米国現地時間9月29日に開催されたSearch On ’21でGoogleが発表した内容のフォローアップ記事がThe Keywordに掲載されています。MUMの話が中心です。MUMがもたらす体験を具体例を交えて紹介してくれていますので、和訳してご説明します。
MUMの具体的機能
今回の記事でGoogleが紹介したMUMによる新機能は大きく3つの切り口(画像で検索、検索結果UIに追加、動画理解)です。検索結果UIに追加されるのは3つあるため、以下5つの内容にまとめています。
- 画像で検索できる:Googleレンズと連携して、画像から関連するアイテムを発見したり、画像でニュアンスを伝えることで「百聞は一見に如かず」を具現化できる。
- 検索UIに「Things to know(知りたいこと)」機能:検索心理を大分類した結果のWebページを紹介。
- 検索UIに「Refine this search(検索の絞り込み)」機能:詳細を深堀りして紹介。
- 「Broaden this search(検索を広げる)」機能:派生した内容を紹介。
- 動画内容理解:動画の説明文に表記がなくても動画の内容を理解して検索結果に表示する。
詳細は以下の記事をご覧ください。
AIがもたらす情報の利便性
今は、人類史上、最も多くの情報が人々に届けられるようになっている時代です。そして、人工知能の進化は、私たちの情報活用を急進的に変化させ、日常生活だけでなく世界中に潜む複雑な課題の解決に繋がる新たな知見を誕生させることになるでしょう。本日開催されたライブストリームイベント「Search On」では、最新のAI技術をGoogle製品に導入することで、より自然で直感的に情報を検索する新たな方法についてご紹介しました。
MUMを使った複数手段による検索の実現
今年の初めに開催されたGoogle I/Oで、Multitask Unified Model――略してMUMにより、情報を理解するための重要地点まで到達できたことを発表しました。
Googleでは、MUMの機能を使ってGoogle製品をより便利にしたり、全く新しい検索方法を実現したりするための実験を行ってきました。今回は、MUMによって可能になることの一部をご説明します。
今後数ヶ月間のうちに、目で見たものの検索ができる機能を備えた――視覚的に検索する新しい方法を導入予定です。以下は、MUMによって可能になることの例です。
この新機能では、Tシャツの写真を見ているときにGoogleレンズのアイコンをタップすると、同じ柄の靴下など、別の種類のカテゴリでも検索することができます。これは、言葉だけではうまく表現するのが難しいものを探しているときに役立つでしょう。例えば、「白い花柄のビクトリアンソックス」と入力しても、あなたが探している柄そのものは見つからないかもしれません。画像とテキストを1つのクエリにまとめることで、視覚的に検索しやすくし、より自然なニュアンスで質問を表現できるようにしています。
例えば「自転車のある部品(※部品の名前が分からない/出てこない場合)が壊れてしまったので、修理方法を教えてほしい」というような難しい質問をしたい時もあるでしょう。その場合は、部品のカタログを見て修理方法を探すのではなく、ポイント&ASK方式(探したい特定の場所をレンズに映して調べる)の検索にすれば、動画の中から答えに結びつく瞬間を容易に抽出することができるようになるでしょう。
デザインを一新した検索ページで検索ユーザーをサポート
今回の発表では、MUMのように進化したAIを適用して、Google検索をリデザインする方法もご紹介しています。これらの新機能は、検索をより自然で直感的なものにするために行っている最新事例です。
まず「Things to know」という機能では、新しいトピックをより簡単に調べたり理解したりできるようになります。例えば、あなたがアパートの内装を装飾したいと思っていて、アクリル画の制作についてもっと知りたがっているとします。
「アクリル画」と検索すると、Googleは大抵の人がこの言葉について何を知りたがっているかを理解し、まず最初に知りたそうな情報を表示します。例えば、アクリル画に関連する350以上のトピックを特定し、その中からユーザーに合わせて関連する情報を見つけられるようにしています。
