そろそろ年度末。年間PLの時期ですね。本来であれば、毎月PLを算出するべきですが、昔から夏休みの宿題を8月31日にまとめてやるような物臭な私は年に1回やるようにしています…。でもPLを算出するのは新規事業を考えたり計画する際にも事前準備として必要です。今回、そんなPLについて(経営者じゃなく、事業管理職/プロデューサー向けに)概算としてざっくりご紹介したいと思いますので、経営者でなくても頭の片隅に置いてみるようにしてはいかがでしょうか。
PLとは
損益計算書(Profit and Loss Statement)のことで、企業の経営状況や成績を示す財務諸表のひとつですね。出たお金と入ったお金を厳密に算出し、経常利益を算出するものです。よく貸借対照表(Balance Sheet)と一緒に考えますが、BSとは借方(資産集め)と貸方(その資産の投資先事業)を明確にするものです。正確には純資産と資産という概念なのですが、難しいことは置いておきましょう。通常、PLによって算出された純利益がBSの純資産に加算されるので、どちらも必要な財務諸表なのですが、本記事は経営者向けではなく、飽くまで“誰でも頭の片隅に入れておくと良い”程度の話ですので、PL以外は割愛します。他にもキャッシュ・フロー計算書をはじめとして、細かい財務諸表があるのですが、とにかく今回はPLのみに触れておきます。
販管費
さて、これから具体的にPLをご紹介しますが、その前に「販売費および一般管理費明細」つまり販管費を算出しましょう。私が使用する雛形に合わせてざっくり以下ご紹介します。
販管費には売上原価(サービスの仕入れ額)は含まれません。売上原価は広告業界で言えばネットと呼ぶべきでしょうか。外注する仕入れ額ですね。私の場合、この業界におりますので、上図のような項目で充分のような気がしています。ちなみに上から順番に羅列しますと、
- 従業員給与:社員給与
- 従業員賞与:社員ボーナス
- 使用人給与:パート、アルバイト給与
- 福利厚生費
- 旅費交通費
- 通勤費
- 通信費:この業界には必須です
- 水道光熱費
- 事務用消耗品費
- 租税公課:私の場合契約印紙税が主です
- 図書費:学習するための書籍代
- セミナー研修費:セミナー参加費
- 賃借料:家賃
- 諸雑費:他雑費
企業において事業管理するのであれば、せめて自分達の箱代(家賃や光熱費)くらいまで概算しておきたいものです。経営するとなりますともっと明確に数字が出ますが、イチ部署等の場合は全体から分割算出する程度までしか算出できませんね。
とにかくこれを社員単位まで包括して計算すれば販管費は分かるわけです。
PL記載
続いてPLの算出です。こちらもまずは私の雛形をご紹介します。
項目別に一部ご紹介します。
売上高
売上総額ですね。当たり前ですが、入金ベースで算出・入力します。
売上原価
サービスの仕入れ額です。販管費に含めていない、外注した仕入れ額です。
売上総利益
売上高-売上原価です。いわゆる“粗利”ですね。通常は当然のことながら、社員単位(営業社員単位)でもここまで算出していると思います。これが分かっていなければ営業や工数設計が出来ませんからね。
営業利益
売上総利益-販管費(販売費および一般管理費)で算出されるものです。要は本業のみで算出される利益です。ここが事業管理職(プロデューサー)としては一番の指標となりますね。
経常利益
営業利益+営業外収益で算出されるものです。ここが経営者としては一番の指標となります。ちなみにこの経常利益の算出のタイミングでは特別収益と特損(特別損失)は含まれません。経常利益から特別収益と特別損失を加算・減算して、さらに各税金を差し引いた残りが純利益となるのです。
他項目
PLでは売上高と営業外収益と特別利益の3つに分けて収益を計算しますので、営業外(本業以外の)収益や特別収益があればそれぞれの項目に加算します。また特別損失が生じた場合はこれに減算するわけです。
税引前当期純利益
法人税や事業税等を支払う前の段階での利益額になります。
当期純利益
最終的にお財布に残ったお金ですね。最も重要な部分でしょう。
ついでに利益の種類も覚えちゃいましょう。
いかがでしたでしょうか?これがPLの計算です。前述でご説明しましたように、PLに合わせて存在する5つの利益の種類(売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益)があることも覚えちゃってください。こうしたPLと考え方をいつも頭の中にイメージしておけば、新規事業を始める時でも見直す時でも非常に役立つはずですし、そこから色々な追加戦略も考えられるはずです。
そんなに難しくないですし、ざっくりでも知っておいて損はないので、是非ご参考くださいませ。