以前、「思わぬインデックスについて」でも触れましたが、キーワードカニバリゼーションについてご紹介させていただければと思います。ここにきて意外とキーワードカニバリゼーションの問題が大手サイトでも頻出してきており、改めてメモ書きしておきたいなと思った次第です。
キーワードカニバリゼーションとは
以前のご説明の繰り返しになりますが、同じドメイン内の2つ以上のページ同士がキーワードを食い合っちゃってるパターンです。同じようなコンテンツパワーの場合、内部リンク状況やページ間の上下関係がしっかりできていないと陥るケースが多いです。この場合、どちらのページの方を上位表示して良いかGoogleが判断できず、結果としてどちらも検索順位が上がりにくくなります。これは主にtitleタグやコンテンツ、内部リンク状況や階層構造等で回避できますが、そもそもの情報設計の段階で施策キーワードに対するページの優劣をつけられなかったことが原因です。最近では同じドメイン内だけでなく、同じ運営元というだけでもキーワードカニバリゼーションが起きるケースもあります。Googleからすれば「要は同じ人が言っていることだから、同じ内容でしょ?」という判断になりやすく、QDD(Query Deserves Diversity:検索結果の多様性)作用が働き、同じ切り口のサイトページはいずれも検索上位を達成しづらい傾向があったりします。
カニバリゼーションを引き起こす原因
そこで、同ドメイン内キーワードカニバリゼーションにおいて、パッと思いつく原因と解決策を要素別にご紹介します。
コンテンツテーマと量
単純に書いてあるコンテンツが同じような内容だとしたら、キーワードが被りますのでカニバリズムを引き起こします。ただ、注意しなくてはならないのが、不動産系やエリア要素を含んだサイト展開の場合です。「品川区の○○ページ」と「品川駅の○○ページ」という案件一覧ページがそれぞれあったとします。案件一覧は動的にシステムで吐き出されているコンテンツですので、低品質とは言わないまでも、コンテンツ内容が安定しているわけではなく、結果としてどちらも同じコンテンツ量とテーマ性になります。その際Googleで「品川 ○○」と検索した場合、いずれのページも一定の内容ですのでキーワードカニバリゼーションを引き起こす可能性があるわけです。
こういう場合はページ自体を改善するわけにも、いずれかをインデックスさせないというわけにもいかないと思いますので、他要素でうまく差別化を図っていくしかないと思います。もしくは、そもそも「品川の○○ページ」を作って、その配下に「駅から見る」「区から見る」等して、第3の親ページを設置してしまうのもアリかもしれません。
リンク集約とアンカーテキスト
リンクは内部リンクと外部リンクを差しますが、ここでは内部リンクに限定してお話しします。純粋に同じような内容のページが2つ以上あった場合、どちらも同じくらいの内部リンク数を受けているのであれば、やはりリンクパワー(≒ページランク、リンクジュース)は一定になりますので、強弱がつきづらく、キーワードカニバリゼーションが起こったりします。さらに、前述の例で申し上げますと「品川区の○○ページ」と「品川駅の○○ページ」に、同じくらいの本数で「品川の○○」というアンカーテキストの内部リンクがあると、やはりカニバリズムを引き起こします。アンカーテキストとはリンク先ページを簡潔に表すものですので、それが同じアンカーテキストで複数のページにリンクされていると…言わずもがな、ですよね。
そもそも同じアンカーテキストで異なるページに内部リンクが貼られている段階で、情報設計が出来ていない(パッチワーク的な情報追加手法)証拠ですので、サイト構造の整理が必要です。その上で、内部リンク数の優劣をつけたり、親子関係(ディレクトリ構造でいずれかを配下)にしたりすることで、カニバリズムを解消できる手段を取る必要があります。
優先されるキーワード
これもコンテンツテーマと内容が重複しますが、どんなにしっかりと複数ページでコンテンツを書き上げていっても、客観的に「要は✕✕の□□についてだよね」という解釈が成立してしまうのであれば、それは「✕✕ □□」で検索した時にキーワードカニバリゼーションを引き起こします。