この機能は今後数ヶ月のうちに開始予定です。将来的には、「日用品を使ったアクリル画の描き方」のように、検索しても分からなかった深い意図や洞察をMUMが解き明かし、他では見つけられなかったWeb上のコンテンツと結びつけていくことでしょう。
2つ目は、アイデアをより深く掘り下げるための新たな機能によって、より簡単に検索を絞り込んだり、検索範囲を広げたりすることができるようになります。
この例の場合、抽象画の水彩技法の具体的なテクニックや、受講可能なアート授業について詳しく知ることができます。また、他の画法や有名な画家など、関連する他のトピックを知るために検索範囲を広げることもできます。これらの機能は今後数ヶ月のうちに開始される予定です。
3つ目の機能は、新しいデザインの検索結果ページで、視覚的なインスピレーションをより簡単に感じられるように設計したことです。例えば、抽象画の水彩技法について気になったら「抽象画のアイデア」で検索すると、Web上の様々なアイデアが掲載された彩り豊かなページが表示され、記事、画像、動画などを簡単にスクロールすることができるようになりました。
この新しい検索結果ページは、「ハロウィンの飾り付けのアイデア」や「屋内の壁等を使った観葉植物のアイデア」など、特にインスピレーションを求めている検索に対応していると思われます。
動画からより多くの情報を得る
Googleはすでに高度なAIシステムを使って、バスケットボールのウィニングショットやレシピの手順など、動画のキーモーメントと呼ばれる重要な瞬間を特定できています。ここでは、そこからさらに一歩進み、動画の中で登場するシーンから関連する情報を特定し、容易に深掘りできて、且つ詳細が分かるリンク先を提供する新しい体験をご紹介します。
MUMを使えば、動画内の情報を高度に理解した上で、動画で明確に言及されていない情報を表示することもできます。この例では、動画にこそ「マカロニペンギンの生態」という言葉は出てこないものの、マカロニペンギンがどのように家族を見つけ、どのように外敵を避けているかなど、動画に含まれる内容がリンク先の情報に関連していることをシステムが理解しています。この機能の第一弾は数週間以内にリリースされる予定で、今後数ヶ月のうちにさらに表示方法も改善していく予定です。
これらのMUMによる体験を通じて、皆様がこれまでに出会ったことのない、あるいは検索したことのないWebページ、動画、画像、アイデアをより多く発見できるようになることを楽しみにしています。
より便利になったGoogle
本日発表したアップデートはMUMだけではありません。大小様々な小売業者の方々から、皆様がお探しのものを簡単に購入できるようにもなっています。また、人々がオンラインで見つけた情報の信頼性をより適切に評価できるようにしています。さらに、切迫した状況の時、皆様が洞察や情報にアクセスできるようにするための新しい方法を見つけています。
これらの活動は、世界中の人々だけでなく、クリエイターやパブリッシャー、企業側にも役立っています。 Googleは毎日、1億を超える様々なWebサイトに訪問者を送客しています。また、Googleは、電話や道案内等、地元の人々の足を運ぶ仕組みを作ることで、毎月、Webサイトを持たない1億2千万を超える企業と人々を結びつけています。
Googleでは、より便利な製品を開発し、検索という概念の限界に挑戦し続けることで、皆様が探している答えに到達させやすくし、その過程で生まれる様々な課題を解決していきたいと考えています。
引用)The Keywordより和訳
検索結果画面はどうなっていく?
まだGoogleは検索結果デザインを試行錯誤中のようで、実装まであと数ヶ月かかるとのことですが、いよいよメディア化を目指していない企業Webサイトが抱えるコラム記事の在り方を考える必要もありそうです。企業Webサイトがコラム記事を執筆する理由はサービス利用に結び付けたいからであって、ただ広くリーチしたいだけではないはずです。
そうなるともう何度も書いていますが、企業サイトがメディア化目的ではなく検索者にアプローチしたいのであれば、企業サービスのターゲットニーズを見定めて、そこからスタートするコンテンツ設計をしていくことが重要です。
どんな段階にいる誰をターゲットにして記事訴求したいのか市場をスコープする内容が求められるでしょう。