米国現地時間3月21日、GoogleはついにBardを公開しました。まずは初期段階の実験版とのことですが、既にChatGPTに大きく水をあけられている印象を受けます。それでも位置付けとしては(Chat)GPTのような意味合いです。果たしてGPTを凌駕する品質なのでしょうか。まずは、Googleからの発表内容をご紹介します。
Today we're starting to open up access to Bard, our early experiment that lets you collaborate with generative AI. You can use Bard to boost your productivity, accelerate your ideas and fuel your curiosity. Learn more, including how to sign up ↓ https://t.co/4zDI5RD1fr
— Google (@Google) March 21, 2023
引用)@Googleより和訳
Googleからの発表内容
まずは、米国現地時間3月21日に発表されたThe Keywordの記事内容を和訳します。
Bardをお試しいただき、ご意見をお聞かせください
私たちは、ジェネレーティブAIとのコラボレーションを実現する第一段階となるBardへのアクセス公開を開始しました。まずは米国と英国からスタートし、時間をかけてより多くの国や言語に拡大する予定です。
本日、GoogleはジェネレーティブAIとのコラボレーションを実現する第一段階となるBardへのアクセス公開を開始しました。これは先週の発表に続くもので、私たちは人々や企業、コミュニティに役立つAI体験を提供し続けていきます。
Bardは、生産性を高めたり、アイデアを加速させたり、好奇心を刺激したりするような場面で使っていただけます。例えば、今年はより多くの本を読むぞ、という目標を立てたとしたら、それを達成するためのヒントを教えてくれたり、量子物理学を分かりやすく説明してくれたり、ブログ記事のアウトラインを作成して創造力を刺激してくれたりします。Bardのテストを通じてGoogleはこれまで多くのことを学んできましたが、Bardを改善するための次の重要なステップは、より多くの人からのフィードバックを得ることだと考えています。
Bardについて
Bardは、研究用の大規模言語モデル(LLM:large language model)、特にLaMDAの軽量で最適化されたバージョンを搭載しており、時間の経過とともに、より新しく、より高性能なモデルに更新されていく予定です。これは、Googleが理解する「質の高い情報」に基づいています。LLMは、予測エンジンのようなものだと考えてください。ユーザーの与えた指示(プロンプト)が与えられると、次に出てくるであろう単語を1つずつ予測選択して応答を生成します。とはいえ、毎回高確率な単語を予測選択すると、あまり創造性の高い回答にはならないため、ある程度の柔軟性を持たせています。LLMは、使えば使うほど、並行してどのような回答が役に立つかを予測する能力が向上することも分かっています。
LLMは刺激的な技術ですが、欠点がない訳ではありません。例えば、LLMは現実世界の偏見や固定観念を反映した様々な情報から学習するため、それがアウトプットにも表れてしまうことがあります。また、不正確な情報、誤解を招く情報、誤った情報を自信たっぷりに回答してしまうこともあります。例えば、飼育が簡単な室内植物をいくつか教えてもらいたいと思った時、Bardは説得力のある回答を提示してくれました…しかし、一方でZZ植物の誤った学名を提示する等、いくつか間違っている箇所がありました。
このような問題点があることを認識しておくことは重要ですが、人間の生産性、創造性、好奇心を飛躍させる上で、LLMには素晴らしい利点があります。だからBardを利用する際には、その回答の候補をいくつかの種類から選べるようになっていることもあり、質問者にとって最適な回答を選択できるようになっています。そこから、さらに質問を重ねることで、Bardと一緒に回答を導き出していくことができます。また、別の選択肢を確認したい場合は、いつでもBardにリトライさせることもできます。
BardはLLMへの直接的なインターフェースであり、Google検索の補完的な体験であると考えています。Bardを使って、Google検索した結果を確認することもできますし、Web上のソースを直接探索することもできるよう設計されています。“Google it”ボタンをクリックすれば新しいタブでクエリ候補が表示され、関連する結果を見つけたり、より深く調べたりすることもできます。今後はさらにLLMをもっと親密にGoogle検索に統合することも考えています。
責任あるBardの構築
私たちのBardへの取り組みは、AI信条に基づいており、品質と安全性に重点を置き続けています。また、対話回数の制限ルール等も設けることで、有益で話題性のある対話を維持できるようにします。
サインアップしてBardを試す
ちなみにご紹介すると、Bardは本ブログ記事の執筆を手伝ってくれました。アウトラインを提供し、編集部分を提案してくれました。LLMベースのインターフェースと同じように、いつも物事を正しく理解するということはできませんでした。とはいえ、私たちを笑わせてくれました。
私たちはこれからもBardを改良し、コーディング機能、より多くの言語対応、知覚の多様化機能等を追加していく予定です。1つだけ確かなことは、私たちは皆様と一緒に学びながら発展していくということです。皆様からのフィードバックがあれば、Bardはますます良くなっていくでしょう。
Bardを試すには、bard.google.comからサインアップしてください。今日から米国と英国でアクセスを開始し、その後、時間をかけてより多くの国と言語に拡大する予定です。
それでは、また次回お会いしましょう!
引用)Search Central Blogより和訳
なるほど。まずは米国と英国でアクセス&サインアップして利用できるようです。この記事では、Bardの精度がちょっと垣間見える内容でした。仕様について、いくつか下記にまとめます。
- Bardは利用すればするほど情報が蓄積し、フィードバックも含めて自己学習していくもの
- 毎回決まりきった大多数の意見回答をすることで面白味がなくなるため、情報収集には遊びを持たせていること
- 虚偽の内容であってもそれを引用元として活用し、回答してしまうことがある
- 偏見や固定概念も回答に活用してしまうことがある
- 精度が甘いので、質問によっては回答候補をいくつか提示し、そこから深掘りして質問を重ねられるようにしていること
- Google検索とも連動していること
- コーディング機能や英語以外の機能、文章以外の機能がまだないこと
- GoogleとしてAI信条に基づいた品質と安全性を担保していくこと
日本への導入は未定
日本でアクセスすると、そもそも https://bard.google.com/ から進めません。まだ利用できない証拠です。おそらく米国と英国での英語版だけかと思います。そういう意味では、ChatGPTに大きく後れをとっていますね。まぁ、ChatGPTもテキトーな引用元を活用して回答してきたりするので、やはり精度という意味ではBardもあまり変わらないか、それ以下だと思います。一応、公序良俗や安全性等は担保するようにしているようですが、情報の仕入れ元として新しく入ってきたサイトページを読み込んでしまうとなると…どうなんでしょうね。
ただ、一方で作文や論文、記事等を作成する上で骨子を作る参考にはなるようですね。これは既に私もChatGPTで取り入れるようにしていますが、抜け漏れなく記事のテーマ性を遂行する上で役に立ってくれると思います。いずれにしても、Bardで“責了”しないほうが良いでしょう。
とにかく今後の日本語導入や動向に期待したいところです。