Googleは去る米国現地時間2023年12月20日、The Keywordを更新し2023年のGoogle商品について振り返っています。2023年はAI元年とも言えますし、Googleの出来事もAI中心にはなっていますが、振り返ってGoogleの躍進を知るにはちょうど良い機会ですので、和訳してご紹介します。
AIと各デバイスのコラボ
今年のGoogleは生成AIの開発だけでなく、それがGoogleの持つブラウザや各種デバイスに搭載され、様々なコラボ開発にまで進みました。そして年末にGeminiの発表という…本当に大きな出来事が続いたと思います。というわけで、23個に渡るGoogle開発のご紹介です。
2023年のGoogleにとって重大な出来事23選
この1年で最も大きな発表とアップデートを振り返ってみましょう。
今年も残りわずかとなり、2023年に別れを告げ、2024年を迎える準備が整いました。新年が何をもたらすかワクワクする前に、最も大きなGoogleプロダクトの2023年の瞬間を23個振り返ってみましょう!
1.Gemini時代を迎えた
Geminiは、これまでで最大かつ最も有能なAIモデルであり、AIを誰にとってもより役立つものにするための次の一歩です。マルチモーダル、つまり、テキスト、音声、動画、コードなど、さまざまな種類の情報を一般化し、シームレスに理解し、操作し、組み合わせることができるように構築されています。Geminiはまた、携帯電話からデータセンターまで、Ultra、Pro、Nanoの3サイズで動作するように効率的に構築された、これまでで最も柔軟なモデルです。Gemini ProはすでにBardで、Gemini NanoはPixel 8 Proで使用することができ、先週、開発者とGoogle Cloudの顧客向けにGemini APIをリリースしたばかりです。
2.Bardがチャットに登場
私たちは、生成AIとのコラボレーションを可能にするインタラクティブな実験であるBardをデビューさせました。Bardはその登場以来、広く拡大を続けており、コードを学び、ビジュアル機能をグローバルに拡大し、より多くのGoogleアプリやサービスにも接続しました。そして、まもなくBardとGoogleアシスタントが一緒に動き始めます!
3.検索におけるジェネレーティブAIの実験
Search Generative Experience(SGE)は、Search Labsの実験であり、生成AIを使用して、より速くより簡単な方法でトピックを理解し、新たな見識を発見するのに役立ちます。AIを活用した概要ページでは、あなたの検索に最も役立つ関連情報と、詳細情報へのリンクが表示されます。今年は生成AIで画像を作成する機能も追加しました。
4.Androidはアップデートを継続
Android 14がリリースされ、ショートカットの新しいオプションやスタイル、生成AIの壁紙、カラーパレット、フォント、ウィジェットなど、大量のカスタマイズ関連のアップデートが行われました。Android 14では、ヘルス、セキュリティ、データに関するアップグレードや、弱視・難聴ユーザー向けの機能拡張も含んでいます。また、Googleメッセージの生成AIツールであり、適切な言葉を見つける助けになるMagic Composeのベータ版もリリースしました。
5.パワフルな新しいPixel スマートフォンを発表
初の折りたたみ式携帯電話であるPixel Foldは、2023年に大々的にデビューしました。その一方で、Pixel 7aでAシリーズを継続し、Pixel 8とPixel 8 Proを発表しました。最新のPixelシリーズでは、Google Tensor G3を搭載し、プロレベルのカメラ機能を新たに搭載しています。またPixel 8 Proは、AIを内蔵した初のスマートフォンであり、現在、レコーダーアプリのSummarizeなどの新機能を実現するGemini Nanoが搭載されています。
6.Pixelファミリーの成長
Pixelファミリーにはスマートフォン以外にも魅力があります。今年は、新しいPixel Tabletとその洗練されたドッキングステーションも登場しました。また、Pixel Buds Proがアップグレードされ、よりクリアな音声通話や、ヒアリングウェルネス(聴覚の健康)のための提案などが追加されています。
7.さらに、Chromebook Plusも
また、ノートPCからのステップアップを目指す消費者向けに特別に設計された機能とツールを備えた、パワフルでAI主導のデバイスであるChromebook Plusを発表しました。Chromebook Plusは、クラス最高のセキュリティと、ユーザーが慣れ親しんでいるすべてのアプリへのアクセス、そして標準的なChromebookの2倍のパワー、スピード、メモリ、ストレージを備えています。
8.ウェアラブル端末のアップデート
