Google I/O 2021

先日開催されたGoogle I/O 2021に関しまして、MUMの話はご紹介させていただきましたが、その他AIがもたらす内容に関しての記事もございましたので、その内容も和訳してご紹介します。

スンダー・ピチャイ氏

The Keywordの内容

Googleが米国現地時間5月18日付けで紹介したThe Keywordでの記事はGoogle I/O 2021の一部の主旨を事前に補足する内容であり、MUMを含めてざっくり話してくれています。

AIを活かして世界中の情報を検索し、見つけ出して、買い物する

AIの進化は、Google製品の可能性を広げます。これは、誰もが情報にアクセスしやすく、便利になるというGoogleの使命の中核を成すもので、より浮き彫りになっています。Googleは20年以上かけて、Web上にある情報を深く理解するだけでなく、世界をより深く理解するための開発を行ってきました。新しく複雑な教科をリモートで学ぶ学生や、新型コロナウイルスのワクチンに関する信頼できる情報を探している介護者、子どもの帰宅ルートを探している親など、Googleが情報を理解することで、その情報がより役立つようになるためです。

MUMでより深い理解を

昨今の検索エンジンにとって最も難しい問題の1つは、家族で出かける際に何をしようか計画する等の複雑な疑問に対する回答です。このような場合、必要な情報を得るために検索者は様々な検索を繰り返す必要があります。実際、そういった複雑な疑問において検索者が欲しい情報に到達するまで、平均で8回検索されていることが判明しています。

Multitask Unified Model――MUMと呼ぶ新しい技術により、Googleはより複雑な質問やニーズも理解できるようになり、将来的にはより少ない検索回数で物事を処理できるようになるでしょう。MUMはBERTと同様に変換性機能をベースに構築されていますが、BERTの1,000倍の性能を持ち、新しい方法で情報を引き出すための複数処理もできます。またMUMは、言語を理解するだけでなく、言語を生成することもできます。MUMは、75に及ぶ言語と、多くの異なる検索行動を同時に学習するよう設計されており、これまでのモデルよりも情報と世界中の知識をより包括的に理解できるようになっています。また、MUMは多様式機能のため、テキストや画像情報の理解はもちろん、将来的には動画や音声情報など、より多くの行動様式に合わせた情報の理解につながるでしょう。
「アダムス山を登ったことがあり、今度の秋は富士山を登りたいのですが、そのために特別何か準備をする必要がありますか?」という質問を想像してみてください。このような質問の場合、現在の検索エンジンでは1回で答えを導き出すことは困難ですが、将来的にはMUMがこういう複雑な内容を理解して回答し、関連性の高い結果も表示することで情報を掘り下げてくれるようになるでしょう。GoogleではすでにMUMを使った社内試験を開始していて、今後あらゆるGoogle製品が改善していくことに期待したいと思います。

LensとARで情報に命を吹き込む

人々は新しいことを学ぶためにもGoogleを利用しますが、その際、視覚的な情報があるとその学びも格段に増します。Google Lensではカメラや写真、検索バー等から、皆様が目にしたものを検索することができます。現在、Google Lensを使って毎月30億回以上の検索が行われていますが、その中でも特に人気があるのが「学習」というテーマです。例えば、多くの学生にとっては馴染みのない言語の宿題があるかもしれません。そのため、Web上にある100以上もの言語教材でも学生が理解できるよう、Google Lensの翻訳フィルターを改善し、翻訳されたテキストを簡単にコピーしたり、聞いたり、検索したりできるようになりました。

また、ARは視覚的な学習をする上でも強力なツールでもあります。検索の新しいARアスリート機能を使えば、例えば体操のシモーネ・バイルズ選手の有名な平均台の演技のように、プロ選手のナマに近い動きをARで見ることができます。

「この結果について」の情報を評価する

役に立つ情報とは、信頼できるものでなければなりません。特にパンデミックや選挙のような場合では、人々は信頼できる情報を求めてGoogleを利用するものです。
Googleのランキングシステムは、質の高い情報を優先的に表示するよう設計されていますが、Google検索では、皆様からも情報の信頼性を評価してもらえるよう助けしていきます。「この結果について」機能では、Webサイトの説明、最初にインデックスされた時期、サイトへの接続が安全かどうかなど、Webサイトにアクセスする前にそのWebサイトの詳細を確認することができます。