これもそもそもの情報設計が出来ていないわけですが、内容が重複してしまう場合は、該当箇所を1ページでしっかりまとめ、細分化された情報をそのページの(サイト構造上の)配下に設置していくことで、情報のツリー構造化を成立させていくべきだと考えられます。もし、情報の客観的な解釈が出来ないのであれば、Googleの検索順位に任せてみて、検索順位が変な感じ(※後述)でしたらカニバリゼーションを引き起こしていると判断するのもアリかもしれません。
ディレクトリ構造
これは、ディレクトリ構造がキーワードのカニバリゼーションを直接的に引き起こすという意味ではなく、カニバリゼーションが生じたらディレクトリを切って親子関係を作るのもアリという考え方です。ディレクトリ構造で親子関係を作るということは、内部リンク(パンくずリンク)等で自ずとリンク数の優劣が出来上がると思いますので、結果的にページの強弱が出来上がると思います。前述の繰り返しの話ですね。
titleタグ
今さらながら、一応titleタグのお話も。titleタグのSEO上の重要性は少し弱まりつつ(中和されつつ)ありますが、さすがに同じtitleタグの内容は良くありません。また一部の助詞が異なるだけで、書いてあるtitleタグは複数ページで同じ内容というのも良くありません。そもそも重複しているtitleタグはSearch Consoleから確認できますが、ページ単位の大見出しとなるtitleタグが同じという段階で、そのページ内容も同じなわけで…内容が違うのにtitleタグが同じというのもあり得ないわけで…しっかりとページ単位でtitleタグをオリジナル設定していきましょう。同じ理論で<h1>タグもオリジナル設定することをお勧めします。
検索順位が変な感じ?
ここまでお伝えするとお分かりいただけると思いますが、キーワードカニバリゼーションというのは、類似ページ扱いや重複ページ扱いと似ている現象なのです。重複や類似が過ぎるとパンダ・アップデートの対象になったり手動対応(ペナルティ)を受けてしまったりしますが、キーワードカニバリゼーションも検索順位を下げられることは無いにせよ、検索順位が頭打ちになることは事実です。
では、検索順位が頭打ちになるというのがどういうケースか、2パターン程ご紹介させていただきます。
検索結果から判断する
検索結果画面を見た時に、あるページは9位とか10位にランクインしており、同ドメインの他ページが11位とか12位(2P目の前半)にランクインしているとカニバリゼーションが引き起っているイメージが強いです。実際にGoogleはQDD作用が働き、検索結果の1P以内に同ドメインをクラスタリング(連続表示)したがらない傾向にありますので、当然2P目以降に同ドメインの別ページが表示されるケースは多々あります。しかしながら、場合によってはキーワードカニバリゼーションのせいで、足を引っ張られてしまい、本来上位表示されるべきパワーのあるページでも検索結果1P目の下段に表示されてしまうこともあるのです。
検索順位推移のランクインページから判断する
例えば、あるキーワードをGRCツールに登録する際、順位推移をドメイン単位とページ単位で設定します。ドメイン単位では順調な順位推移を見せているように見えても、ページ単位では順位が上がったり下がったりしている…それはつまり、ランクインしているページが入れ替わっている証拠です。結果、キーワードカニバリゼーションが引き起っていると判断して良いと思います。
上図は明らかなキーワードカニバリゼーションであることが分かります。ドメイン単位では11位の時でも、ページ単位では12位ということはクラスタリングされていることが分かりますので、尚のことキーワードを食い合っているのが明確ですね。
最初から拡張性を考えたサイト構造を
以上のように色々とキーワードカニバリゼーションについてご紹介してきましたが、そもそもサイト構築の際の情報設計の段階で、今後増加していくであろう情報コンテンツを想定しておくべきです。そうでないと必ずキーワードカニバリゼーションは引き起ってしまいます。
出来ましたらキーワードカニバリゼーションは未然に防ぐことができるようにしておきつつ、いざ発生した際はページ間における強弱の整理をつけてあげるようにしましょう。