Google Pixel Watch 2は、よりパワフルなスマートウォッチであり、健康に関する見識が向上し、安心のための新しい安全機能を備えています。Fitbit Charge 6は、互換性のあるエクササイズ器具に接続できるリアルタイムの心拍数トラッキングに加え、7日間のバッテリー寿命が搭載されています。そして、ウェアラブル端末のための2つの大きなソフトウェアアップグレードがありました。新しいFitbitアプリがGoogle Pixel WatchとFitbitデバイスに提供され、Wear OSの新バージョンは、Google Pixel Watchやその他のWear OS対応デバイスに新しい生産性とエンターテイメント機能をもたらしました。
9.健康を追跡する新しい方法を発表
これらの新製品には、あなたの健康をモニターする新しい方法が搭載されています。Google Pixel WatchおよびFitbit Charge 6用の最も正確な心拍数トラッキングシステムに加え、転倒検知やGoogle Pixel Watch用の酸素飽和度(SpO2)トラッキングなどの新しいツールを構築しました。
10.備えをサポート
私たちは、人々が熱波に関する情報を見つけるのを助けるために猛暑アラートを導入し、より多くの地域に洪水予測を拡大しました。また、新しいPollen(花粉)API により、Google Maps Platformを使用している開発者は、特定の地域で変化しているアレルゲンに関する情報を追加できるようになりました。
11.Googleマップがさらに没入的に
今年はルートのイマーシブviewの展開など、Googleマップにとって大きなアップデートがたくさんありました。イマーシブビューでは、一歩外に出る前に自転車専用レーン、交差点、駐車場所など、旅行全体を視覚的にプレビューすることができます。Googleマップはまた、国立公園を探索するための新機能で、大自然をナビゲートするのに役立ちます。さらに、CO2排出量削減に貢献するため、燃費効率の良いルートをより多くのエリアに拡大しました。
12.写真機能に注力
今年はいくつかのAI編集ツールを発表しました。被写体の位置を変えるなど、複雑な編集を簡単に行うことができるMagic Editorや、Pixel 8とPixel 8 Pro用のベストテイク機能は、近くで撮った似たような写真を組み合わせて、みなさんの最高の表情を自動的にブレンドした画像を作成するのに役立ちます。集合写真をより簡単に撮影できるように、手のひらタイマー(手を振るだけでシャッターを切れる機能)を発表しました。また、撮影後に写真をより楽しんだり活用したりできるように、Googleフォトの新しいMemories view機能も発表しました。
13.RCSが少しリッチに
リッチコミュニケーションサービス(RCS)は、世界中の最新のテキスト標準です。私たちは、通信事業者やスマートフォンメーカーがこのプロトコルを採用するのを支援するために取り組んできましたが、それが実を結びました。RCSは今年、Googleメッセージのユーザー数が10億人に達しました!これを記念して、私たちはRCSをサポートし、Androidユーザーにとってメッセージをより良いものにする新機能の数々を発表しました。例えば、グループメッセージのエンドツーエンドの暗号化や、ボイスメッセージに楽しい視覚効果を添えるVoice Moods(ベータ版)が追加されました。
14.Google Workspaceは頑張った
今年はGoogle Workspaceの発表が目白押しでした。いくつか挙げると、AIを搭載したSmart Compose(スマート作成)機能をGoogleチャットに拡張し、チャットで素早く返答を作成できるようになりました。スペルミスや文法ミスが減るよう、文脈を意識した提案を提供します。また、Google Workspaceの新しいビルディングブロックにより、追加ファイルやGoogleカレンダーのエントリーなど、より多くの情報を@で追加できるようになりました。また、Gmailの新しいミーティングスケジューラにより、受信トレイから直接ミーティングの時間を簡単に見つけることができます。
15.Google WorkspaceのDuet AIがあなたの仕事をサポート
Google WorkspaceのDuet AIは、コーチ、思考パートナー、インスピレーションの源、生産性ブースターとして機能するAI搭載のコラボレーターで、8月に一般利用が可能になりました。現在、顧客や信頼できるテスターは、長年親しまれてきたGoogle Workspaceのツール全体でDuet AIを使用しています。例えば、GoogleスライドのDuet AIは、シンプルなテキストベースのプロンプトでプレゼンテーション用の画像を簡単に生成することができます。GoogleスプレッドシートのDuet AIでは、タスク、プロジェクト、または追跡または管理したいあらゆるアクティビティのカスタムプランを自動的に作成できます。GmailのDuet AIは、電子メールの作成や洗練されたメール作成を支援します。Google MeetのDuet AIは、ビデオ通話のためのユニークな背景を生成するのに役立ち、GoogleドキュメントのDuet AIは、あなたが下書きしているものが何であれ、その続きを書いたり洗練させたりするのに役立ちます。
16.Google CloudでDuet AIを拡張