今月、世界中の英語圏での検索結果に「この検索結果について」機能をロールアウトし、今後さらに多くの言語での展開を予定しています。今年の後半には、Webサイト自体による説明や他の情報源からの評判・評価、チェックすべき関連記事など、さらに詳細な情報項目を追加予定です。

Googleマップで現実世界を探索する

Googleマップは、世界中を人々に案内したり、探索のお手伝いをしたり、あらゆる事象を達成する方法を作ってきました。そして今、ライブ視点でARによるナビゲーション機能など、業界初の試みも行うことで、地図の可能性の限界を拡大し続けています。Googleでは先日、年末までに100以上のAIを活用した改良をGoogleマップに導入予定であることを発表しましたが、本日はその中から最新の内容をいくつかご紹介します。Googleの新たなルート改善機能は、機械学習と過去の案内情報を利用することで、運転中に急ブレーキを踏むようなことにならないよう設計しています。これにより、Googleマップで走行するルートでは、年間1億件以上の急ブレーキを無くすことができるでしょう。
より改善されたGoogleマップでは、時間帯や旅行中かどうかという利用者の状態に応じて、その場面に応じた場所が表示されます。また、ライブビューや詳細なストリートマップが強化されたことで、調べたい地域を極力早く探索し、理解をもっと深められるでしょう。他にも、近所や街の一部がどれだけ混雑しているかを確認したい場合は、Googleマップを開いて一目で確認できるようになります。

Googleでの買い物をもっと楽しく

1日に10億回以上ものショッピングが行われているGoogleですが、AIを活用した「Shopping Graph」という新しい機能では、商品や販売者、ブランド、レビュー、商品情報、在庫データなどを深く理解し、皆様が探しているものをもっと正確に見つけるための特徴を多く備えています。
買い物とは1回で購入を決断するほど直線的な動態にはならないものなので、商品の検索や追跡ができるような新しい方法を導入していきます。Googleフォトでは、スクリーンショットを撮るとその写真をGoogle Lensで検索する補助機能もあるため、必要に応じてその商品をすぐに購入することができます。また、Chromeでは、カートに商品を入れたことを記録しておくことで、買い物途中でも中断したり、また再開したりすることができます。さらに小売業者と協業することで、顧客の意思決定に役立つよう、早い段階で購入特典をユーザー表示できるよう取り組んでいます。
昨年Googleでは、企業の自社製品の販促機能を無料化しました。そしてこの度、Shopifyを使った170万もの小売店主/事業者にとって、数回のクリックでGoogleから商品販促機会を得られるよう、シンプルな新プロセスも導入します。
世界の情報を理解し、ユーザーが情報を理解するためにも、Googleは日々、製品の利便性に専念しています。そして、AIの力によって、どんなに複雑な案件であろうとも最高品質で最適な結果をお届けできるようになるでしょう。

引用)The Keyword

細かいところをしっかりケアしている感じ

今回の発表内容を受けて、私が思うユーザー見地からの感想としましては、MUMというマクロ視点の情報も然ることながら、痒いところに手が届くようなアップデートをしている印象を受けました。ユーザーが抱える日常の小さなストレスやGoogle製品に対する小さなストレスをケアすることで、ユーザー満足度を高める動きになっているな、と。

これは小さな一歩かもしれないが…という月面着陸したアームストロング氏の言葉(「That’s one small step for a man, one giant leap for mankind.」)のような感じになってしまいますが、これらの発表を聞いた私からすれば、「Google恐るべし。些細且つ繊細なところを完璧に穴埋めするような動き。そしてその動きは永遠に続くと捉えている姿勢。Google恐るべし。」って感じですね(笑)。

GAFAはどこもそうですが、細かいUIに本当に気を配っていますね(最近のAmazonは使いづらいですが…w)。今回のGoogle I/Oも、サービス提供側の姿勢を正すような、あるべき姿を指し示すような、素敵な内容でございました。

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