最近仕事の関係で、求人や不動産、EC等の、いわゆる案件ページがあるサイトのSEOをお話しする機会が増えています。そういったサイトはビッグワードというより、ミドルワードと呼ぶようなエリア掛け合わせKWや、ジャンル掛け合わせKWでのSEOにプライオリティが高かったりします。そこで、今回はそんなワードに対する対象ページ構成の考え方についてご紹介します。
施策すべき案件一覧ページ
こういったサイトで前述のミドルワード施策対象となるのは、概ねカテゴリトップや中間ページにあたる、いわゆる案件一覧ページです。そこにはどんな内容が入るかと申しますと、大抵は
➀ 該当ページへの導線
➁ 絞り込み検索オプション
➂ 10~20くらいから成る案件一覧
➃ テーマ性担保のためのコンテンツ
の内容で主に形成されていると思います。
ここで、よく目にするような案件一覧ページの例をざっくりレイアウトとしてご紹介しましょう。
こんな感じのケースをよく見ると思います。しかし、どうしても違和感を覚えてしまうのが一番下のテーマ性のためのコンテンツです。クローラーしか重視していないような無駄なコンテンツのように見えます。でもまぁ、とりあえず前述の➀~➃を順にご説明していきながら、今私が考える案をご紹介できればと考えています。
案件一覧ページに求めるもの
SEOとしてクローラーに対する注意点はもちろんですが、ユーザーに対する使い勝手を考えることが最も重要です。なにせ案件一覧ページはコンバージョンの軸となる重要なポイントページですから。そこで、➀~➃についてご説明します。
➀ 該当ページへの導線
要はパンくずなのですが、案件一覧ページは様々な切り口がクロスするケースも多いです。ユーザーの使い勝手や回遊性を考えますと、複数パンくずを設定してあげることもアリだと考えています。例えば(中間ページではないのですが)「高島屋オンラインストア」では上部のパンくずの他に、下部に様々な切り口のパンくずを設定することで、回遊性の高い内部リンク構造を実現しています。これは非常に参考になりますね。
➁ 絞り込み検索オプション
これは必ずあった方が良いと思います。案件一覧では数が多すぎますので、価格別や職種別等、ソートをかけられるような絞り込み検索オプションは必要です。ただ、これはもちろんページ上部にあった方が良いのですが、下部にもあった方が良いと思います。とりあえず一覧に目を通したユーザーが再度上部まで戻って絞り込むよりも、そのまま下部で絞り込むことが出来れば、余計な負担は軽減されるはずです。
➂ 10~20くらいから成る案件一覧
これはシステムを使っていることからも、意外と考えないケースが多いのですが、重要です。まず案件一覧として出している情報量と、そこをクリックして案件詳細ページに辿り着いた時の情報量が同じくらいだったら…重複コンテンツですよね。さらに案件詳細ページと変わらない情報量が20件も並んでいたら…長いページになるだけでなく、表示速度も低下します。一覧に乗せる情報量に合わせて1ページあたり10件の露出が良いか20件の露出が良いか、表示速度やページの長さに合わせて検討しましょう。
また、ページ送りとなる「1 > 2 > 3 > 4 > 5」等の表記ですが、こちらも案件数に合わせてどこまでページネーションするか考察する必要があります。クロールの回遊性を考え、敢えて途中ページ( > 15 > 20 等)を設定するケースもありますが、ある程度有効だと思います。
➃ テーマ性担保のためのコンテンツ
さて、これが最も重要です。まず、クローラーのことだけを考えて「東京都は人口○○万人からなる日本の首都で、大都市である―」とかいうありきたりのコンテンツを設定するのは止めましょう(笑)。野暮です。ユーザーのことを考えたら、その都市やジャンルにおけるその企業サービスはどんなものかや、相場はどういったものか等、本当にタメになるコンテンツを構築すべきです。当然5行程度の文章になるはずもないでしょう。そして下部に適当にチャチャチャっと入れ込むのも良くないです。私であれば、しっかり案内したいコンテンツであれば上部に設置します。
しかし上部に設置すると、リピーターや既に知っているユーザーにとってはストレスになります。だからと言ってアコーディオン形式に案内したり、タブでクリックを促進してはクローラーは読み込んでくれません。
私でしたら、しっかりとページとして構築し、そのページへ進むアンカーテキストとして上部にしっかりと案内します。そうすればユーザーにとってはストレスもなければ、興味があればクリックして読み込んでもらうことも可能です。
クローラーにとっても、関連するアンカーテキストでしっかりと下層ページに案内されるため、(ディレクトリ構造上、下層ページとして置くことができれば)テーマ性のツリー構造も達成できますし、テーマ性コンテンツが展開されている認識で解釈されると思います。ただこの達成のためには”自信のあるコンテンツをしっかりと作成する”ことがMUSTです。わざわざページ展開するくらいですから、質も量も担保できていなければ意味がありません。
理想的な案件一覧ページ
以上を踏まえて、コンテンツを設計するとなれば↓こんな感じの案件一覧ページが出来るかと考えられます。
もちろん、これが正解ではありませんし、デザイン含めもっと良い見せ方はいくらでもあろうかと思います。でも、最初にお見せした案件一覧ページのレイアウトよりは遥かにユーザー・エクスペリエンス上、有益なページではないでしょうか。SEO上も効果的だと信じています。
日々進化する案件一覧ページ
仕事柄、私は様々な案件一覧ページを見ていますが、ユーザーの絞り込み検索を上手く引き継ぎながら、さらに絞り込み検索を行ってくれたり、並び替えしたりしてくれるサイトもございます。「これはなかなか使い勝手が良いな」と思えるサイトも多く、そういったサイトは大抵検索しても上位表示されています。
Googleのクローラーがどこまで判断してくれているかは分かりませんし、ユーザー・エクスペリエンスという定性的な評価シグナルをどう捉えているかも分かりません。しかし、本当にユーザーのことまで考えながら設計されているサイトは、(そこまで気遣うことが出来る運用者だからこそ)コンテンツも優れています。逆に言えば、優れたコンテンツを生成できれば、それをどう見せるか必死に考えるようにもなるでしょう。いずれにしてもSEO切り口であれユーザー切り口であれ、真摯に対応を始めることが出来れば、芋づる式に優れたサイトになっていくのかもしれませんね。
まずは真摯な第一歩を踏み出すことが重要なのでしょう。