Duet AIはGoogle Workspace向けだけではありません。開発者、オペレーター、データ実務者、サイバーセキュリティの専門家など、より多くのクラウドユーザーにサービスを提供するため、Google Cloudの幅広い製品やサービスにおいてAIによる支援を提供しています。例えば、現在一般提供されているDuet AI for Developersは、AIコードアシスタンス、自然言語チャット、AIアシストトラブルシューティング、AI搭載スマートアクション、コンテキストスイッチの削減、迅速な学習など、さまざまな便利な機能により、ユーザーのソフトウェア開発と納品速度を向上できるよう支援します。
17.パスキーがセキュリティを強化
よりシンプルで安全にアカウントにサインインする方法であるパスキーでセキュリティを強化しました。パスキーでは、指紋、顔スキャン、または暗証番号を使ってデバイスのロックを解除し、パスワードなしでアカウントにサインインできます。パスキーは、公開鍵暗号方式と呼ばれる技術を利用しているため、パスワードよりも安全です。そのためGoogleでは、個人のGoogleアカウントでパスキーをデフォルトで利用できるようにし、よりアクセスしやすくしました。
18.バーチャル試着体験
Googleは、XXSから4XLまでの幅広いサイズ、肌の色、体型、人種、髪質の異なる80人の実在のモデルを使い、バーチャル試着ができるAIを搭載した新しいツールを発表しました。
19.クリエイターとアーティストのための新しいAIツールをYouTubeに追加
Made on YouTube 2023では、Dream Screenを使ったAI生成のショート動画用背景や、YouTube Createという新しいモバイル動画制作アプリなど、クリエイティブな表現の限界を押し広げるAI機能を発表しました。また、Dream Track for Shortsのような実験的な音楽AIツールも発表しました。これは少人数のクリエイターが、簡単なプロンプトを入力するだけで、AIが生成した参加アーティストの声をフィーチャーした、最大30秒のユニークなショート動画サウンドトラックを作成できるものです!
20.Search Labで過ごした日々
今年初め、私たちはGoogleの実験的なAIツールやテクノロジーの拠点であるSearch Labsを立ち上げました。Search Labsに登録すると、Google検索、Google Workspaceなどのプロジェクトをテストし、それらを開発したチームに直接フィードバックを送ることができます。例えば、Search Labsで提供しているもののひとつにNotebookLMがありますが、これは強力なAIモデルを中核に据えながら、メモを取るソフトウェアをゼロから設計したらどのようなものになるかを再考する試みです。
21.Chromeの見栄え少し良くなりました
Chrome Webストアの外観を一新し、アドレスバーの更新も行いました。そして、私たちのお気に入りのブラウザが今年15歳になった記念に、リフレッシュされたアイコン、新しいカラーパレット、AIを搭載した拡張機能などの新機能を発表しました。
22.事実の情報源を提供
オンラインで目にする情報の事実確認を支援する、新しいツールや最新のツールを発表しました。世界中のファクトチェッカーやジャーナリストに利用されているファクトチェックエクスプローラーに画像チェック機能が追加され、他のファクトチェッカーが検証したかどうかを確認できるようになりました。また、Google検索では、画像のWeb履歴、Webサイトによる使用方法の詳細、メタデータに関する情報を提供するAbout this imageが導入されました。
23.そしてGoogle検索は続く
2023年、Google検索は25周年を迎えました!そして、私たちは絶対にペースを落とすつもりはありません。マルチサーチの拡張とSGEの導入に加え、Google翻訳に33の新しい言語を追加し、数学と科学の問題に対するサポートを増やしました。また、Googleフライトのインサイトをアップグレードし、最安値の航空券を見つけやすくもしています。さらに、Googleトレンドも一新しました。
引用)The Keywordより和訳
いずれ「サーチ」という言葉も「プロンプト」という言葉に変化し、人間が言語化して一語一句打ち込む必要もなく、「あれ何?」という感覚でモノを知ることができるようになるかもしれませんね。
検索にヒットするWebサイトを作るのではなく、プロンプトにヒットする知識を作る
2024年はいよいよコンテンツの在り方が変わってくる気がします。「検索にヒットするコンテンツページやサイトを作る」のではなく「プロンプトに回答できるようAIにコンテンツを吹き込む」というやり方になってくるような…。そう考えると、やはりコンテンツとはWebサイトに収納するものだけではなく、ブランディングする上での知的財産管理としてどう捉えるか、という視点というも重要になってくる気がします。
うーん…。なんか、色々変わってきそうですね。この辺はネット系の広告会社よりもマス系の広告会社のほうが優秀かもしれませんし、コンテンツという名の知的財産をどうアピールして既得権をブランディングするか…みたいなことになってくるように感じます。
指名検索数の向上や、サイト想起のタイミング、コミュニケーションルートの開拓等…これからはいよいよ、まさにマーケティングが大事ということですね!