離脱したセッション率”でした。ですので、直帰率が60%や70%になるのは当たり前で理解しやすかったです。
しかし、新GA(GA4:Google Analytics 4 property)では、直帰率の定義として“エンゲージメントしなかったセッション率”となっています。もちろん、直帰の定義はGA4ではカスタマイズできますので、あくまでもデフォルトの直帰率の定義ですが。そして、エンゲージメントはデフォルトで以下のように定義付けられています。
- 10秒以上継続したセッション
- コンバージョンイベントが1件以上発生したセッション
- ページまたは画面の閲覧、または視聴が2件以上発生したセッション
つまり、ランディングしたページからどこにも行かず離脱したとしても、10秒以上閲覧していれば“直帰”としてのカウントではなくなります。そのため、従来のGA(UA)よりも直帰率は低く計測されるようになります。実際に、今までの(旧GAでの)直帰率が60%台であったサイトが急に(GA4で)直帰率20%台になることもザラにあります。
ですので、旧GAでの直帰率に合わせて新GAでも検証したい場合は、“次のページに遷移しなかったセッション”のみを直帰としてカウントする“イベント”を独自作成する必要があります。
今後コラム記事をどう捉えるか
さて、今回のGA4が良い機会になると思いますが、そこでひとつの新しい疑問が浮かびます。
「じっくり読み込まれたコラム記事の評価をどう捉えるか」
です。冒頭に申し上げましたように、情報収集向けの検索に対応すべく構築したコラム記事ですので、ある意味閲覧者に読んで出て行ってくれるだけで目的は果たしているのですが…とはいえ、せっかく事業サイトとして展開しているなら、少しはコンバージョンやエンゲージメントに寄与してくれるページになってもらいたいものですよね。ではそんなコラム記事の評価をどう捉えるか…。コラム記事を検索順位と流入数だけで、CVRがゼロに近く直帰率の高いページであると認識してしまうか、それとも別のエンゲージメントを考えるか…です。滞在時間だけで見ても、ただページを開いて放置しているだけかもしれませんし…。
そこで、私が現在コラム記事に対して実装しているイベントと検証方法をご紹介します。それはスクロール率です。GA4やGTM(Google タグマネージャー)におけるスクロール率のイベント設定に関しては、公式にあまり情報がなく、こちらの記事(やさしいGoogleアナリティクスブログ)が一番分かりやすそうです。
設定方法は割愛して、私のやり方をご紹介しますと以下の概念と検証を行い、PDCA化しています。
- 注力コラム記事の縦ピクセル(長さ)をある程度一定にする。
- スクロール率のパーセントを設定する(デフォルトの90%ではなく、15%,30%,45%,60%,75%や20%,40%,60%,80%単位等)。
- 設定したパーセントのピクセル単位で記事の趣旨を一旦まとめる文章にする。
- 設定したパーセントのピクセル単位でCTA(コンバージョンのためのエントリーフォームへのリンク)や別ページへのリンクを設置する。
- その後のスクロール率に合わせて、ユーザーが閲覧した(であろう)趣旨とCTAやリンクのクリック状況を確認する(パラメータを付与する等して分かりやすくする)。
- その検証によって、“〇〇まで読んだユーザーは〇〇へ進む(または進まない)”という仮説を立てる。
- 仮説に合わせて次のコラム記事に活用したり、該当コラム記事をリライトしたり、該当コラム記事内の文章の組み立て順序を変えたりする。
ここまで行うと、コラム記事単位で販促向けの有用性や啓蒙向けの情報性、またSEOフレンドリー性まで見えてくるようになります。かなりマニアックなPDCAですし、検証の画面キャプチャを使ってご説明したほうが良いのですが…そこはまぁ…ビジネス上の企業秘密ということで(笑)。
コラム記事はより専門的に
そう考えると、コラム記事や解説記事に求められるのは広く薄っぺらい記事ではなく、より深く専門性が高い(それでいて分かりやすい)ほうがGoogle検索ランキング上も閲覧上もエンゲージメント上も良いということが分かりますよね。
自称Webライターのような人が、Webサイトに転がっている情報をかき集め、上手く順序立てて「とは」「メリット/デメリット」「注意点」「おすすめ」なんていう記事を書いたところで評価されませんし(一部の細かい検索語句にはヒットするかもしれませんが)、もっともっと立体的にコラム記事を構築していく必要があります。
コンテンツは調べて書く時代から自分が既知のノウハウやメソッドを教える時代にーー。
これからは個性と知的財産とブランドをコンテンツ化する時代なので、そういう意味でのE-E-A-Tが重要ですね。
見識者に直接訊く、自分の目で見る、試行する、を鍛錬してやっと人に教えられるようになるのでは?
— 清野 剛|サイト運用支援 (@keyouknow) February 5, 2024
私がコラム戦略を請け負う時、最初に納品する4〜8記事は流入キーワードを無視します。その分、どういう人に利用して欲しいか、サービスの効果を訴求する販促記事を設置します。
そうすると次回以降の納品記事の落としどころが多様化して導線バリエーションが豊富になるんです。
お試しください🤗
— 清野 剛|サイト運用支援 (@keyouknow) February 6, 2024
コラム記事とは、検索者に「なるほど!そういうことか!」と理解してもらえるよう、読者より絶対に先んじているノウハウや知識の発信が必要ですし、同時にサービス利用まで喚起できる構成や設計力が必要です。めちゃくちゃ奥が深いと思うんです。この両面を達成でき、有機的に機能できるページを少しずつ作り上げることが重要なのではないでしょうか。
大量に短期的にコラム記事を作りまくって、サイトの発信価値を下げるよりも、プロらしい記事で発信するべきだと私は思うんです。“文字単価〇円で大量生産”する時代は終焉に向かっているはずです。